【IDF 2011(Vol.8)】PCとスマホの高度な連携を可能にする「Teleport Extender」 | RBB TODAY

【IDF 2011(Vol.8)】PCとスマホの高度な連携を可能にする「Teleport Extender」

エンタープライズ 企業
Pair & Shareのデモ。PCとiPad、Android搭載スマートフォンおよびタブレットとの間で写真を共有
Pair & Shareのデモ。PCとiPad、Android搭載スマートフォンおよびタブレットとの間で写真を共有 全 6 枚
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 米インテル(Intel)は、PCと他のインターネットデバイスを連携させる技術「Pair & Share」および「Teleport Extender」の開発を進めている。無線LANを通じて、スマートフォン、タブレット、インターネット対応テレビなどの各種機器とPCの間でコンテンツやメッセージの共有を行うソフトウェアプラットフォームで、10月ごろを目処にリリースされる予定。

 これらの技術は、IDF 2011の基調講演で簡単なデモが公開されたほか、展示ブースにおいて実演を見ることができた。Pair & Shareでは、あらかじめペアリング(相互認証)を行ったPCやスマートフォン、テレビ等の間で、写真や動画などのファイルを簡単に共有できるもの。基本的には、家庭内のPCがサーバーとなり、クライアント端末はそこに蓄積されたデータにアクセスする形となる。また、PCを家庭内掲示板のように使う機能なども備えており、家族用のポータルページに伝言を書き込んだり、写真を貼り付けたりといった使い方も可能だ。

 いわばPCを“ホームサーバー”として使うという考え方だが、このような利用ケースの提案はもう何年も前から行われており、日本でも大手電機メーカー製のPCに同種の機能を実現するソフトウェアが搭載されていることは珍しくない。また、LANを通じたPCと家電との連携という点では、DLNAなどの既存技術でできることと大差なく、そういった使い方自体にはほとんど新味はないと言って差し支えないだろう。

 それでもIntelがあえて今この仕組みを打ち出すのは、現実の市場においてはPCとモバイル端末等との間でのコンテンツ連携が十分に進んでいないという認識を同社が持っているからだ。スマートフォンやタブレットを使っているユーザーなら、それらの機器とPCとの間でデータを転送するには、メモリーカードを抜き差ししたり、USBケーブルで接続したりと、意外に面倒な手順を踏む必要があることを実感する場面も少なくないだろう。Pair & Shareは、一度ペアリングをすれば端末がネットワークに接続している限り簡単にコンテンツをやりとりできるのがメリットで、当初は家庭内のLAN上のみをサポートするが、将来のバージョンでインターネット越しのコンテンツ共有にも対応したいとしている(DRMがかかってているコンテンツについては制限がかかることが予想されるが)。

 また、IntelはあくまでPair & Shareの機能をミドルウェアとして提供し、実際のアプリケーションはOEMベンダーがPCに組み込む形で搭載する形となる見込み。端末の認証など開発・検証が面倒な部分をIntelがあらかじめ用意することで、多くのOEMベンダーによってこの仕組みを利用したアプリケーションが登場することを狙う。PC側には特別なハードウェア用件はなく、無線LANに接続できるWindows PCであれば基本的に機種は問わないという。モバイル端末側は現状ではAndroidおよびiOSをサポートする予定で、クライアントソフトはAndroidマーケットおよびApp Storeを通じて提供される。

 Teleport ExtenderはAndroid端末で利用できる技術で、もう一段階突っ込んだPCとスマートフォンとの連携を可能にするものだ。ひと言で言えば、音声通話やSMSの着信などを無線LAN経由でPCに転送する仕組みである。スマートフォンをマナーモードにしたままPCでの作業に没頭しているときなども、PCの画面上に相手先の番号(あらかじめ登録している番号の場合は名前も)がポップアップ表示されて電話やメッセージの着信を知ることができるし、SMSについてはPCのキーボードを利用して入力・送信が可能。また、会社で自席にスマートフォンを置いたまま、PCだけを別室に持ち込んで会議をしているときなども、無線LANがつながっていれば周囲に迷惑をかけずにSMSのやりとりが可能なので、法人向けPCでも需要のある機能と考えられる。

 Pair & ShareやTeleport Extenderは、「スマートフォンやタブレットが流行っても、ハブになるのはあくまでPC」という構図を維持するために打ち出したテクノロジーと見ることもできるので、Intelの思惑通りすんなりと多くのOEMベンダーが採用するかどうかは未知数である。しかし、Pair & ShareはAndroidに加えiPhoneまで標準サポートするなど、かつてはエンドtoエンドでIntelプラットフォームの採用を訴求していた同社の姿勢とは少し違うものが感じられる。いずれにしても、モバイル機器や家電といかに簡単かつ便利に連携できるかが、PCの価値をこれまで以上に左右するようになってきたことは間違いないと言えるだろう。

《RBB TODAY》

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