オリックス2008年3月度1Q決算報告(動画配信あり)——IRIとの経営統合決定後初 | RBB TODAY

オリックス2008年3月度1Q決算報告(動画配信あり)——IRIとの経営統合決定後初

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 オリックスの2008年3月度第一四半期の決算短信については、RBB TODAYでも8月9日に伝えているが、その模様の動画配信が開始された。

 決算の概要としては、前年同期比の売上高5%アップだが純利益で同3%ダウンの、いわゆる増収減益だった。理由としては、リース、レンタル事業など先行投資の必要な事業、各種引当金の確保などが挙げられている。

 詳細は、関連リンクの決算発表全編の動画配信に詳しい説明や質疑応答が視聴できる。画面は発表者の動画のほか、別ペインで配布資料が説明と同期して表示されるので、非常にわかりやすい。この資料はPDF形式でダウンロードもできるので、株主、投資家にとっても有意義な資料に違いない。

 今回の決算は、インターネット総合研究所との経営統合が6月4日に発表された直後の決算発表であり、11月には本格的なグループ展開がスタートする年でもある。IT業界としては、この面でも注目されている。もちろん、オリックスグループにおいて、ITに関わる事業は大きな事業セグメントとはいえないが、決算では、測定器や情報機器レンタルがセキュリティ対策その他で2倍強(前年同期比)の利益を確保している。また、自動車関連事業では、レンタカーの仕入れや事業所拡大など先行投資により同7%ほどダウンしているものの、拡大局面にある設備投資や開発費などをきちんと投入している結果といえる。

 「いまのりくん」のサービス名の新型自動車リース契約は、所有者名義にこだわらず、趣味やステータスではなく生活ツールのひとつになった自動車という商品にふさわしいビジネス形態として認知されつつある。過去のリース形式によるビジネスがあまり成功しなかったことを考えると、時代に即したサービスといえるだろう。同様にカーシェアリングなど積極的に市場開拓を行うなど、環境問題や社会構造の変化に耐えうる戦略もとっている。

 オリックスグループでITとの接点は、高額な測定器、業務用情報通信機器のレンタル事業が有名だが、IRIグループとの統合で、すでにセカンドライフへの参入プランのいくつかが動き出している。また、NGN、IPv6ネットワークへの移行といった時代の流れは、現在市場でメインストリームであるウェブサービス市場とは違ったレイヤで投資が活発になると予想する声もある分野だ。補足すると、NGNはインターネットの本質的な欠点、セキュリティやQoSの面から議論されている部分もある。IPv4アドレスの枯渇はすでに現実の問題として、IETFで議論が続いている。物理アドレスの割り振りができなくなってきており、市場参入や新規事業の開拓のマイナスになっている。

 ITS、テレマティクスなどはこの最たる分野ではないだろうか。サービスビジネスとしては自動車関連機器のインターネット接続が進んでいるが、ITSなどの安全インフラとしてのネットワークや自動車どうしのピア接続などの新しいネットワーク構築には、インターネットより安全で堅牢かつベストエフォートでない(保証型)のインフラが必要である。

 金融・不動産事業とインターネットというと直接的にはオンライントレードなどが主流だが、IRIグループはこのようなサービスレイヤの構築だけでなく、インフラ事業での協業に力を発揮できるかに、経営統合の真価が問われているといえるだろう。

《中尾真二》

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