問題は明らかなのに、解決策がまるで見えない。韓国バレーボールの未来は“深い霧”に包まれているかのようだ。
【なぜ?】「もはや日本のライバルではない」韓国バレー衰退の理由
女子バレー韓国代表は現在行われているFIVBバレーボールネーションズリーグ(VNL)の予選ラウンドで出場18カ国中最下位に終わり、来季のVNL出場権を失った。
2026年からは下位大会に相当する「AVCネーションズカップ」に回る。VNLに復帰するためには、大会未出場国の中で世界ランキング最上位に入らなければならない。
韓国は最新の世界ランキングで37位。来季のVNLには現15位のウクライナが昇格する見込みとされている。
実力に反して高騰する年俸、“無策”の協会
懸念された結果だ。近年の韓国女子バレーはVNLで存在感を失って久しい。
2021年東京五輪でベスト4に入った栄光も過去のものとなり、2022年と2023年にかけて24試合全敗。昨季はわずか2勝で、今季も辛うじて1勝を挙げるにとどまった。ここ数年はそれでもコアチーム制度によって降格を免れていたが、今季から同制度の廃止で降格の可能性が生じ、最終的に“脱落”を避けられなかった。
韓国女子バレーの低迷は今に始まった話ではない。絶対的エースのキム・ヨンギョンが東京五輪を最後に代表引退して以降、チームは明確に下降線をたどっている。キム・ヨンギョンやヤン・ヒョジンなど主力の後継者が現れず、VNLはおろかアジアでも主導権を握ることができなくなっている。
また、パフォーマンスの低下と反比例するかのように高騰する年俸問題も問題視されている。男女を問わず韓国のプロバレーボール選手は“世界トップレベルの報酬”を受け取っているが、肝心の国際舞台ではまったく結果が出ていない。
今の韓国Vリーグは、主力級の選手であれば女子は2~3億ウォン(日本円=約2133万~3200万円)、男子は5億ウォン(約5334万円)が当たり前となった。だが、肝心の実力が過去から大きく向上せず、むしろ後退しているとの指摘もある。
そんななかで「ハングリー精神が失われた」「勝利への執念が足りない」といった批判も噴出し、韓国バレー界への不信感を加速させている。

ただ、改善すべき問題はわかっているのに「抜本的な解決策が見当たらない」というのが韓国バレー界の現実だ。
少子化の影響で競技人口の減少は止まらず、ユース世代の育成システムも世界の潮流に乗り遅れている。国内プロスポーツでは高い人気を誇るVリーグも、“競争力”の面では年々低下している。
最大の責任は韓国バレーボール協会にある。多くの関係者が”こうなること”を予見していたにもかかわらず、協会は効果的な対策を打てずに衰退を止められなかった。だからといって、復活のための明確なビジョンがあるわけでもない。
Vリーグを主管する韓国バレーボール連盟(KOVO)はさまざまな取り組みを進めているが、限界がある。そもそも、KOVOは代表チーム強化のための組織ではなく、Vリーグの活性化が主なミッションの組織だ。
今の雰囲気では当面、韓国バレー界に希望の光を見出すのは難しそうだ。VNL出場権すらない男子代表は世界選手権での躍進を目指しているが、国際舞台でどれほど通用するかはまったくの未知数と言って良い。