中国が韓流文化を規制する「限韓令」を解除するのではないかという、韓国エンターテインメント業界の期待が高まっている。
去る4月には歌手ジェジュンが中国・重慶でスペシャルファンミーティングを開催し、3人組ラッパー「Homies」が韓国の歌手としては8年ぶりに中国本土でツアー公演を成功させた。
さらにトロット歌手ユン・スヒョンも、中国南部の海南省・海口で行われた済州特別自治道と海南省の姉妹提携30周年記念行事に招待され、現地の観客と対面したことがある。
これに加えて、エンターテインメント産業の経済的波及効果と主要上場企業の株価上昇も注目されている。限韓令の解除の可能性が本格的に取り沙汰され始めた今年3~4月以降、主要エンターテインメント上場企業の株価は上昇基調にある。
SMエンターテインメントは、中国市場をターゲットにしたユニット「WayV」の再評価とともに約15%の株価上昇を記録し、JYPエンターテインメントもボーイズグループ「BOY STORY」の活動再開への期待の中で約12%上昇した。HYBEは、中国進出への期待感とBTSのグローバルな影響力を背景に、10%以上の株価上昇を示した。

金融投資業界はこれを一時的なテーマではなく、中国市場の再開に伴う中長期的な業績改善と価値の再評価と見ている。
これに伴い、韓国エンターテインメント業界は、中国国内でのKコンテンツ需要の回復に注目し、現地化戦略を一層強化している。前述のJYPチャイナの子会社に所属するBOY STORY、SMエンターテインメントのWayVがすでに中華圏を背景に活動している。
また、イ・スマン元SM総括プロデューサーが手がけた中国人メンバー中心の多国籍ガールズグループ「A2O MAY」が、最近発表した音源でQQミュージックの新曲チャート1位、メインチャートTOP10にランクインし、熱い反応を得ている。
今年2月にはグローバルプロジェクト「Click the Star」オーディション出身で、全員が中国人メンバーで構成された「BLINGONE」がデビューし、現在もKARAの『ミスター』のリメイク曲で活動を続けるなど、中国における現地化の動きにさらに拍車がかかっている。

もちろん、状況は楽観視できない面もある。限韓令が公式な規制ではなかったように、解除もまた非公式な措置の緩和という形で進行する可能性が高いためだ。
中国当局の審査が依然として厳しいという見通しもある。今年5月に報じられた中国での「ドリームコンサート」開催予定のニュースは、限韓令解除の狼煙となると期待を集めたが、その後の進展が聞こえてこないことが、それを物語っている。
「ドリームコンサート」の進行が遅れているのは、中国当局の政策が予測不可能だからだ。公演の審査基準が一定していないのだ。海外国籍または二重国籍を持つメンバーしか出演できないという噂も流れ、キャスティングにも支障をきたしているようだ。
基準が緩和されなければ公演の開催は容易でないため、慎重なアプローチが必要だというのが業界の共通した見解といえる。中国市場の扉が完全に開かれるまでには、まだもう少し時間がかかると見られている。

それでも、今なお健在な中国国内のK-POPファンや、公演規制が緩和されつつある雰囲気のなかで、中国現地の公演企画会社が韓国のエンターテインメント企業の門を叩いているという点は、前向きな兆しだろう。
韓国のあるエンターテインメント業界関係者は、「限韓令解除への期待のせいか、今年初めから中国での公演やファンミーティングに関する提案を頻繁に受けている。他の企画会社も同じような状況のようだ」と語り、「しかし、すでに予定されていた公演が中止や延期になるケースもあるため、皆慎重にアプローチしている雰囲気だ。両国の協力によって、この時期を賢く乗り越えていけることを願っている」と話した。
(記事提供=OSEN)
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