品質マネジメントシステムは、明確に定義され、文書化された業務プロセスの基盤となるものです。品質マネジメントシステムに関する世界で最も重要な規格の一つであるISO 9001の2026年版が発行され、企業における運用への移行が始まります。テュフズードは今回の改訂が実務に及ぼす影響について、既存のマネジメントシステムの見直しだけでなく、ISO 9001を基礎とする産業分野別の品質規格への影響にも注目しています。
Tobias Lurk(テュフズード ISO 9001 グローバル・プロダクト・パフォーマンス・マネージャー)は、今回の改訂について次のように述べています。「今回の改訂によってISO 9001の基本原則が変わることはありませんが、いくつかの領域で新たな重点事項と明確化された内容が盛り込まれています。規格の発行に伴い、企業での実務的な導入が始まります。今後は、産業分野別規格の改訂動向にも目を配りながら、新たな要求事項を既存のマネジメントシステムへ体系的に組み込むことが重要になります」
改訂版では、気候変動に関連する事項がより重視されるとともに、リスクおよび機会のマネジメントに関する要求事項がより明確に規定されています。また、品質を重視する組織文化と倫理的行動の重要性も強調されています。
規格の発行に伴い、既存の品質マネジメントシステムを移行するための36カ月間の移行期間が開始されます。この期間中、ISO 9001:2015に基づいて発行された認証書は引き続き有効です。テュフズードは、ISO 9001:2026の変更点に関する詳細な分析をISO 9001改訂情報ページにまとめています。こちら:https://www.tuvsud.com/ja-jp/resource-centre/stories/jp-revision-of-iso-9001
企業が今、取り組むべきこと
企業は、既存のプロセス、文書および責任体制をISO 9001:2026の要求事項に合わせて、体系的に見直す必要があります。ギャップ分析に加え、同時に改訂されたISO 9000シリーズや、大幅に拡充されたISO 9001の附属書Aも、実務への導入を進めるうえで重要な指針となります。
Lurkは次のように述べています。「特に品質文化と倫理的行動に関する変更について、審査で重視されるのは文書を追加することではなく、要求事項が信頼性のある形で、一貫して実践されているかどうかです。そのため企業は、責任体制の明確化、経営層の関与、新たな重点事項の既存プロセスへの組み込みに、早期に着手する必要があります」
産業分野別規格への影響
ISO 9001:2026の発行は、同規格の認証を受けている企業だけに影響するものではありません。ISO 9001は数多くの産業分野別品質マネジメント規格の基礎となっており、それらの規格の今後の改訂にも影響を及ぼします。
特に関連性が高いのが自動車産業です。IATF 16949はISO 9001を基礎としており、現在、同規格についても改訂作業が進められています。現時点では、改訂版は2027年半ばに発行される見込みです。改訂では、要求事項をより明確に表現するとともに、ISO 9001との重複を減らすことなどが目指されています。また、移行に関する規定についても、ISO 9001:2026の移行期限との整合が図られる予定です。
一方、医療機器分野では状況が異なります。ISO 13485:2016は、2026年初めに実施された定期見直しにおいて維持が確認され、2030年4月まで変更なく有効です。このため、ISO 13485が変更なく有効である間は、ISO 9001の改訂によって医療機器メーカーに対する規格上の要求事項が直ちに変更されることはありません。
Lurkは次のように述べています。「企業は、ISO 9001の改訂を単独の動きとして捉えるべきではありません。特に規制産業や品質を重視する産業では、産業分野別規格の改訂動向を早い段階から把握しておくことが重要です。それにより、将来の要求事項を理解し、必要な対応を適切なタイミングで準備しやすくなります」
テュフズードジャパンのISO 9001認証取得支援サービスはこちら:https://www.tuvsud.com/ja-jp/services/auditing-and-system-certification/iso-9001
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