作家・北方謙三が22日23時より放送される『情熱大陸』(MBS・TBS系)の第1319回に出演。その創作の秘密や過去の足跡に迫ると共に、人生最後の大長編に挑む姿も映し出される。
文学界のレジェンドでありながら、ユーモアたっぷりの語り口と人懐っこい笑顔で人を惹きつける北方。これまで220冊の単行本を出版してきたが、その道のりは決して平坦ではなかった。学生時代に純文学作家として注目されたものの、その後10年間は不遇の時代を過ごし、肉体労働のアルバイトで家族を養いながら小説を書き続けた。北方は「最初は自分を天才だと思った。徐々に自信をなくしていき、最後は石ころに過ぎないと思うようになった。でも、そこからが本当の勝負だった」と語る。
番組では、これまでの全著作をスタジオに集め、ロングインタビューを敢行。ライバル・中上健次との出会いや、ハードボイルド作家としての再デビュー、創作の舞台を歴史小説に移した理由、小説家として生き抜く秘訣などが明かされる。
さらに、人生最後の大長編と位置付ける新たな歴史小説を書き始める姿にも密着。執筆に当たっての必需品や取材旅行で見えてきた意外な着眼点などから、作家の頭の中が少しずつ明らかになっていく。
23年間務めた直木賞の選考委員を辞し、トレードマークの葉巻を辞め、愛車マセラッティを手放して免許も返納。全ては小説を書くためだ。「書きたくて、体がムズムズ、心がムズムズ。俺はまだ生き切っていない」と熱き情熱がほとばしる。
北方は1947年佐賀県唐津市生まれ。中央大学法学部卒業後、1981年に『弔鐘はるかなり』で単行本デビュー。『眠りなき夜』で吉川英治文学新人賞、『渇きの街』で日本推理作家協会賞を受賞。1989年には『武王の門』で初の歴史小説に挑戦し、『破軍の星』で柴田錬三郎賞を受賞した。6月には14年ぶりの現代小説『黄昏のために』を出版。独特の人生観を語るエッセイも人気で、特に雑誌『ホットドックプレス』で16年間続いた青春相談「試みの地平線」でのユニークな回答の数々は伝説となっている。