筆者は11月にiPhone 7から乗り換えるかたちでiPhone Xを使いはじめた。これまでデュアルレンズカメラを搭載するスマートフォンをメインに使ったことがなかったのだが、ポートレートモードはやはり体験するととても楽しい。デジタル一眼レフカメラを買ったばかりの頃は、単焦点レンズを装着してあらゆる被写体にボケ味を加えて撮ることに夢中になったものだが、あの頃のワクワク感が再び呼び覚まされてしまい、つい身の回りにあるコップや置物を意味もなくiPhone Xのポートレートモードで撮影してしまう。全部で5種類のライティング効果が設けられていて、ポートレートモードで撮影しておけば、撮影の前後どちらでも最適な効果を選べるのが特徴だ。


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iOS 11を搭載したiPhone 7/7 Plus以降の機種から動画・静止画がHEIFと呼ばれる最新フォーマットで記録されるようになった。ポートレートモードでの撮影は従来2枚のJPEGデータを記録して加工処理を行っていたので、iPhoneの内蔵ストレージにやさしくなかった。HEIFの場合は複数ファイル情報をまとめて効率よく記録できるので、ポートレートモードで記録した写真のファイルサイズが1/4程度までコンパクトになるという。旅行に出かけてiPhoneで写真や動画を撮りまくっても、本体ストレージを節約しながら使えるので心強い。
iPhone Xからポートレートライティングがフロント側のTrueDepthカメラでも使えるようになった。フロント側はレンズが単眼のシステムになるが、顔認証機能に使うセンサーを活用してユーザーの顔までの距離が正確に測れるため、フロント側のデュアルレンズシステムと同等の撮影が楽しめる。これでセルフィー写真の表現手法もさらに広がるだろう。

iPhone Xのデュアルレンズカメラのセンサーはともに1,200万画素。本体を縦に構えたときに上に位置する広角レンズは明るさがF1.8で、焦点距離が35mmフィルム換算で28mm相当。下側の望遠レンズは明るさがF2.4とiPhone 8 PlusのF2.8よりも少し明るく、焦点距離が35mmフィルム換算で52mm相当になる。広角・望遠のモードはカメラアプリを起動した画面の、シャッターアイコンのすぐ上に表示される「1×」(広角)/「2×」(望遠)のアイコンをタップして切り替える。

iPhone Xから両方のレンズシステムに光学式手ブレ補正が搭載された。日が暮れた後に鑑賞したダンスショーでは、ダンサーをズーム撮影しても明るくブレない写真を撮ることができた。広角側のカメラはレンズがF1.8と非常に明るいので、朝焼けや夕焼けが目で見る景色よりも明るく色鮮やかに撮れるのでおすすめだ。マウイ島では晴れた日の夜に満天の星空が楽しめる。広角モードでオリオン座の撮影にチャレンジしてみたところ、何とか写真に残すことができた。



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近くにある被写体に寄って撮影する場合は、広角側のレンズを使うと画面の四辺を引っ張って伸ばしたような樽形歪みが発生してしまいがちだ。iPhone Xの場合は望遠側のレンズに切り替えてから被写体をフレームに収めて撮ると、不自然な歪みを少なく抑えることができる。ぜひ試してみてほしい。


大自然の景色を撮影してみても、青空に浮かぶ雲や波しぶきのディティールがiPhone Xのカメラで鮮明に記録できる。色合いのバランスも自然だ。植物は花びらや葉の表面の質感が驚くほどにリアルに再現される。仕事用にグレードの高いデジタルカメラも携帯して出かけたのだが、結局気がつくとオフ時間のスナップショットはほとんどiPhone Xで撮影していた。
※iPhone 8と7のカメラを比較!