KDDI、「つながるau」への取組みを説明……3G/Wi-Fiエリア展開・通信品質向上に関する記者会見 | RBB TODAY

KDDI、「つながるau」への取組みを説明……3G/Wi-Fiエリア展開・通信品質向上に関する記者会見

ブロードバンド フォトレポート
Wi-Fi推進室の大内良久氏
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 KDDIは5日、都内の電気通信事業者協会にて会見を開き、3GおよびWi-Fiのエリア展開と通信品質向上に関する同社の戦略について発表した。

■基地局の最適配置により局地的な圏外エリアをなくす

 3Gの通信品質向上への取り組みについては、技術統括本部副統括本部長で執行役員の西山治男氏が説明した。総務省の方針による800MHz帯の区画整理について触れ、「周波数の再編が必要だということで、当社では国家事業のひとつとして2006年から取り組んできた。2GHz帯と新しい800MHz帯とのマルチバンドでも品質を向上させ問題なく使っていただくため、インフラの基本的な構築は2011年度に完了している」と述べる。

 旧800MHz帯は2012年7月をもって停波し、新800MHz帯(と2GHz帯とのマルチバンド)に移行するが、これにともない基地局は2.6倍に増え、エリアカバーは20%アップしたという。これまで圏外であった山間部の観光地などもカバーできるようになった。

 また、都心部でのエリア補完について西山氏は、「単純に基地局を増やしていけばつながりやすいネットワークができるというわけではない」と前置きしたうえで、「いかに基地局を最適配置していくかがキモ。路地裏やビル影をどうやってエリア化するか。今は3Dマップやシミュレーションといった高度なツールを使い、エリア設計をして作り上げている」と“つながるau”に自信を示す。

 また、800MHzと2GHzというバンド間で行き交う際のハンドオーバーについては、利便を損なわないように端末とインフラ間でチューニングをおこなう。この結果、KDDIによる実測値では、つながりやすさは最大で10%程度改善する例もみられるなどの好結果が得られたという。


■「生活動線上の使い勝手を考えたエリア設計を」

 また、地下鉄駅間のエリア化についても順次対応中だ。ただし、電車は複数の基地局からの電波が入り乱れた環境となるため、ハンドオーバー失敗による切断が生じやすい。この問題については、「マルチバンドの基地局が集まっている地域を移動するシチューエーションで、ハンドオーバーをきちんとやるのは非常に高度な技術。つながりを維持するために、パラメーターの設定を調整したりレピーターで間をつなぐとかのチューニングにより、トータルの品質を向上させる取り組みをおこなってきた」(西山氏)という。

 また既報の通り、基地局の混雑度合いをリアルタイムに監視し、混雑している基地局配下の移動機を隣接する非混雑局に接続させるEVDO Advancedを4月10日より全国に順次導入。従来のおよそ1.5倍のデータ収容が可能となり、利用者の体感スループットも平均で2倍程度にまで向上するとのことだ。同社のテスト結果を交え、必ずしも通信速度の規格値の違いが実効速度の面で大きな差になっていないことも強調した。

 またユーザーからのエリア問い合わせやクレームに対しては、サポートセンターで対応に当たっている。さらにマンションの高層階や戸建てなどのエリア化が難しい場所では、au フェムトセル提供により改善を図っている。西山氏は「快適にご利用いただくために、大容量だけでなくいかにつながりやすくするか、お客様の生活動線での使い勝手を向上させている」とネットワーク整備の基本的な考え方を示した。


■「HOME SPOT CUBE」は35万台突破

 続いて、Wi-Fiエリアの通信品質向上への取り組みについては、Wi-Fi推進室の大内良久氏が説明をおこなった。au Wi-Fiについても、3Gのネットワーク整備と同様「利便性の高い生活動線上に展開する」ことをコンセプトとして取り組んできたという。

 大内氏はこれらの取り組みを「ひろがる」(スポット・エリア増加拡大)、「つながる」(通信品質向上)、「ツカエル」(利便性向上)という3点に分けて説明した。

 まず「ひろがる」については、急ピッチでとりくむau Wi-Fiスポット設置について紹介。コンビニや駅、学校・オフィス、飲食店、店舗や地下街、そして娯楽施設、さらには海外と、すでにau Wi-Fiスポットは3月29日時点で10万ヵ所を突破、自宅用のWi-Fiルータである「HOME SPOT CUBE」は35万台を超えたという。

 ついで「つながる」(通信品質向上)の取り組みとしては(1)2.4GHz帯に加えて干渉の少ない5GHz帯対応、(2)3Gが逼迫しているエリアを調査しWi-Fiで補完するとともに、接続状況(CDL)データ分析や走行データ分析を集約した品質情報解析システムの導入、(3)利用者が多くいる方向に向けて電波を吹くことで屋内施設全体をカバーする「ビームフォーミング技術」の導入、そして(4)ストリートや地下街をまるごとWi-Fi化する「ストリートセル構想」といった対策に取り組んでいる。

 とくにWi-Fiで問題になっている2.4GHz帯の干渉について、大内氏は「Wi-Fi機器が多いと言うこともあるが、電子レンジや自動ドアなど無線機器の多くははこの2.4GHz帯を使っており干渉が起きやすい。こうしたものはキャリア側ではどうすることもできないため、インフラ側でチャンネル幅の広い5GHzに対応させることで干渉を最小限にとどめる」とその狙いを述べた。


■Wi-Fiを使わない理由に耳を傾け、改善に取り組む

 さらに大内氏は「ツカエル」(利便性向上への取り組み)についても紹介。「たくさんWi-Fiスポットを用意してエリア化しても使っていただけなければ意味がない。Wi-Fiを使わないお客様の声を集めて、これらの声に向き合って対策に取り組んだ」と大内氏。

 その調査によれば、Wi-Fi利用時の不満は「電池の持ちが悪い」が最も多く、「3GとWi-Fiの切替が面倒くさい」「設定が面倒くさい」「Wi-Fiへの切替時間がかかる」「通信品質が不安」「セキュリティが不安」と続いた。

 同社ではこれらの意見に対して個々に対応。まず電池の持ちについては、5月をメドにWi-Fi接続アプリのアップデート行い、待受時のWi-Fi信号受信感覚を最適化。これにより消費電力を下げることができ、電池持ちが従来のおよそ2倍程度にまで改善できるという。

 また、3GとWi-Fiパスの自動切替技術をAndroid搭載スマートフォンに導入しているほか、設定の不便についてはウィジェットとして利用できる専用アプリ(au Wi-Fi接続ツール)でSSIDやパスワードを入力することのない簡単設定が可能だ。それに先のアップデートにより、Wi-Fiへの切替時間についても接続シーケンスの最適化やアプリ改善で半分以下に短縮する。そしてセキュリティについては最新の暗号化符号(WPA-PSK(AES))に対応済みだ。

 大内氏は「お客様にしてみれば、どれだけ“つながる”かが重要であって、Wi-Fiも3Gも関係ない。当社はお客様の生活動線上を念頭に、3GでもWi-Fiでもストレスなく使える“スマートネットワーク”にこだわってエリアを設計し取り組んできた。またインフラだけでなく端末側との連携による省電力化やシームレスにつながる技術・ノウハウを蓄積している」として、引き続きネットワークの改善に努めていく姿勢を示した。

《北島友和》

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