A.T. カーニー株式会社(東京都港区、日本代表:針ヶ谷 武文)は、論考『規制とイノベーション:AI時代の成功を左右するガバナンス』(英題:Regulation and innovation: how governance shapes success in the AI era)を公開しました。本論考は、人工知能(AI)のイノベーションを阻まず、信頼できる導入と展開を支える規制・ガバナンスの設計を提示しています。
AI市場は2030年までに1兆8,000億ドル規模に達すると予測される一方、先進国でAIとロボティクスを信頼すると回答する人は約半数にとどまります。本論考は、適切に設計された規制はAIの発展を妨げる障壁ではなく、法的明確性、信頼、説明責任を生み出し、安全な大規模導入を支える基盤になり得ると指摘しています。
先進国でAI・ロボティクスへの信頼は約半数
AIの能力向上は、社会がそれを受け入れる速度を上回っています。多くの分野では、AIが機能するかどうかではなく、重大な影響を伴う環境で導入できるほど信頼されているかどうかが制約になっています。アルゴリズムのバイアス、プライバシー侵害、サイバーセキュリティ上の脅威は、社会的信頼を損ない、企業を倫理・法務・財務上のリスクにさらす可能性があります。
本論考が示す11カ国では、AIとロボティクスを信頼すると回答した人の割合は42~62%で、日本は59%でした。透明性、共通基準、リスクに応じた監督と救済手段を整えることが、責任ある導入を進める前提になります。

3つの次元で規制目的を実装に落とし込む
本論考は、各国がAI政策の意図を実際の規制として具体化する際に、目的、介入、法的拘束力という3つの次元を組み合わせると整理しています。イノベーション、リスク軽減、法的明確性のどれを優先するかを定め、分野別ルールと技術中立的な枠組みの組み合わせを選び、リスクに応じて自主的ガイドラインから拘束力のある法制までを使い分けます。
EUはリスクベース、米国は柔軟な自主的枠組み、中国は国家主導型を採ります。本論考は、各国のアプローチが、技術中立的な原則と分野別規定を組み合わせ、成熟度に応じて義務を強めるハイブリッド型の実践指針に収れんすると指摘しています。

4つの規制手段を重ね、ルール策定から実装へ
イノベーションと社会的信頼、安全性を両立するため、本論考は、ソフトロー、ハードロー、規制サンドボックス、アルゴリズム影響評価の4つを重ねて用いることを提案しています。変化の速い領域や低リスク用途には柔軟な指針を、高リスク用途には強制力のある統制を適用し、新たなシステムは監督下で試験したうえで、権利や重要サービスに影響する場合には導入前に影響を評価します。
今後2~3年で、焦点はルール策定から実装へ移る可能性が高いと本論考はみています。高リスク用途では、監査、適合性評価、インシデント報告、モデルガバナンスが広く使われると見込まれる一方、低リスク用途や初期段階のイノベーションには、明確な適用除外と簡素な手続きが整備される方向を示しています。
企業には、AI開発の各段階に倫理的設計とバイアス軽減を組み込み、データガバナンス、リスク管理、説明責任に関する社内手順を整えることが求められます。規制当局、業界団体、学術機関との連携や人材育成を通じて、変化する基準を実務に落とし込むことが、信頼の形成と競争力の確保につながると本論考は指摘しています。

論考について
論考名:『規制とイノベーション:AI時代の成功を左右するガバナンス』(英題:Regulation and innovation: how governance shapes success in the AI era)
URL:https://www.jp.kearney.com/issue-papers-perspectives/regulation-and-innovation-how-governance-shapes-success-in-the-ai-era
監修者
滝 健太郎 シニアパートナー
東京大学経済学部経済学科を卒業後、A.T. カーニーに入社。約10年のコンサルティング経験を有する。通信・金融機関・消費財を中心に、戦略~新規事業・R&D~M&A~マーケ・営業~オペレーション~コスト~人事・組織など、経営に係わる幅広いテーマを手掛け、特に、全社レベルでの大規模デジタルトランスフォーメーションを得意とする。
川崎 健史 パートナー
東京大学理学部卒、Duke University, Fuqua School of Business (MBA) 修了。NTT東日本、米系戦略コンサルティングファーム、Big4コンサルティング部門等を経て、A.T. カーニーに入社。日系及び東南アジアの通信・ハイテク企業を中心に、中期経営計画・グローバル経営マネジメント・テクノロジー戦略・事業モデル変革・業務パフォーマンス変革等の幅広いCXOアジェンダに従事。近年では、戦略コンセプトの立案から実行サポートまで一貫したデジタルトランスフォーメーションのサポートも数多く手掛ける。
A.T.カーニーについて
A.T. カーニー(グローバル・ブランド名:Kearney)は、100年にわたり世界有数の経営コンサルティングファームとして、Fortune Global 500企業の4分の3以上をはじめ、世界各国の政府機関に信頼されるパートナーであり続けてきました。世界40カ国以上に拠点を展開し、私たちの最大の強みは「人」にあります。インパクト・ファーストを掲げ、独創的な発想と実行力をもって、顧客企業が直面する最も困難な課題に挑み、変革の実現をともに推進します。日本には1972年に進出し、主要産業のリーディングカンパニーに、戦略策定から変革の実行まで一貫した支援を提供しています。https://www.jp.kearney.com/
企業プレスリリース詳細へ
PRTIMESトップへ
