“エンジニアリング系AI”による“故障の予知”とは?工場のスマート化は「見える」「止まらない」「つながる」が鍵 | RBB TODAY

“エンジニアリング系AI”による“故障の予知”とは?工場のスマート化は「見える」「止まらない」「つながる」が鍵

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スマート工場のイメージ。「見える」「止まらない」「つながる」
スマート工場のイメージ。「見える」「止まらない」「つながる」 全 5 枚
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 東京ビッグサイトにて、2018年1月17日より開催される「第2回 スマート工場EXPO」。人工知能(A.I.)、IoT、ロボットがもたらす”工場を革新するソリューション”の数々が展示される予定だ。本稿では、同EXPOに出展する、IoTとAIを活用したデータ分析ソリューションを提供している安川情報システム(本社:福岡県北九州市)に見どころを聞いた。

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■IoTスターターパックとは?

 同社が提供する「IoTスターターパック」は、データの見える化をサポートするもの。通信端末の設置から貯めたデータの分析まで、オール・イン・ワンで提供する。担当者は「大手メーカーさんだけでなく、大規模な設備をお持ちでない中小のお客様からも支持されています」と紹介し、次のように説明する。

 「2017年の“ものづくり白書”によれば、製造業の現場において何らかのデータを収集している企業は26%にまで増えてきているそうです。しかし、そのデータを活用しているかと問われると、まだ実施できていない企業がほとんど。可能であれば取得したデータを何かに活用したいが、ハードルが高いと感じている企業が多いようです。そこで、本ソリューションで導入の敷居を低くしたい」。

IoTスターターパック
IoTスターターパック


 本来ならセンサー装置を買い、回線などを個別に契約したうえで、分析サービスを利用する。様々な会社との契約が必要になるところだが、それらを1つのパッケージにして提供するのがIoTスターターパックのメリット。「スモールスタートで試すことができます。データが見れるようになると、やりたいことが増えてくることと思います」(担当者)。現状のセンサーで正しいデータが取得できているのかを検証、足りない部分があれば適宜追加していくことも可能だという。

■工場をスマート化!MMsmartFactory

 MMsmartFactoryでは、工場のスマート化を目指す。工場設備のIoT化とAI分析を活用した、MESを中心とする製品群から構成されている。担当者は「見える工場」「止まらない工場」「つながる工場」の3つの側面からMMsmartFactoryを説明した。

スマート工場のイメージ。「見える」「つながる」「止まらない」
スマート工場のイメージ。「見える」「止まらない」「つながる」


 まず「見える工場」として、MES導入、工場設備の可視化、製造実績の可視化を提案する。「いま何処で何台の装置が動いていて、どれだけ動いていないかを見える化する技術ですね。現在の設備から今後の計画に至るまで、着手から完了までをサポートしていきます」と担当者。

 次に「止まらない工場」として、設備の保全と故障予知、所在管理と動線の分析、生産の最適化を提案。「計画通りに設備を整えても、何らかの故障が生じて突然ストップすることもある。工場の停止は生産に影響をおよぼします。そこで設備の保守のやり方を変えていく。計画的な保守により、突然の停止を防ぐことに寄与するサービスです。具体的には故障を予知して、おかしい箇所を事前にアラームで知らせます」。

 そして「つながる工場」として、他システムとの連携、複数工場の可視化、関連工場の連携をサポートする。「営業さんがとってきた、何台受注したか、の要望に沿った生産をおこなうために、関連工場、調達先の工場と連携してデータを可視化、連携します」。

 企業によっては設備の導入状況も違い、またどこまでの設備が必要かも異なってくる。そこで安川情報システムでは、企業の抱える個別の課題を聞き出し、必要なものだけを提供する提案をおこなっている。担当者は「設備をイチから揃えるお金がない、この部分だけを導入したい、という声に対応できます。例えば故障予知に関するツールだけ導入することも可能です。課題に合わせて、既存のシステムと組み合わせていける。これまで製造業に携わってきた当社なので、現場を知っており、それが強みになっています」と言葉に力を込める。

■故障を予知!MMPredict

 安川情報システムではエンジニアリング系AI「Paradigm」によるサービスを提供している。AIに渡すデータの前処理、出てきた結果に対してエンジニアリングの専門家の知見を加えて精度を向上させるなど、独自の技術を盛り込んだAI「Paradigm」をいかして、製造・運用品質の「MMsmartFactory AI」、故障予知 / 異常検知の「MMPredict」、熟練者ノウハウの継承「MMGuide」、画像判定「MMEye」(仮称)といったサービスを展開していく。

 担当者は「どんな機器から、どんなデータを取得して事業に活用すべきか。弊社では10年以上も前から、そのことに取り組んできた。製造業ならではの知見とノウハウがある。弊社の提供する標準的なアプリケーションで、組み立て・製造業のお客様を支援していきたい」とアピールする。

 この中で「止まらない工場」を実現するための故障予知/異常検知を担うのが「MMPredict」。担当者は「業界ではビッグデータの解析、ということが言われていますが、ただデータを集めてAIに投げておけば正しい答えが出る、という単純なものではありません。変則的なデータが紛れ込むと、正しい答えが出ない場合もある。そこで前処理の段階で、分析には不要なデータ(実際には使わない)を削除します。データの中に紛れ込んでいる除外した方が良いデータは、これまでの知見で選ぶことが可能。どう加工していけば適切なモデルを作れるかを、データサイエンティストが分析・検討します。また、MMPredictの追加学習により精度を上げるお手伝いをします」と説明した。

MMPredictのサービスイメージ
MMPredictのサービスイメージ


AIが出してきた結果に技術者が知見を追加し、学習させる
AIが出してきた結果に技術者が知見を追加し、学習させる


 MMPredictは現在、プラントモデル、プロダクトモデルを展開している。プラントモデルは大きな工場に向けたもの。電力会社、鉄鋼メーカー、化学メーカー、ビル設備業者などに利用されているという。プロダクトモデルは多数のセンサーを搭載したメカトロニクス装置を想定しており、冷凍機などの装置メーカーに利用されている。また、現在開発中のモータモデルはモータ情報のみ(少数センサ)を用いたもので、モータメーカー、工場の設備保全などに利用されているとのことだ。

 「技術者に通知することで、あらかじめ異常が起きそうな箇所を推測できることもあります。具体的には、正常状態からどのくらい乖離しているかを判断して警報を通知。さらに、各センサーのその乖離への寄与度を通知することで、故障箇所の推定を支援します。この故障予知サービスは、冷凍ユニットの大手である前川製作所の「NewTon」の故障予測などに採用されています」と担当者。

 ここで興味深いのは、たとえ型番に至るまで同一の装置であっても、同じデータが得られるとは限らない、というスタンスで取り組んでいる同社の姿勢。「装置には個体差があります。また設置する場所など、環境によっても数値が左右されてくるものです。例えば北海道と沖縄に設置した装置では、気温の違いによって予知結果が異なることもあります」と担当者。そのため装置ごとにモデルを作り、監視できるようにしている。

 同社は、上記のMMsmartFactory、MMPredictのほか、工場向けに特化したセキュリティソリューションであるMMsmartSecurityについても出展。ブースで詳細な説明を受けることができるという。

 第2回 スマート工場EXPOには、安川情報システムをはじめとして、すでにスマート工場という分野で多くの実績を残している企業が多く出展している。IoTとAIを活用したソリューションに興味がある、けれど具体的には何から始めればいいのか分からない……。そういった企業の担当者の方々も、展示会で各種ブースを訪れてみれば、自社のニーズに近いサービスや具体的な導入事例を見ることで、何か有効な手立て見つかるかも知れない。

前回(第1回 スマート工場EXPO)の様子
前回(第1回 スマート工場EXPO)の様子


 なお、招待券を持参すれば、同時併催展も含めてすべての展示会をまわることができる。下記リンクより、リードエグジビションジャパンに請求すれば無料で取得できるため、ご興味をお持ちの方はくれぐれもお忘れなく(招待券がない場合は、5,000円の入場料が必要になる)。

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《近藤謙太郎》

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