NHK連続テレビ小説『おちょやん』に出演する元宝塚歌劇団花組トップスターの明日海りお。初の朝ドラで明日海が演じているのは鶴亀家庭劇の座員・高峰ルリ子役。今回、明日海が自身の役柄や、舞台とドラマの違いなどについて語った。
――今回『おちょやん』に出演することが決まったときのお気持ちは?
“朝ドラ”は、小さな頃から家族と朝ごはんを食べながら見ていたので、自分にとって生活の一部でした。そんな番組に自分が出演するということが信じられない気持ちと、初めて出演できるといううれしい気持ちの両方です。
――ご自身の役柄についての印象(ご自身との共通点・異なる点など)は? 演じるうえで楽しみにしていること、役のここに注目してほしいという点は?
高峰ルリ子は東京の新派の名門劇団出身で、その劇団の主役を務めたこともあり、プライドもあります。私自身も宝塚歌劇団を卒業しましたので、ある程度共通点があるのではないかと感じました。台本を読み進めていくと、恋人だった劇団の主宰を奪われ、主役の座からも降ろされ、ずっと一緒にやってきた仲間たちから後ろ指をさされるような形で辞めざるをえなかった、ルリ子の悲しい過去が明らかになってきました。それでも舞台に立ちたい、芝居を続けたいと新たに鶴亀家庭劇で頑張ろうとしても、自分のプライドが邪魔になって衝突してしまいます。高飛車な態度で強い女性ですが、しだいにだんだんとほぐれていき、ルリ子の内面の成長や他の団員との交流のなかで絆が深まっていくのを見ていただければと思います。
――収録に参加されてみての感想や、現場の印象は?
舞台に立っている時は、客席を基準にして自分の見え方や相手との立ち位置を考えていたんですが、ドラマは同時に何台ものカメラがいろいろな方向から撮影するので、どの角度から、どういう画を撮りたいのかということを瞬時に察知する感覚が最初はなかなかつかめなくて、まずはカメラに慣れるのが課題です。また、宝塚歌劇団のときの癖で、演じようとすると大きな声を出してしまうので、なるべくナチュラルな発声でやろうと思って撮影に臨んだのですが、実際に初めてリハーサルに参加したときに、千代ちゃん(杉咲花さん)をはじめ皆さんが本当にパワフルでエネルギッシュで、ボリュームとかそんなことを気にしている次元じゃない、思い切りやろうとふっきれました。ヒロインの千代ちゃんも一平さん(成田凌さん)もとても包容力があって落ち着いていて、周囲の人たちが演じやすいようにリラックスさせてくださっています。でもいざ撮影が始まると集中力を瞬時に発揮して空気をがらりと変えてくださるんです。
――放送を楽しみにしている視聴者の方々へのメッセージをお願いします。
ヒロイン・千代ちゃんの人生は波乱万丈です。1日15分の中に涙あり、でも笑いもたくさんある毎朝のドラマを楽しんでいただき、良い1日の始まりになればと思います。私の演じる高峰ルリ子も、最初は嫌な人だと思ったけどかわいげもあるなと思っていただけたらうれしいです。