スキャンダルで物議を醸しながらも、その圧倒的な演技力で大衆の心を取り戻した韓国俳優たちがいる。
そして今、彼らに続くかと注目を集めているのがユ・アインだ。
4月22日、韓国映画監督協会(DGK)が主催する授賞式「第23回ディレクターズ・カット・アワード」の各部門ノミネート作品が発表された。なかでも注目されたのは、ユ・アインが男優賞の候補に名を連ねたことだった。
ユ・アインは2020年から2022年にかけて、医療用プロポフォールを不正に181回投与し、他人名義で睡眠薬を44回違法処方された罪で、麻薬類管理法違反などの容疑により在宅起訴された。
2024年2月には一審判決が下され、懲役1年・執行猶予2年、罰金200万ウォン(日本円=約20万円)、追徴金約154万ウォン(約15万円)、社会奉仕80時間、薬物治療プログラム受講40時間の有罪判決を受け、5カ月間の収監後に釈放された。

現在は検察側の上告により、大法院(最高裁)の判決を待っている状態だ。
それにもかかわらず、ユ・アインは主演映画『勝負』(原題)での演技が高く評価され、監督たちの投票によって男優賞にノミネートされた。罪状は決して軽くないが、その演技力が映画界のプロたちに評価されたことは間違いない。
このまま演技を通じて世間の批判を黙らせることができるのか、今後の動向に関心が集まっている。
「ブラックリスト」入りした俳優も
男優賞の候補には、ユ・アインと同じく『勝負』で主演を務めたイ・ビョンホンもノミネートされている。
イ・ビョンホンといえば、2014年に“脅迫事件”で物議を醸した。

彼は当時、元ガールズグループGLAMのキム・シウォン(芸名ダヒ)やモデルと飲み会を開いていた際、不適切な発言を録音され、その音声を流すと脅されて金銭を要求された。結果的にイ・ビョンホンの告訴により、恐喝未遂でキム・シウォンらが有罪判決を受けたが、妻帯者である彼の不適切な行動も批判され、イメージダウンは避けられなかった。
しかし、2015年公開の映画『インサイダーズ/内部者たち』での圧巻の演技が評価され、観客動員数900万人を突破する大ヒットを記録。第37回青龍映画賞をはじめとする数々の映画賞で主演男優賞を受賞し、「やはりイ・ビョンホン」と称賛を浴び、俳優として完全復活を遂げた。
イ・ビョンホンと同じく女性問題で批判を浴びたキム・ソンホも、再起を果たした俳優の一人だ。

2021年10月、元恋人による「中絶強要」暴露により大きな批判を浴び、人気絶頂の中でレギュラー番組や広告契約を失ったが、2023年公開の映画『貴公子』でスクリーン復帰。観客たちは親指を立て、キム・ソンホの復帰を歓迎した。
今年はNetflixオリジナル『おつかれさま』への出演も成功。現在はNetflix『この恋、通訳できますか?』、Disney+『眩惑』(原題)の公開を控えており、再び活躍の場を広げている。
さらに、2006年のドラマ『宮~Love in Palace~』でブレイクしたチュ・ジフンも、かつて麻薬スキャンダルにより俳優生命が危ぶまれた一人だ。

2009年に合成麻薬エクスタシーやケタミンの使用で有罪判決を受けたが、その後は兵役を通じて自粛。テレビ局の「出禁リスト」に名前が載ったこともあり、しばらくは地上波から姿を消していたものの、映画『神と共に』シリーズでの活躍により評価を取り戻した。
最近ではNetflixオリジナルシリーズ『トラウマコード』がヒットし、再び“チュ・ジフン旋風”を巻き起こしている。
また、2020年に他人名義でプロポフォールを不正投与していたことが明らかになったハ・ジョンウも同様だ。
違法投薬19回の罪で2021年に罰金3000万ウォン(約300万円)の判決を受けたが、2022年のNetflixシリーズ『ナルコの神』でその演技力が再評価され、“演技派俳優”としての地位を再び確立している。

このように一部の俳優たちは、スキャンダルによって世間から厳しい視線を浴びながらも、その後の作品と演技力によって“信頼”と“評価”を取り戻している。彼らの再起劇は、韓国芸能界における“俳優の生き残り”を象徴する事例と言えるだろう。
圧倒的な演技力で作品をヒットさせ続けるユ・アインも、彼らのように復活できるか注目だ。
(文=スポーツソウル日本版編集部)