ドローンが不審者を追い詰める!SF映画さながらのワンシーンが実現へ | RBB TODAY

ドローンが不審者を追い詰める!SF映画さながらのワンシーンが実現へ

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KDDIとパートナー企業は15日、4機のドローンを同時に飛ばす「広域警備の公開実験」を、さがみ湖リゾート プレジャーフォレストにておこなった
KDDIとパートナー企業は15日、4機のドローンを同時に飛ばす「広域警備の公開実験」を、さがみ湖リゾート プレジャーフォレストにておこなった 全 9 枚
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 ドローンが敷地内に不審者を見つけ、ただちに立ち去るようにスピーカーで警告し、逃げる不審者を追跡して、どちらの方向に逃げたかまで確認する―――。近未来を描いたSF映画のこんなワンシーンが、近いうちに実現しそうだ。KDDIとパートナー企業は15日、休園日のレジャー施設の上空に4機のドローンを飛ばす「広域警備の公開実験」を実施して成功させた。

実証実験の概要


 はじめに、実証実験の概要を説明しよう。KDDIとパートナー企業では「親機」と「子機」のドローンを同時に飛ばすことによる「警備ドローン」の実現を目指している。高いところに飛ばした親機で敷地を俯瞰、異常を確認したら子機が現場に急行するイメージだ。

KDDIとパートナー企業が考える、警備ドローンの形。親機(俯瞰ドローン)と子機(巡回ドローン)を組み合わせて警備をおこなう
KDDIとパートナー企業が考える、警備ドローンの形。親機(俯瞰ドローン)と子機(巡回ドローン)を組み合わせて警備をおこなう


 ネットワークはKDDIが担当する。将来的には5Gを活用するが、この日の実験では4G LTEが用いられた。KDDI 商品・CS統括本部の澤田拓也氏は「LTEに対応した複数のドローンによる広域警備の実証実験は世界初となる。警備ドローンでは、ズームカメラやLEDライトで不審者に迫ることができる。夜間警備には超高感度カメラが、不審火の発見には赤外線カメラが利用できる。スピーカーを載せることで、犯人に警告することも可能です」と話し、警備ドローンの有用性をアピールした。

KDDI 商品・CS統括本部 商品戦略部長の澤田拓也氏
KDDI 商品・CS統括本部 商品戦略部長の澤田拓也氏


巡回ドローンの様子。ズームカメラ、LEDライト、超高感度カメラ、赤外線カメラ、スピーカーなど、用途にあった機材を載せることができる
巡回ドローンの様子。ズームカメラ、LEDライト、超高感度カメラ、赤外線カメラ、スピーカーなど、用途にあった機材を載せることができる


 警備会社でも、広大なエリアを少ない人員で警備できるメリットに期待を寄せる。セコムでは、これまで飛行船や気球による上空からの監視システムを実現してきた。ドローンにについても、映像の送信にWi-Fiを利用する単独のドローンによるサービスを模索していた。そんな折り、今回のプロジェクトに加わることになる。セコム 執行役員の進藤健輔氏は「LTE通信で複数のドローンを同時に飛ばせるのなら、遊園地やダムといった大規模施設における巡回警備も容易になる」と説明。ゆくゆくは街中をドローンが巡回警備するセキュリティタウンも実現できる、と未来のサービスに思いを馳せた。

セコム 執行役員 技術開発本部長兼開発センター長の進藤健輔氏
セコム 執行役員 技術開発本部長兼開発センター長の進藤健輔氏


サービスにはセコムの警備アプリケーションを利用。アプリの開発も、セコムが主体的に進めていく
サービスにはセコムの警備アプリケーションを利用。アプリの開発も、セコムが主体的に進めていく


 運航管理システムを提供するのはテラドローン。3次元地図対応の運航管理システムにより、空域の分割管理を実現する。同社 執行役員の金子洋介氏は「セコムさんの警備用アプリに連携APIを提供している。いまドローンを活用できるのは、ドローン業者か、ドローンに出資できる大きな企業に限られている。これだけでは市場が盛り上がらない。我々は、どんな小さな会社でもドローンが利活用できるようなプラットフォームを、パートナー企業さんと協力してつくっていきたい」と抱負をのべた。

テラドローン 執行役員の金子洋介氏。同社では、運航管理システムの開発と提供をおこなう
テラドローン 執行役員の金子洋介氏。同社では、運航管理システムの開発と提供をおこなう


3次元地図対応の管理システムにより、高度方向を含む3次元で空域を管理できる
3次元地図対応の管理システムにより、高度方向を含む3次元で空域を管理できる


不審者を追い詰めるデモを公開!


 この日の公開実験では、まず親機と子機を同時に飛ばすデモがおこなわれた。今回のミッションに用いられる警備ドローンはサイズが大きく、実物を間近で見ると迫力があった。また、レジャー施設の上空に4機のドローンを飛ばして不審者を追跡するデモもおこなわれた。実際に担当者のオペレーションを運航管理システムの後ろから見守ったが、送られてくる映像は鮮明で、遅延も発生していないように思われた。現段階ではまだ4G LTEで通信を行っているが、これが5G時代になれば、4K超の高解像度でモニターが可能になる。その暁にはおそらく、来場者の表情まで画面で確認できるだろう。

 さて、これらの模様は動画でも撮影してきた。そちらもご覧いただきたい。



 KDDIでは、今後も4G LTEや5Gでモバイル通信をおこなえるスマートドローンの開発を進めていく考え。今回のような警備業務のほか、点検 / 測量 / 農業 / 災害 / 物流といった分野にも応用していくという。澤田氏は、具体的な時期について2019年中には商用サービスを開始し、2021年頃には有人地帯での目視外飛行(直接視認できない状態でドローンを飛ばす)を実現したいと話していた。

KDDIのスマートドローン提供方針について
KDDIのスマートドローン提供方針について

《近藤謙太郎》

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