【Inter BEE 2019】情報収集、自動撮影&編集、バーチャルアナ……近い将来、AIがテレビ現場すべてを支配する!? 2ページ目 | RBB TODAY

【Inter BEE 2019】情報収集、自動撮影&編集、バーチャルアナ……近い将来、AIがテレビ現場すべてを支配する!?

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「AIと放送の未来 ~ AIを活用した様々放送事例とSpecteeが見据える未来の放送のカタチ」
「AIと放送の未来 ~ AIを活用した様々放送事例とSpecteeが見据える未来の放送のカタチ」 全 11 枚
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■オバマ前大統領の“存在しないスピーチ”も作成できる

AIアナウンサー「荒木ゆい」

 村上氏によると、テレビ業界においてAIがサポートできるのは、何も情報収集に限ったことではないという。例えば、同社ではAIアナウンサー「荒木ゆい」というサービスを展開しているが、このようなバーチャルヒューマンもAIの領域だ。

 「荒木ゆい」はディープラーニングによって、過去に放送された番組内などでのアナウンサーの音声データを学習。それを真似て、あたかも人が話しているように原稿を読み上げる。「2-1」という表記について、それが住所なら「にのいち」、サッカーのスコアなら「にたいいち」と読み分けるのも、AIならではのスキルだ。

 なお、「荒木ゆい」はVチューバーのようにイラストで描かれたキャラクターだが、実在する人物の映像を合成して、あたかも話しているような映像を作成することもAIがあればできるという。もちろん、その声もAIが学習して、そっくりに再現することが可能だ。

オバマ前大統領のディープフェイク動画

 こうした技術は「ディープフェイク」と呼ばれ、すでに我々の目に見えるところにも、その映像は姿を現しているという。例えば、ワシントン大学の研究チームがYouTubeに投稿した動画では、オバマ前大統領のスピーチをAIが学習して、その姿も、声もそっくりなフェイクスピーチを公開している。

■撮るべきもの、放送すべきシーンをAIが判断する

無人撮影カメラの「Pixellot」

 撮影や編集といった領域にも、AIは進出しつつある。
 イスラエルのPixellot社が開発したのが、無人撮影カメラの「Pixellot」だ。サッカーコートやスケート場などを、4つのレンズでくまなく撮影して、その映像を合成。そのうえで、AIが選手の行方などを認識しながら、どこを映すべきか、どこにズームすべきかを自動で判断するという。つまり、現場にカメラマンやディレクターがいなくても、カメラを設置するだけでスポーツ中継ができるというわけだ。

「IBM Watson」がダイジェスト映像を作成

 そして、試合が終わったあとの映像編集も、AIの仕事になる。全米オープンやウィンブルドン選手権など、テニスの試合では「IBM Watson」と呼ばれるAIが、選手の動作、観客の反応などを分析。最も盛り上がったシーンを判定して、それをダイジェスト映像として発信している。

「かつてテレビではプロ野球だけ中継して、その結果をニュースで流せばよかったですが、今は多種多用なスポーツの情報が求められています。また、東京オリンピックは全339種目ありますが、そのすべてを中継するのは大変です。映像の消費スタイルが変わって、ゴールデンタイムに家族がそろって視聴するのではなく、一人一人が好きな時間に観るようになりました。通勤時間にスポーツ中継を見たいとすれば、その時間は長くて30分程度。そこにいい感じのダイジェスト映像があれば、『観てみようかな』ということになるわけです」(村上氏)

コートの丈をAIが識別

 フジテレビ「めざましテレビ」では、お天気コーナーで「AI天気」というコーナーを展開している。これは、ライブカメラの映像を解析して、「コート着用率」といった服装診断を行うもの。こうした画像や映像の解析はAIが得意とするところで、「放送分野ほどAIを活用できる現場はない」と、村上氏は話している。

 SNSからの情報収集において、AIはすでに実用レベルでの活躍を見せている。さらに、撮影、編集、配信と活用範囲を広げて、いつかはテレビ番組をAIだけで制作・発信する日が来るのかもしれない。
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《とびた》

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