高畑淳子、「朝ドラは登竜門」「4回落ちました」……『舞いあがれ!』祖母役を好演 | RBB TODAY

高畑淳子、「朝ドラは登竜門」「4回落ちました」……『舞いあがれ!』祖母役を好演

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才津祥子(高畑淳子) (c)NHK
才津祥子(高畑淳子) (c)NHK 全 1 枚
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 NHK連続テレビ小説『舞いあがれ!』で、ヒロイン舞の祖母・祥子を演じている高畑淳子。反対を押し切って五島列島を出て行った娘・めぐみ(永作博美)に対する母の姿、島で人生経験を積んだおばあちゃんの姿を見事に演じた。年輪を感じさせるその演技は「さすが」と、ネットで好評。ここでは、そんな高畑のインタビューを紹介する。

――『舞いあがれ!』に出演することが決まったときの気持ちは?

 そりゃあもう、うれしかったです。「こういう役があるんだけど」と話を頂いてから、「どうなるかわかりませんけど、少し待ってください」と言われて何週間か待ちました。何人か候補がいらっしゃるんだろうなと思って、オーディション気分で待ちました(笑)。私たちの時代は“朝ドラ”が登竜門で、私も何度受けたかな。4回ぐらい落ちましたね。そういう若い時の記憶があるぐらいなので、とってもうれしかったです。

――自身の役柄についての印象(自身との共通点・異なる点など)や、 演じるうえで楽しみにしていること、役のここに注目してほしいという点などを教えて下さい。

 祥子は五島にある海の資源と陸の資源を無駄なく使って無駄なく生きる、SDGsを難しい理屈なしに当たり前のこととして、おおらかに実践している人です。自分の娘と大げんかして14年も会っていないなど頑固なところもありますが、空を見て、海を見て暮らしている人の強さがあり、発する言葉に深みがあります。五島ことばが難しかったので、練習をしながら何度も何度も読んでいると、気づくとティッシュの山ができているほど、涙が止まらないんですよね。例えば、「変わりもんば、変わりもんとして堂々と生きたらよか。周りに合わせんでよか。自分ば知っとる人間が一番強かけん」という台詞があるのですが、これも五島の言葉で言うからいいんでしょうかね。標準語で「自分を知ってる人間が一番強いからね」とか言われても、カッチーン! となるかもしれませんよね。海の潮の流れや、空の気候など、あらがえない自然と共に生きている人の言葉だからでしょうね。船の免許は持っていません。撮影のために二階建てで運転できる船を探してくださったんです。本当は上で運転しているけど、私が運転しているように見える船で撮影したんですが、海面すれすれのところを走るので、座っているすぐ横に波が走っていくのが見えて、本当に気持ちよかったです。五島は本当にきれいでした!

――物語やヒロイン・福原さんの印象は?

 いまの世の中はとても生きづらいと感じる人が多いと思いますが、この作品には、もう少しうまく楽に生きられるはず、もっと違う観点があるのではないか、といった問いかけが込められていると私は思います。脚本家のお一人の桑原亮子さんが、中途失聴による重度の聴覚障害がおありだと知り、だから言葉を紡ぐというなりわいに、ご自身のいろいろなことを詰めておられるのだなと思いました。台本を読むたびに、胸が詰まるような気持ちになったんです。いろいろことにぶつかりながらも生きなければならないことを体感なさっている方なんだなと思いました。人生っていろいろなことにぶつかりながらも生きていかなければならないもの。“朝ドラ”は「今日もがんばるぞ!」と思ってもらうような役割もあるんだろうなと思いました。福原さんとは別のドラマでご一緒したんですが、肌も透けるようで本当におきれいで。舞ちゃんという人が抱えている繊細さと、気を遣いすぎたり、人のことを背負いすぎたりというところなど、福原さん自身が、常にそういう気配りできる優しさがあるので、まさに適役だと思います。

――放送を楽しみにしている視聴者の方々へのメッセージをお願いします。

 この作品では、五島の美しい夕日や海辺などの日本の旅情的な景色と、人々が忙しく働く東大阪の町工場という正反対の場面が出てきます。“朝ドラ”は歴史上の人物が出てきて流れを感じたり、その時代を回想したりしながら見るのが好きなのですが、同時に「人間の根幹はここにある」ということを感じ取っていただける作品ではないかと思っています。ストレスが多い現代ですが、見る角度を変えれば、親子の問題を含めて氷解することもあります。何か目線が変われば、顔を上げて生きていける。そういう力になれたらと思います。私達は畑を耕しているわけでも、お米を作っているわけでもありませんが、演劇やお芝居は、そういう面でのお肉を作っていると思うのです。人の気持ちを強くできるというのが、テレビや舞台のいちばんの仕事だと思います。視聴者の方に、気持ちが強くなっていただけたらうれしいです。

《松尾》

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