2006年に公開された中谷の主演映画『嫌われ松子の一生』。同作の撮影はかなり過酷だったそうで、監督・脚本を務めた中島哲也から役作りのために「5キロ太って」と言われて短期間で5キロ太ると、その指示を忘れた監督から「なんでそんなに太ってるんだ」と激怒されたこともあったという。
さらに撮影中も、奇才と言われる中島監督の無茶ぶりと罵倒にイヤになったという中谷は、撮影をすっぼかして「現場から逃走しました」と回想。この行動について彼女は「(監督の)お好みに合う芝居ができなかった」とし、「カメラの前で何をやっても涙が出てしまった」と号泣したという。そこで「すべてを失う覚悟で仕事場をあとにした」と振り返っていた。
だが同作での体当たり演技が評判を呼び、彼女は第30回日本アカデミー賞 最優秀主演女優賞を始め、毎日映画コンクール、キネマ旬報ベスト・テンなど各賞を総なめにした。