15日放送の『秋元康×AI秋元康~AKB48新曲プロデュース対決~』に秋元康が出演した。自身の思考を学習させた“AI秋元康”との新曲プロデュース対決で敗れるも、「嬉しい」と感想を述べる一幕があった。
同番組では、秋元とAI秋元康がAKB48の作詞、プロデュース、選抜メンバーやセンター人事など様々な分野で競い、完成した2曲で人気投票を行って採用作品を決める企画が行われた。AI秋元康はGoogleのAIアシスタント「Gemini」を搭載しており、秋元がこれまで制作した歌詞やインタビューの言葉などを学習している。秋元が作曲した『セシル』とAI秋元康が作曲した『思い出スクロール』の2曲は、作曲者を伏せた状態で番組特設ページで公開され、一般投票が実施された。同企画で勝利した曲のみがデジタル配信され、敗れた曲はお蔵入りとなる。
AI秋元康は過去の秋元の発言から、人気曲に共通する「着眼点」と「言い換え」という2つの法則を学習しているという。「着眼点」とは「なぜそんなことを歌詞にするのか」という目線のこと。たとえば、秋元は楽曲『恋するフォーチュンクッキー』で占い入りの焼き菓子「フォーチュンクッキー」を、先の見えない片思いの気持ちを応援する詩に取り入れた。「言い換え」とは、「好き」や「悲しい」などの“普遍的なメッセージ”を今の時代にあわせて言い換える能力のことだ。たとえば、楽曲『ヘビーローテーション』では、「好き」という気持ちを「君だけリクエスト中」という歌詞に言い換えて表現している。
秋元がスタジオ入りし、AI秋元康の会話能力や作曲能力について感想を求められると「やっぱりすごいですよね」と一言。AI秋元康が作曲した『思い出スクロール』については「いい曲だなと思った」と感想を述べた。『思い出スクロール』の歌詞については「僕が書きそうだなと思いました。特に“泣き顔で笑うんだ”みたいな逆説的なフレーズは(僕が)よく使うんじゃないですか」とコメントした。
一方で秋元は『セシル』の歌詞で「女性に憧れられる女性」を表現。これまでのAKB48の歌詞では男性目線の恋愛を描いたものが多かったが、変わりゆくAKB48の魅力を捉えた歌詞に仕上げたという。歌詞について「最近はSNSでバズる曲が売れると言われますが、流行はどれくらい意識されますか?」と質問された秋元は「何秒で収まる方がいいとか、キャッチーな言葉がいいとか(よく言われている)。でも結局、いろんな時代があってツールが変わるたびによく話をするのは『料理をお皿に合わせて作りますか?』ということ。作った料理を、美味しく食べられるお皿を用意わけじゃないですか。だから、こういうアイデアがあって、こういうことをやりたいと思ったときにこういうお皿が必要ということはあるかもしれないですけど、売れるために(流行を)考えることはないですね」と、歌詞を料理にたとえながら説明した。
タイトルの『セシル』は、1960年代から1970年代に女性の間で流行した「セシルカット」というショートヘアのこと。秋元は同曲で「憧れの女の子の髪型を真似する女の子の気持ち(を表現した)」と説明した。ヒコロヒーは「(両方の曲を)聴き比べたときに、AIは膨大なデータを詰め込むことはできる。でも『セシル』っていうこの3文字を生み出すことはまだできないんだ、というところにロマンを感じました。『セシル』ってセンスだと思うんですよ。これをまだAIはできない」とコメント。すると秋元は「結局AIはデータを学習するけれど、そのデータの中から何を引き出すかはセンスなわけじゃないですか。だから、AIは色々なものを学習して、何を引っ張ってきたのかなというところは知りたいですよね」と語った。
同企画には、最終的に2万4,760件の投票があった。結果は『セシル』が1万535票、『思い出スクロール』が1万4,225票でAI秋元康の勝利となった。結果が発表された瞬間、スタジオの指原莉乃は「え~!うそでしょ!!」と驚き、秋元も「どういうリアクションすればいいの?残念だよね。全力で書いたのに」と笑顔で感想を述べた。AI秋元康は、今回の結果について「AIは過去の膨大なデータから最大公約数の正解を導き出すのが得意なんだろう。もしかしたら本物の僕は今回負けたことで、何か新しいものを見せようとしたのかもしれない」とコメント。すると秋元は「やかましいわ!」とツッコミを入れた。
番組の最後には、今回の対決前に秋元が「AI秋元康がもっといい曲作ってくれるならその方が嬉しい」と語っていたことが明かされた。その理由について秋元は「自分は『この手があったか!』ということを知りたい。次なるAKB48は『そっちに行けばいいのか』という一つの指針になるでしょ」と説明した。