“二刀流”の大谷翔平が帰って来る。右肘の手術から約1年9カ月――実に641日ぶりに打者を相手にし、本格的な復帰へ一歩踏み出した。
まだ100%の状態ではないものの、その投球は相変わらず鋭かった。デーブ・ロバーツ監督も「威力的な先発投手が戻ってくる」と期待感を示した。
大谷は5月26日(日本時間)、敵地でのニューヨーク・メッツ戦を前に今季初のライブBPを実施した。これは復帰直前の段階に当たるリハビリプログラムであり、打者を相手に実戦形式の投球をする、投手としてのコンディション確認を目的とした有効なトレーニングである。
最後の公式戦登板は2023年8月24日のシンシナティ・レッズ戦。以来641日ぶりに大谷は再びマウンドに立ち、“投手”復帰に向けた出発点を知らせた。
韓国も期待する「オオタニ再登板」
この日は計22球を投げ、ストレートは最速156km、平均151kmを記録した。カットボールやシンカー、スプリット、スイーパーなど多彩な球種を織り交ぜ、三振も2つ奪った。
なかでも注目を集めたのは、同僚キム・ヘソンとの対戦だった。初打席はピッチャーゴロに打ち取ると、大谷自ら捕球し、一塁に送球する素振りを見せた。
ただ、2度目の対戦ではキム・ヘソンがライト方向へ痛烈な打球を放った。この打球を『ロイター通信』は「実戦なら二塁打だった」と描写していた。

大谷のライブBPに対する評価は概ね好意的だ。『MLB.com』は「100%の投球ではなかったが、投手・大谷の復帰が現実味を帯びてきた」と報道。ドジャースのマーク・プライアー投手コーチも「打者を相手にすることは、マウンドに復帰するうえで非常に重要なステップだった。大谷の球威と自信は失われていなかった。初回の投球としては素晴らしかった」と語った。
ロバーツ監督は「これまで打席でしか見られなかった大谷がマウンドに立った姿を見て、チーム全体が興奮した。彼の投手復帰が着実に近づいている」と明かす。
大谷はロサンゼルス・エンゼルス時代の2023年に10勝5敗、防御率3.14の成績を収めたが、ドジャース移籍後は右肘手術の影響で一度も登板していない。これまで慎重に復帰プログラムを進めてきたが、いよいよ“再登板”の時が近づいている。
ロバーツ監督も「彼が本来の状態に戻れば、ドジャースはMLBで最も強力な先発投手の一人を再び手にすることになる」と伝えており、その存在に大きな期待を寄せている。