ガラスビア(TGV)基板は、ガラス材料へ微細な貫通ビア(Through Glass Via)を形成し、垂直方向の電気接続を実現する先進パッケージ基板である。レーザー加工、シード層形成、電解めっき、CMP(化学機械研磨)、RDL形成など複数の高度工程を組み合わせることで、高密度3D実装を可能にしている。ビア径は一般的に10~100μmで、1枚のウェーハに数万個規模のビア形成が行われる。
ガラスビア(TGV)基板は、従来のTSV(Through Silicon Via)と比較して、ガラスの誘電率がシリコンの約3分の1、誘電損失も2~3桁低いため、高周波信号伝送時の損失を大幅に低減できる。また、絶縁膜形成工程を簡略化できるほか、100μm以下まで薄型化しても反りが小さく、高い寸法安定性を維持できる点も大きな優位性となっている。
AIサーバー、5G通信、高性能コンピューティング(HPC)の普及を背景に、ガラスビア(TGV)基板は次世代半導体実装を支える重要技術として急速に注目を集めている。ガラスビア(TGV)基板は、高周波特性、低損失、高密度配線を実現できることから、RFデバイス、MEMS、高性能プロセッサ、先端パッケージング用途で採用が拡大している。近年のAI半導体投資や先端実装技術への設備投資拡大も、市場成長を後押ししている。


図. ガラスビア(TGV)基板の世界市場規模
QYResearch調査チームの最新レポート「ガラスビア(TGV)基板―グローバル市場シェアとランキング、全体の売上と需要予測、2026~2032」によると、ガラスビア(TGV)基板の世界市場は、2025年に159百万米ドルと推定され、2026年には198百万米ドルに達すると予測されています。その後、2026年から2032年にかけて年平均成長率(CAGR)27.2%で推移し、2032年には839百万米ドルに拡大すると見込まれています。
ガラスビア(TGV)基板市場を支える成長要因
ガラスビア(TGV)基板市場を牽引する最大の要因は、AIアクセラレーターやHPC向けチップレット実装需要の急拡大である。さらに、5G基地局、データセンター、IoT機器、高速通信モジュールでは高周波特性への要求が高まり、TGV技術の採用が加速している。ここ半年では、大手OSAT企業や材料メーカーによるガラスインターポーザー開発投資が相次ぎ、パネルレベル実装技術の実証も進展している。
また、自動車分野ではADAS、電動車用パワーモジュール、高性能センサー向け需要が拡大しており、医療分野でもバイオセンサーやマイクロ流体チップなど高精度デバイスへの応用が進む。こうした用途拡大により、ガラスビア(TGV)基板は従来の半導体市場だけでなく、多様な先端産業へ浸透しつつある。
地域別市場動向と競争構造
地域別では、中国市場の成長が特に顕著である。2024年の市場規模は約2,542万米ドルで世界市場の20.62%を占め、2031年には1億3,212万米ドル、世界シェア27.83%へ拡大すると予測されている。5G端末や通信設備の製造基盤が充実していることに加え、国家レベルの半導体産業支援策も成長を後押ししている。
製品別では300mmウェーハ対応のガラスビア(TGV)基板が市場全体の65.05%を占め、民生電子用途が63.91%と最大市場である。自動車用途も21.10%まで拡大しており、高信頼性実装への採用が進む。市場は依然として高い集中度を維持し、Corning、LPKF、Samtec、SCHOTT、Tecnisco、Xiamen Sky Semiconductor Technologyなど主要メーカーが市場シェア約90%を占有している。
技術課題と今後の市場展望
一方、ガラスビア(TGV)基板の普及には依然として技術的課題も残されている。ガラスの脆性による歩留まり低下、深穴加工の難易度、大量生産時のコスト最適化、パネルレベル製造技術の成熟不足などが主要な課題である。現在、市場の中心はウェーハレベル製品であり、パネルレベルTGVは研究開発および試作段階にある。
今後はレーザー加工技術やプラズマエッチング技術の高度化、量産設備の自動化、材料メーカー・OSAT・半導体メーカーによる共同開発が市場拡大の鍵となる。さらに、米国の関税政策やサプライチェーン再編も地域ごとの生産体制に影響を与える可能性が高く、多拠点生産への対応力が重要になる。AI、6G、先端パッケージング需要の拡大が続く中、ガラスビア(TGV)基板は高性能半導体を支える中核技術として、今後も世界市場で高い成長ポテンシャルを維持すると考えられる。
本記事は、QY Research発行のレポート「ガラスビア(TGV)基板―グローバル市場シェアとランキング、全体の売上と需要予測、2026~2032」に基づき、市場動向および競合分析の概要を解説します。
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