戦後、福岡市の博多港に139万人の日本人が命からがら引き揚げてきた。その中に、満州でソ連兵らから性暴力の被害に遭い、妊娠した女性たちが多く含まれていたことは あまり知られていない。引き揚げ船から海に身を投げた女性も少なくなかったという。また、「二日市保養所」という中絶のための施設も国が関わり秘密裏に作られた。治療の際に、医師や看護師が泣き声をあげた赤ん坊の命を奪うこともあったという。このことは、当事者の女性たちもずっと口を閉ざしてきた。
今回、同番組の特別企画として綾瀬はるかが訪ねたのは、10歳のとき満州で終戦を迎えた鈴木政子さん、83歳。ソ連兵に連行され、収容所で2ヶ月を過ごした彼女が目撃したのは、昼夜を問わず繰り返された性暴力。年頃の女性はみな標的にされ、鈴木さんが姉のように慕っていた当時18歳の「ゆう子さん」(仮名)も妊娠したという。引き揚げ後、「二日市保養所」へ向かった「ゆう子さん」は、故郷の東北を離れて東京で就職。82歳で亡くなるまで独身を貫いたそうだ。
綾瀬は取材を終えて、「証言者のみなさんの中には惨くて、悲しい戦争を思い出したくないと、これまで胸の中に閉じ込めてきたという方もたくさんいます。今回の証言は、満州で終戦を迎え、姉のように慕っていた女性たちが性暴力の被害に遭ったお話です」と現在では考えられない悲惨な内容を伝え、「戦争を知らない私たちのために貴重な証言をしてくださいました。是非聞いてください」と呼びかけている。
戦後70年以上にわたり語られることのなかった女性たちの戦争。歴史の闇に埋もれてきた真実を綾瀬が見つめる。『NEWS23』(TBS)特別企画は、終戦の日である8月15日よる11時10分から放送。