【トイレに思う】第3回 「おしり」ボタンは「電池のいらないリモコン」だった | RBB TODAY

【トイレに思う】第3回 「おしり」ボタンは「電池のいらないリモコン」だった

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【トイレに思う】第3回 「おしり」ボタンは「電池のいらないリモコン」だった
【トイレに思う】第3回 「おしり」ボタンは「電池のいらないリモコン」だった 全 4 枚
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 前回は「TOTO東京センターショールーム」にお邪魔して、トイレの“今”をレポートしたわけですが、今回はさらに、トイレに使われている最新技術をいくつかご紹介したいと思います。


ウォシュレットの水流は、実は連続した水玉だった



 まずはやっぱり“水”にまつわるウォシュレットのお話。そもそもウォシュレットっていう言葉自体、TOTOの登録商標だったりするのですが、それ自体進化を続けていまして、現在使われているのが「バルーンジェット技術」なるもの。ウォシュレットって、単に「ビー」っと水(温水)が出てくるイメージがあるのですが、実はそうではなくって、節水のために射出する水の形状に工夫が凝らされているんですって! 

 ウォシュレットで節水してもあんまり意味ないような気がしますが(ちなみに、トイレそのものも節水技術が進んでいて、一昔前は18リットル必要だったのが、今では3.8リットルになっているのだとか)、実はそんなことない。ウォシュレットから出てくる水は温水です。つまり温めないといけないわけ。けれど、家庭用の電源で瞬間的に温水にする場合、1分間430ミリリットルが限界。それを効率よく使うために、節水技術が必要なのです。

 では、少ない水(温水)で、どのように快適な水流を作るのか? 答えは水玉。温水を弾丸のような形にして、連続で射出することで、洗浄力を保ったまま節水もできるというわけです。水玉のマシンガン的なイメージですよね。どうやって水玉を作るのかといえば、ノズル直前に水流と大気泡を混ぜる小部屋を作り、ここで「水の間を通る水流=遅い」と、「大気の間を通る水流=速い」を交互に生成。遅い水流に速い水流がぶつかると弾になるわけで、結果、マシンガンのように弾が断続的に射出されるという仕組みです。

TOTOの資料より。右隅が「小部屋」。吐水口から出たスピードの違う水流が、水玉の弾丸になっているのが分かります。


こちらもTOTOの資料から。小部屋内部の解説。水の中を通る水流と、大気泡の中を通る水流では、スピードが違うというわけです。


 単に勢いよく出ているだけと思っていたウォシュレットの水流ですが、かなり考えられているんですな~。


コレ! 見たことありませんか?電池いらずのスイッチ



 トイレのテクノロジーというと、とかく便器に注目しがちですが、その周辺にも面白いものが存在しています。それが、TOTOの「エコリモコン」です。このトイレのパネル、見たことのある方も多いのでは?

エコリモコン。大きくて使いやすそうなボタンが特徴です。筆者も実は、某ビルで見たことありました!


 ひとことで言ってしまえばこれ、「電池のいらないリモコン」なんです。つまり、押下した圧力で発電し、信号を発するというもの。実際に押してみると、軽いクリック感があって、その際に発電をして信号を伝えています。

 そもそもリモコンがバッテリいらずになったからといって、いわゆる節電的なメリットはあまりないのですが(テレビのリモコンだって単5で延々動きますしね)、実はメリットはそこではなくて、「メンテナンス」にあります。このエコリモコンは、主に「パブリック」と呼ばれる、オフィスや施設など住宅以外の場所で使われるわけです。そうなると電池の消耗品共高い。たとえば大きなビルであれば、メンテナンスの人が電池を交換するだけで重労働です。ユーザーが入れ替えてもいいのでしょうが、それはそれでハードルが高いですよね。実際問題、大きなビルであれば電池交換だけで何日もかかるのだとか。そう考えると、エコリモコンはある意味コスト削減に大きく貢献していると言えそうです。

エコリモコンのクリアー模型。スイッチの内部に、発電機構が組み込まれています。



 また、使う側も、スイッチが大きくてたいへん馴染みやすい。スイッチが大きいのは発電の際の動作を考えてのことなのでしょうが、そうは言ってもほかのトイレのスイッチよりも断然押しやすいし、デザイン面でも一石二鳥かなと。知らず知らず広まっているエコリモコン、トイレに入った際に、チェックしてみてください~。

 これにて、トイレにまつわる最新技術のご紹介を終わります。トイレって、機能的には目的が1つしかないものではありますが、リラックスする上でとても大切な空間ですし、また昨今のスマートホーム的な動きにも関わってくるので、実は家の中でいちばん重要なのかもしれません。そんなトイレの進化って、もっともっと注目されてもよいのではないでしょうか?
(TEXT:dairoh)

《RBB TODAY》

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