韓国Kリーグで“リスペクト問題”が再び叫ばれている。
Kリーグは直近2年連続で有料観客数300万人を突破し、長期的な人気定着の兆しを見せている。
海外へのスター選手流出という懸念材料を常に抱えるなかでも、スプリットシステムが定着し、指導者たちは世界的な戦術トレンドを追い、個性豊かな選手が揃い、これらを通じて各クラブが多彩なコンテンツとマーケティングを展開している。
昨年には、韓国の首都ソウルに本拠地を置くFCソウルがプロスポーツ史上初となるシーズン50万人動員を達成した。Kリーグ1で3連覇を果たした蔚山(ウルサン)HD FCも、地方クラブの限界を超えて2年連続でホーム観客30万人を突破した。
今季は序盤こそ天候不順などの影響で観客数がやや落ち込んだものの、徐々に回復傾向にある。かつて「一部の人間だけが楽しむリーグ」と揶揄された時代からは、明らかに様変わりしている。
クラブを容赦なく“叩く”一部サポーター
その一方で、近年のKリーグでは相互のリスペクトや配慮を欠いた“摩擦”も目立つようになってきた。
「ファンとクラブ」「選手とコーチ」の間に生じる衝突が、以前よりも頻繁に表面化している。特にファン同士で意見が食い違い、内部対立が起きるケースも少なくない。
その象徴的な事例が、元韓国代表MFキ・ソンヨンの移籍を巡るFCソウルのサポーター集団「スホシン」の反発だ。
彼らは、FCソウルとコーチ陣がクラブ生え抜きのレジェンド選手キ・ソンヨンを構想外とし、結果的にキ・ソンヨン自らチームを去る形になったことに激怒。試合中にブーイングを浴びせ続けたかと思えば、試合後にはチームバスを囲む行為まで発生した。これにはスホシンの内部でも一部から批判が出た。
キ・ソンヨンはFCソウルを象徴する存在だっただけに、彼の退団にファンが憤るのは理解できる。だからと言って、選手起用と関連して権限を持つ監督に対し、「レジェンド選手だから必ず出場させろ」と圧をかける行為が正当だとみなすことはできない。
ファンが望む「名誉ある引退」を実現するためには、結局は選手とクラブがお互いに譲歩し合い、理解し合う方法以外に答えはない。それは世界中どのクラブでも同じことだ。

「暴言吐かれたから」中指を立てて良い?
Kリーグ2でも、“リスペクト問題”をめぐる騒動が起きた。
金浦(キムポ)FCのFWパク・ドンジンが、対戦相手の仁川(インチョン)ユナイテッドのアベルコーチに中指を立て、試合後には仁川サポーターと口論する騒動が発生したのだ。パク・ドンジン本人は「アベルコーチが先に暴言を吐いた」と主張し、これに仁川側は反発している。
問題はパク・ドンジンの態度だ。例えアベルコーチが先に暴言を吐いたとしても、それに対抗して中指を立てる行為が正当防衛だとみなす人は誰もいない。大衆の関心と支持の中で成長するプロアスリートとして、公の場で見せる態度としては残念と言わざるを得ない。
何より、一部のサポーターが成績不振が目立つ自チームの監督に対し、過度な非難を躊躇なくぶつける場面も珍しくなくなってきている。

サッカーのみならず、プロスポーツはチーム、監督・選手、ファン、メディアが結合して成り立つ産業だ。誰から一方的で過剰に権利を主張してしまうと、全体が正しく成長することはできない。
現在のKリーグは、人気上昇ともに“成熟した関係性”が問われる段階にある。お互いの立場を理解してリスペクトし、例え衝突してもそれが“障害”ではなく“成長痛”となるよう、全員が知恵を振り絞らなければならない。