HP、ITから「BT」への新戦略製品「HP Neoview」を発表 | RBB TODAY

HP、ITから「BT」への新戦略製品「HP Neoview」を発表

エンタープライズ その他
日本HP取締役副社長 石積尚幸氏
日本HP取締役副社長 石積尚幸氏 全 10 枚
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 日本ヒューレットパッカードは25日、エンタープライズ・ウェアハウスを実現させるプラットフォーム製品「HP Neoview」を発表した。これに合わせて、HPが掲げる新しいソリューションポートフォリオ「BT(Business Technology)」戦略の記者発表会を開催した。

 「Neoview」はエンタープライズデータウェアハウスのために専用設計されたプラットフォーム。基本構成はCPUにHP Integrityサーバrx2620、ストレージにHP StorageWorks、OSは新設計のNeoviewOS、リレーショナルデータベース管理システム(RDBMS)も専用のNeoview DBMSを搭載する。これにHP Proliant DL580とLinuxを組み合わせたPLUS(Parallel Load Unload Service)を組み合わせる。

 CPUユニットはプロセッサ2個構成で、これに対してミラー化されたディスクユニットを当てる。このひと組を単位としてプロセッサパワーとディスク容量を拡張できる。CPUとディスクユニット間は光ファイバースイッチで網羅し、バス間のレイテンシを下げた。最小構成のモデルC012は16CPUを搭載し、ユーザーが使えるストレージは3テラバイトで価格は1億6000万円から。

 「Neoview」の市場投入の意味として、HPは新しく構築したITの新ソリューション「Business Technology」を掲げた。日本HP取締役副社長の石積尚幸氏は60年代から90年代までのITソリューションを簡単に振り返った後、2000年以降について「いまやITは企業の一要素だけに留まらない。ITのリスクはビジネスのリスクに直結し、ITの好機はビジネスの好機となっている」という認識を示した。

 従来の納期、コストなどIT技術側の尺度で決められていた企業のIT戦略は、コストや費用対効果など、ビジネスから見た尺度で判断される。ITによるビジネスの成果が求められている。その上で石積氏は「HPのミッションは、お客様のIT環境のビジネス成果を最適化するためのマネジメントを支援する企業となる」と宣言した。

 もはや時代はITではなく「BT」。技術を高く、コストを低く、というだけではなく、ビジネスから見た視点で、費用対効果を最大化できるIT環境を提案していくという。

 続いて日本HPのマーケティング統括本部、インフラストラクチャソリューション本部の染谷優氏が登壇し「BT」について詳しい紹介が行われた。従来のソリューション提案は、顧客の要求に対してITの技術で支援するというスタンスを取っていた。そりため、顧客の要望に応えるための要素として、予算や納期、品質などを決定していた。ITはビジネスのツールのひとつであるが、それ以上のものではない。データを流通させ、蓄積し、管理するというレベルに留まった。

 もちろんそれだけでも企業のデータ管理コストの削減やデータ活用には十分なレベルである。しかし、蓄積されたデータをビジネスに活かしたり、データの重要度に応じた最適なITコストを判断したり、経営判断の意思決定プロセスを改善することで、ITは「管理する技術」から、「攻め」のビジネス戦略を立案する材料になる。

 HPが提案する「Business Technology」は、ビジネスの成長を加速する、ITリスクを低減する、コストを下げる、という3つの柱でIT技術を導入する。予算、納期、品質などのITの世界の尺度でITを導入するのではなく、ビジネスの世界の尺度でIT環境を整備していこうというソリューションだ。もっと簡単に言うと、従来のITは「ビジネスの意思決定に必要なデータをいかに速く用意できるか」にあった。しかしBTは「ビジネスの意思決定そのものをいかに短縮できるか」という方向でITを活用していく、というわけだ。

 「HP Business Technology ポートフォリオ」は、より速く最大のビジネス成果をもたらすためのテクノロジとして、次の3つの要素で成り立っている。

 1) Business Infomation Optimization
  ビジネスの意思決定を可能とする良質な情報を提供する

 2) Business Technology Optimization
  インフラストラクチャの徹底管理による企業リスクの低減

 3) Adaptive Infrastructure
  ビジネスにさらなる貢献をしながらITコストを削減する

 この3つの方針で顧客企業がどう変わっていくだろうか。たとえば、現在、データ資産を分散して管理している場合、データ遺失や活用すべきデータの死蔵というリスクが考えられるばかりではなく、データ管理コストが積み上がって高くなっている。これらのデータを集約化しデータセンターを構築すると、さまざまなデータの関連づけや活用が可能になる。

 しかもセキュリティや仮想化、自動化も集中できるためデータ管理コストは小さくなる。経営オペレーションとしてはIT情報と経営施策のギャップを橋渡しでき、組織や業務の壁を越えた意思決定を容易にする。また、アプリケーション、データオペレーションなどのIT機能も有機的に繋がって、IT投資の明確なビジネス効果を期待できる。

 既にHP社ではこのコンセプトに2005年から取り組み、優先度の高いテータから統合を始めた。その結果、7000以上あったアブケーションは1500に集約され、2万5000台のサーバは6000台に削減、29カ国85拠点に分散していたデータセンタは米国内の3地域6拠点とにった。

 また、世界中に700も分散していたデータウェアハウスはひとつになった。このミッションはほぼ完了しており、2008年までに検証を完了したあと、継続的な改善を続けていくことになるという。戦略的なIT投資を行い、経営の意思決定のスピード化に成功する。つまり、HP自身が顧客のショーケースとなるIT部門になっている。

 こうした背景を受けて「HP Neoview」プラットフォームの製品化に至った。ここでエンタープライズ ストレージ サーバ統括本部、NonStopサーバ製品本部長の浅野勉氏が登壇し、「HP Neoview」を説明した。冒頭に紹介したように「HP Neoview」はデータウェアハウスのプラットフォームとして、拡張性の高いシステムを有している。さらに特徴として、

 1) HP Integrity、Proliant、StrageWorks、Nonstopという、HPのすべての技術を集積したパッケージである。
 2) ハードウェアコンポーネントの共通化で管理コストを抑えながら高い拡張性を持つ。
 3) 超並列アーキテクチャで高速化され、大規模で複雑なデータウェアハウスに対応。
 4) 混合ワークロード管理により単一のデータウェアハウスに統合可能。
 5) 24時間365日の無停止稼働を実現する。
 6) データ管理専用機のように管理が容易なシステム。

という6項目を掲げた。そのポテンシャルは多岐にわたる。数百プロセッサまで拡張可能なスケーラビリティ。しかもデータベース設計者は搭載されているCPUやディスク数を意識する必要がない。複雑なAd hocクエリや定型クエリなど異なった作業を実行する複数ユーザのアクセスに対応。データベースチューニングが不要でメンテナンス負荷を軽減。WebベースのGUIを使った簡単な設定、リモート管理。システム内サーバを使用して大容量データをオンライン中に高速にロードしたりアンロードしたりできる。これらの機能を持ちつつ、すでにコモディティ化したコンポーネントや、自動化を極限まで追求ることでオペレーティング・コストを削減している。

 これらのコンセプトは、HPが昨年7月に買収したIT管理ソフトウェアベンダの米マーキュリー・インタラクティブのノウハウや新製品によって可能となっている。「BT(Business Technology)」および「HP Neoview」は、HPのソリューション技術とマーキュリー社のマネジメントツールが融合した成果のひとつだ。HPは「Neoview」を顧客のデーターウェアハウス構築の要望に応える戦略的なプラットフォームとして掲げており、既に二桁数の顧客から引き合いを受けているという。また、実機をデモンストレーションする施設を設けて、顧客に対してさまざまな実演をする環境を整えているという。

《杉山淳一》

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