スマホキーボードに特化した広告配信技術で世界展開を狙う。キーワード連動型広告の可能性とは | RBB TODAY

スマホキーボードに特化した広告配信技術で世界展開を狙う。キーワード連動型広告の可能性とは

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オメガの代表取締役荒木康介氏(写真左)と事業責任者の飯塚優希氏
オメガの代表取締役荒木康介氏(写真左)と事業責任者の飯塚優希氏 全 4 枚
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■横断的な入力ツール“キーボード”を活用した広告事業者

 興味のない情報が突然出てきたり、間違えてクリックしてしまったり、ユーザーに嫌悪感を持たれることも多いスマートフォン広告。そんな現状に対して、ユーザーが必要な情報を必要なタイミングで提供し、“喜ばれる広告”の配信を実現しようという動きがある。それを、カスタムキーボード上でおこなうパイオニアがオメガ社だ。

 スマートフォンのキーボードをユーザーが着せ替えることのできるカスタムキーボードアプリの需要は大きい。世界では1億ダウンロードを超えるアプリが複数存在しており、国内でも、現在最大手のアプリは2900万ダウンロードを記録するなど、ユーザーが増えてきている。オメガ社は、ユーザーにとって有用な広告情報を表示・レコメンドする新たな広告配信技術を開発。キーボードに目をつける事で、全てのアプリをまたいで横断的な広告配信が可能になった。

 今回、同社の代表取締役荒木康介氏と、事業責任者の飯塚優希氏にインタビューをおこなった。

 オメガ社は、スマホキーボードに特化した広告配信事業者としてビジネスを展開。上述したようにカスタムキーボードアプリ事業者が多い海外では、既存のキーボードアプリに対して独自の広告配信技術を提供している。一方、日本国内においてはカスタムキーボード文化がまだまだ普及途中。そこで、啓蒙の意味も込めて自社でも独自のカスタムキーボードの開発をおこなったり、様々な企業とパートナーシップを組んでオリジナルのキーボードアプリをつくったりしている。

 さらに1月末には広告配信の仕組みを組み込んだキーボードSDK(ソフトウェア開発キット)の開発・提供を開始。既存アプリへの機能追加として、カスタムキーボード機能の搭載が可能になり、ゼロベースからのアプリ開発をおこなうよりも、容易に広告配信技術を導入することができる。

■ユーザーが必要とする情報を教えてくれる

 オメガが開発した広告情報配信技術のユニークなところは、スマホユーザーが日常的にさまざまなアプリで利用するキーボードに注目した点だ。ユーザーがキーボードを使って何か文章をタイピングすると、そこにあらわれたキーワードにマッチする最適な広告が、キーボードの上部に情報として表示される仕組みを実現している。広告表示のアルゴリズムは具体的にどうなっているのだろうか?

オメガ 代表取締役荒木康介氏
オメガ 代表取締役荒木康介氏


 「弊社では、独自のビッグデータを活用して、特定のキーワードが打たれた際にそのキーワードに紐づいて関連した広告を配信しています」(荒木氏)。

 検索したキーワードに応じて広告が出る仕組みは、たとえばGoogle検索を使った場合にも同じことがおこなわれている。ここで重要なのは、どのプラットフォーム(アプリ)上でそのキーワードが打たれたのかを用いて分析がおこなえるという点だろう。

 LINEやYouTubeなど様々な環境でオーバーレイ表示される「キーボード」を利用することで、アプリを横断して精度の高い広告情報をレコメンドすることが可能だという。同じ“渋谷”という地名を入力しているとしても、それがメッセージアプリ上なのか、SNS上なのかでユーザーのニーズもかわってくることが考えられる。

■世界で唯一の広告配信技術を保持

ソフトウェアキーボードの上に広告が表示される
ソフトウェアキーボードの上に広告が表示される


 「弊社が扱うのは、弊社側で事前に登録済みのキーワードが、どのプラットフォームで何回入力されたのか、という情報のみです。それにより、登録済みのキーワードが入力された際に最適な広告を配信いたします。この技術に関して、国内ならびに世界150ヵ国以上での国際特許を出願中です」(荒木氏)。

 あらかじめ登録している特定のキーワードに最適な広告を配信しているわけだ。

■広告のクリック率やエンゲージメント率は徐々に高まっている

 同社では、パートナーの企業と一緒にカスタマイズされたキーボードアプリの開発・提供もおこなっている。たとえば、ポイントサービスやキャラクターなど人気コンテンツのアプリ等に採用されているケースが多いそうだ。

 広告機能付きキーボードのサービスを利用するユーザーからの反響を飯塚氏に訊ねた。

オメガ 事業責任者の飯塚優希氏
オメガ 事業責任者の飯塚優希氏


 「パートナー様のアプリによってユーザーの属性は様々ですが、絵文字や顔文字を全面に押し出しているものは若年層が多く、ポイントサービス系については年齢の高い方も多く利用されているようです。継続的にご活用されているユーザーは、キーボードがカスタマイズできることが新鮮という声を多くいただいています。今後は広告表示を煩わしく感じることなく、続けて長く利用してもらえるよう、ますますアプリを使いやすくしたいと考えています」(飯塚氏)。

 飯塚氏によれば、有益な情報をおすすめしてくれるキーボードアプリの利便性が徐々にユーザーに浸透してきたことで、広告のクリック率やエンゲージメント率は徐々に高まっているという。従来型の広告には拒否反応を示すユーザーが多い中、オメガ社のキーボードSDKを組み込んでいるアプリに関してはダウンロード30日後の継続率が最大60%を記録したこともあるなど、好意的に受け入れられている。キーボードが表示する広告については、アプリベンダーが内容を細かく精査しながら必要なものを取捨選択できるようにSDKの設定項目を開放しているとのこと。収益性の面では、1ユーザー当たり月50円を記録し、こちらも好調のようだ。

■キーボード上でより自然な広告配信を

 荒木氏は今後もキーボードアプリのための広告配信技術をさらにブラッシュアップしていきたいと意気込みを述べている。「スマホのソフトウェアキーボードは多くのユーザーが1日の間に何度も起動してヘビーに使うツールです。スムーズにタイピングができたり、基本の使いやすさを高めながら、広告配信についてもまるでユーザーが主体的に情報を検索をしているような自然な使い心地を実現したいと考えています。」

 今後の展開について飯塚氏は、キーボードアプリを必要としているパートナーにさらに広くリーチしていくことを一つの目標に掲げている。冒頭でも述べたが、オメガが開発した広告配信技術は、同じ仕組みをそのまま日本語以外の言語にも当てはめることができるので、現在パートナーシップは国内だけでなく海外にも拡大している。

 ユーザーが様々なアプリで使った横断的データを活かしていくことによって、たとえばメーカーが新製品やサービスの開発を目的としたマーケティングツールに活用することもできるはずだ。気鋭のスタートアップならではのチャレンジに今後も要注目だ。

《山本 敦》

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