【BT Media Event(Vol.6)】3つレイヤーでクラウドを展開……Neil Sutton氏
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BT Global PortfolioバイスプレジデントのNeil Sutton氏はこのように話し、同社のポートフォリオを解説しはじめた。同社ではクラウドを3つのレイヤーに分けて戦略展開している。まず、どのように将来的なインフラを組み込んでいくかが問われる“IaaS(Infrastructure as a Service)”層、いかにシンプルで、使いやすいものを提供していくかが焦点となる“Communucation as a Service”層、最後にセキュリティー、CRM、コンタクトセンターソリューションなど“SaaS(Software as a Service)”層だ。これらを、セキュリティー、インテリジェントネットワークなどとともに一貫して提供していく。
“IaaS”の例としては「AAI WAN」(Applications Assured Infrastructure) が挙げられる。「AAI WAN」はデータセンターやオフィス間、モバイルユーザー間のアプリケーションのパフォーマンスを最適化するBTのソリューションだ。Neil Sutton氏は、クラウドに移行したある企業においてSAPのパフォーマンスが低下した例を紹介しながら、「AAI WAN」を使うことで65%の改善が見込める点をアピールした。
“Communucation as a Service”で取り上げられたのはユニファイドコミュニケーションの例だ。「ユニファイドコミュニケーションは何年も話題になってきた。しかし、なかなか統合化が実現しないのが現状だ。BTはユーザーにとってシンプルで使い勝手の良いもの、統合化されたコミュニケーションに投資を行ってきており、市場をリードしている」と氏は強調する。同社では2008年にIP電話のRibbitを買収した。Ribbitの技術は様々な通信を接続する。これらの技術をベースにシスコの「HUCS(Hosted Unified Communications Services)」にインテグレートすることで、互換性のある環境を月額課金で提供している。
“SaaS”ではコンタクトセンターの例が強調された。BTのコンタクトセンターソリューションはNGCC(Next Generation Contact Centre)と呼ばれ、3週間での運用開始、月額課金をウリとしている。同社では、需要が拡大しているソリューションのひとつとして、アジア地域でのいっそうの投入を狙っている。インタビューではKDDIとの検討を模索している点も明らかにした。現在では日本でのビジネスは発生していないが、外国で展開する日本のマルチナショナルカンパニー(多国籍企業)とはいくつか取引があるという。グローバルでは、すでに7社がこのプラットフォームを採用している。ここでの例として挙げられたのは旅行会社や保険会社とCleablueという妊娠検査薬の企業の例だ。旅行会社では、アイスランドの火山噴火によってコンタクトセンターの需要が500%にもなったという。またCleablueに関しては、かなり高度なシステムを要求されたとしている。コンタクトセンターは朝7時から10時までが通常一番忙しくなり、同社は非常に感情的な顧客を抱え込んでいた。内容もプライベートで医者と話すくらいに高度なサービスを必要としていた。「顧客の期待に応えるために色んなことを変えていかなければいけない状態を抱えていた。(私たちにとって)ここは柔軟性のたかいオンデマンドのサービスを提供できるチャンスだった」。
氏は「テクノロジー自体は何も解決することができない」「顧客主体であることが我々のポートフォリオだ」と強調。クラウドのなかでは、コスト削減、予測可能性、イノベーション、グローバル化、ディプロイメントのスピードといった重要項目を挙げたが、業界全体としてはディプロイメントをさらに加速化していかなければけないと話した。
BTは将来の通信事業者の姿を映し出しているようでもある。“土管からの脱却”とはよく言われる言葉だが、Neil氏の言葉からは単なるネットワークという概念は感じられない。プレス関係者からは、「日本市場について」「アジア市場について」といった具合に、地域の戦略についての質問が飛び出すことが多い。しかし、それらの質問に対して氏の回答で一貫しているのは「我々は国と仕事をしているのではない。企業という顧客とビジネスをしているのだ」という言葉だ。同社はクラウド戦略において、多国籍企業をターゲットとしている。それはどこの国であろうと関係なく、グローバルにビジネスを迅速に展開していくという戦略に直結する。
《小板謙次》
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