少年たちの力には、危うい均衡が存在するものだ。主人公の転校先は東北の小さな中学校。場所にも学級にも馴染み、小さな集団にも所属した。順調なはずの生活......それなのに、どうしてこんな場所にたどり着いたのか。
高橋弘希さんは、青森県十和田市出身。2014年、「指の骨」で新潮新人賞を受賞しデビューを果たし、同作で芥川賞、三島賞候補となった。その後、15年には『朝顔の日』、16年には『短冊流し』で芥川賞候補、さらには17年に『スイミングスクール』で三島賞候補となっている。また、同年には『日曜日の人々(サンデー・ピープル)』で野間文芸新人賞受賞を果たした。