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中国のコスプレ撮影は、日本よりも競争が激しい? “中国版コミケ”で体験してきた

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【コスプレ】中国のコスプレ撮影は、日本よりも競争が激しい? “中国版コミケ”で体験してきた
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(4)撮影ではライトスタンドは使用許可証がなければ使えない


中国は競争の激しさを物語る要因の一つは、「CP24」の撮影においてはライトスタンドを使用できるのは、許可された知名度のあるカメラマン、もしくは申請したメディアのみ。顔に光を当てるストロボを手放しで好みの角度から被写体に当てることで、天候に左右されにくい光をコントロールした写真を撮ることができます。

カメラマンによっては自然光での撮影を好む人はいますが、光が当たりにくい場所ではライトスタンドを使うことで良い写真を撮れる確率は高まります。会場内では巡回するスタッフがライトスタンド使用者に対して、許可証を持っているか常に目を光らせていました。

撮影エリアを見渡しても、ライトスタンドを使っているカメラマンはごく少数でした。

(5)動漫イベントには公式カメラマンがいる


中国は日本の影響を受けながらも独自のコスプレ文化を築いており、1998年頃から始まった動漫イベントはコスプレイヤーを中心に発展したとも言われています。
そのため、各出展企業はコスプレイヤーを起用した宣伝に力を入れています。良い写真であればあるほど“中国版Twitter”weiboで拡散されるため、「CP24」でも公式カメラマンが企業コスプレイヤーを撮影する光景が見られました。

被写体と向き合っている、カメラを首からぶら下げた男性が教主shadowさん

そんな公式カメラマンはどのような仕事をするのか。今回、アニメ!アニメ!でもインタビューしたことがある中国の動漫イベントカメラマンとしてナンバーワンの呼び声も高い教主shadowさん(Twitter:@jiaozhushadow、weibo:@教主Shadow)に会えたので訊きました。

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――今回の公式カメラマンとしての仕事内容と撮った人数を教えてください。

教主Shadow:「CP24」では、企業ブースの各コスプレイヤーを撮ることが仕事でした。2日間で22人を撮影しました。

――会場にはたくさんのコスプレイヤーがいますが、どんな基準で被写体を選ぶのですか?

教主Shadow:キャラクターの再現度の高さですね。衣装や化粧、造形などクオリティーの高いコスプレイヤーを撮らせてもらっています。

――毎回、構図が素晴らしいですがどのように決めて撮っていますか?

教主Shadow:私自身のキャラクターへの理解、撮りたいテーマを重要視しています。キャラクターの躍動感や息遣いが感じられるような、アニメの1シーンを再現することを心がけているんです。躍動感を表したいなら角度をつけますし、日常の落ち着いた感じを演出するなら水平に撮りますね。
毎回、アシスタントと一緒にチームで撮影に臨む教主Shadowさん。とにかくパワフルでユーモアたっぷりで、息の合ったチームプレーを見せてくれました。


教主Shadowさんの掛け声に合わせて、被写体のウィッグをなびかせる

(6)コスプレ撮影は実力がないと1対1撮影できない!?


「CP24」では1対1の状況はもちろん、より良い場所での撮影はカメラマンの知名度(実力)の高さに委ねられることが大きいです。それは一般参加のコスプレイヤーだけでなく、基本的には来場者の撮影に快く応じる企業コスプレイヤーやロリータモデルにも当てはまるのです。

ブース内だけでなく屋外撮影エリアに出て、カメラマンに良い環境下で優れた写真を撮ってもらうことが“中国版Twitter”weiboで拡散される条件になるため、本人と交渉することで屋外撮影エリアまで同行してもらえます。
やはり、暗めな屋内よりも自然光が差し込む屋外撮影エリアのほうが良い写真が撮れやすいです。しかし、カメラマンの技量も相手の判断材料になるため、友人などを除けば知名度がないと外で撮影することはなかなか難しいかもしれません(名前を知られてなくても、ライトスタンド使用許可証があると好印象な気がしました)。取材ならば、ブース責任者の了承さえ得れば外で撮影可能です。

菌儿rikushiさん(Twitter:@zoey_0228) Arknights『明日方舟(アークナイツ )』

満を辞して一般参加のコスプレイヤーが多く集まる屋外撮影エリアに足を運ぶと、コミケのような混雑は見られません。

日本でよく見られるのは、コスプレイヤーがコスネームとTwitterIDを記載したスケッチブックを置いて立ち、カメラマンが待機列を作っている光景です(人気レイヤーさんを取り囲んだ撮影は、全体としてはそこまで多いわけではありません)。

しかし、「CP24」では基本的にはカメラマンが順番に撮影する光景は見られませんでした。どういうことかを説明しますと、筆者がアポを取ったコスプレイヤーの撮影を始めた瞬間、カメラマンが次々にやって来て被写体の撮影可否を確認せずに撮り始めます。筆者が撮影中にも関わらず、「動画撮るから、向こうから歩いて来て」と被写体に動きを要求するカメラマンもいました。

呆呆さん(weibo:@榴莲味的天然呆)アナーキー・パンティ、星子さん(weibo:@星子-真琴现任女友)アナーキー・ストッキング『パンティ&ストッキングwithガーターベルト』

中国ではコスプレイヤーが良い写真を撮ってもらえると判断したカメラマンには、長い時間を提供してくれます。そのため、イベントにおけるコスプレイヤーとカメラマンの撮影時間は日本以上に貴重です。

多くのカメラマンは並べば自分に順番が回ってくることが担保されていません。それでもイベントだからこそ、メインで撮るカメラマン以外にも撮影チャンスを与える意図で、このような撮影方式が浸透しているのかもしれません。
実際に、筆者がメインで撮影中に、レンズを交換したり、ライトスタンドを設置し直したりする合間は、被写体のコスプレイヤーが他のカメラマンにも目線を送っていました。

日本から参加した天津いちはさん(Twitter:@ichichiha)

「CP24」は日本のコスプレイヤーも何人かサークル参加していました。今後も日本から参加するコスプレイヤーは増える可能性があります。
そこで、日本とは明らかに違う中国のルールを認識しておく必要があります。まずは撮影エリアで撮影を開始した瞬間に「自動的に撮影OK」だと、カメラマンに判断されかねないこと。そして、“中国版Twitter”weiboを始めとするSNSのID確認は、カメラマンの任意になりがちなことです。

同様に日本から参加するカメラマンもいました。しかし、並んで撮ることがないので、知り合いでなければ1対1で撮影することは難しいです。中国語ができないとコスプレイヤーと交渉ができません。

取材または中国での知名度がないと、囲み撮影に割って入り、1対1で目線をもらいながら撮影できる可能性は低いでしょう(この割り込みは被写体のコスプレイヤーが了承すれば、他のカメラマンから基本的に文句を言われないようです)。

カメラマンにとっては、文字通り、「競争」「実力主義」という言葉がしっくり来る環境でした。

撮影:乃木章(@Osefly)
人物レタッチ:寒黙(@nigellizhe)、乃木章(@Osefly)

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《乃木章》

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