売り出し中の女優コ・ミンシ(30)に、突如として“いじめ疑惑”が浮上した。順調だった彼女のキャリアに、いま暗雲が立ち込めている。
発端は、5月26日に韓国のオンラインコミュニティに投稿された告発文。「芸能人コ・○○の学校暴力被害者たちです」と題されたその投稿では、複数の被害者を名乗る人物が連名でいじめ被害を訴えており、波紋は瞬く間に広がった。
投稿者は加害者とされる人物の“旧名”を挙げながら、中学時代に中絶の噂が出るほど素行に難があったと紹介。それとともに、恐喝、暴言、障がいのある生徒への嘲笑・脅迫があったと主張し、「芸能活動の永久停止」を求めた。
事務所がナーバスにならざるをえない理由

A氏が記載した「コ・ヘジ」という名前は、コ・ミンシの改名前の本名であることが知られており、ネット上では瞬時に本人と結びつけられる事態となった。所属事務所のミスティック・アクターズは直ちに対応に乗り出し、「事実無根であり、俳優を信じている」とコメント。さらに、「虚偽の事実に基づく悪意ある投稿によって名誉が毀損されている」として、法的措置に着手したことを明らかにした。
しかし、人気上昇中の俳優をめぐる疑惑は、そう簡単には収まりそうにない。コ・ミンシは現在、Netflixでも配信中のドラマ『隠し味にはロマンス』に出演しているほか、同プラットフォームでの次回作2本への出演も決定している。
韓国芸能界において、「学暴(学校暴力=学生時代のいじめ)」はとりわけナーバスなテーマだ。事務所が迅速に法的対応に踏み切った背景には、「大衆による感情の審判」に対する強い危機感もうかがえる。
実際、コ・ミンシは過去にも一度、スキャンダルに見舞われている。2020年には、未成年時代の飲酒写真が流出し、非難を浴びた。当時、本人も事実を認めたうえで「過去の行動が間違っていたことを自覚している」「深く責任を感じている」と謝罪している。
それ以来は目立った騒動もなく、女優としての地位を築いてきたが、今回の告発によって再び過去の問題が蒸し返される事態となった。
一瞬で瓦解するキャリア

芸能人にとって、最も恐ろしいのは「世論」だ。一度不信感を抱かれると、その影響は長く尾を引き、事あるごとに蒸し返される。たとえ事務所が疑惑を全面否定したとしても、過去の飲酒騒動と重ねて批判する声は根強い。中学時代に始まった非行が、高校時代まで続いていたのではないかという憶測まで飛び交っている。
未成年飲酒、そして今回のいじめ疑惑――。着実に積み上げてきたキャリアに、再び強い逆風が吹いている。法的対応に乗り出したとはいえ、一度表に出た“疑惑”を完全に振り払うのは容易ではない。
◇コ・ミンシ プロフィール
1995年2月15日生まれ。韓国・大田広域市出身。20歳のときにウェディングプランナーとして就職したが、女優の夢を諦められずソウルに上京。その後、ウェブドラマや短編映画に出演し経験を積む。2018年の映画『The Witch/魔女』で、主人公ジャユン(演者キム・ダミ)の親友役を演じて話題に。2020年にはNetflixオリジナルシリーズ『Sweet Home -俺と世界の絶望-』で“バレエ少女”イ・ウニュ役を熱演し、2023年7月26日に韓国で公開された映画『密輸 1970』での演技が評価され、“韓国版アカデミー賞”ともされる「第44回青龍映画賞」で新人女優賞を受賞した。