【中小企業のIT活用術 Vol.3】“見える化”で“残念な節電”を防ぐ! 消費電力はまだまだ減らせる(後編) | RBB TODAY

【中小企業のIT活用術 Vol.3】“見える化”で“残念な節電”を防ぐ! 消費電力はまだまだ減らせる(後編)

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見える化からBEMSまで、各フェーズを連携して管理することもできる
見える化からBEMSまで、各フェーズを連携して管理することもできる 全 8 枚
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■中小企業はスマートコンセントから始める

 節電意識は高まっているが、それが消費電力のダウンや電気料金の目立った削減につながらず、悩んでいる経営者も多い。大塚商会でBEMSを担当する北堀氏は、中小企業に最初の取り組みとして「電力の見える化 スターターパック」を勧めた。これは短いACの延長コードのような外観のスマートコンセントと管理ソフトをセットにしたものだ。PCなど機器のACコードとコンセントの間に接続すると、そのラインの消費電力がリアルタイムで測定され、無線経由で管理用のPCにデータが送られるので工事が不要。管理用のPCは小さいUSBドングルと管理ソフトをインストールしておく。

 スマートコンセントには、コンセントタイプのスティングと埋め込み型のステルスの2種類がある。スターターパックにはスティングが4つ含まれており、このうち1つは親機(スティング+と呼んでいるZigBeeのコーディネータ)として、USBドングルと通信を行う。管理用のソフトウェアやスティングの設定はほぼ自動化されているので、北堀氏によれば、2~3人の小さいオフィスからでも導入が可能だという。

 管理ソフトウェアによって、機器ごとの消費電力をグラフ等でモニタリングできるので、まずは見える化による節電意識を持ってもらうところから始められる。スティングは計測したい機器ごとに増やしたり、ステルスを使えば、シーリングライトなどの照明器具やオフィスや建物に設置された照明機器のモニタリングも可能である。

■デマンドコントロールで基本料を下げる

 しかし、もう少し大きなオフィスや企業になってくると、機器ごとの消費電力管理だけでは思ったほど電気料金が下がらないことがある。そうなると、デマンドコントロールの出番となる。電気料金のうち基本料金は月ごとのピーク電力(デマンド=需要電力)で決まる仕組みになっている。このデマンドを把握し、ピーク使用量を抑制できれば基本料金の上昇を抑えることができる。

 「エコ.WebIII」は、このデマンドコンロールを実現してくれるソリューションだ。電力会社の積算電力計に検出器を取り付け、全体の消費電力が設定したピーク電力を超えそうになるとメール通知をしてくれたり、パトライトを点灯させたりしてくれる。もちろん監視ソフトウェアも提供されるので、使用状況を分単位でグラフなどで確認できる。

 先ほど紹介した「電力の見える化スターターパック」と「エコ.WebIII」の組み合わせによって、オフィスごと、拠点ごとに電力監視とデマンドコントロールが可能になる。数十人から百人程度のオフィスならば、この構成がお勧めとなる。

■ビル単位、拠点間の電力管理で改正省エネ法にも対応

 しかし、複数フロアやビル単位での電力管理などを行いたい場合は、分電盤ごとに電力監視、制御を実現するBEMSソリューションを利用することになる。大塚商会では「UBITEQ GREEN SERVICE」というSaaS型のBEMSソリューションを用意している。「電力の見える化スターターパック」でもステルスを使えば、照明機器のON/OFFの制御とスケジューリングは可能だが、「UBITEQ GREEN SERVICE」になると、空調設備を含む工場単位、ビル単位のさまざまな機器の監視と制御が可能になる。

 さらに、複数拠点を結んだ電力管理のニーズについては「オープンBEMS」というソリューションを用意している。「オープンBEMS」は、IEEE1888に準拠しており、複数拠点のオープンBEMSや既存のBEMSをネットワークで結んで包括的な制御・管理を実現するものだ。会社単位で節電目標が課せられる改正省エネ法へのソリューションにもなる。

■省エネノウハウは終わりなき追求

 大塚商会では、以上のように中小企業から大企業まで対応可能なエネルギーマネジメントのソリューションを用意しているが、今後の展開についてはどのように考えているのだろうか。

 北堀氏は、「事業規模によるニーズについては、スマートコンセント、エコ.WebIII、UBITEQ GREEN SERVICEと3段階でソリューションを展開しています。しかし、エネルギーマネジメントやBEMSでは、ビルごと、業種ごとの特性を活かしたシステム構成や運用が重要で、実際には導入コンサルティングのような作業も不可欠です。そういったノウハウや業界ごとの傾向の分析をもっと進めて、さまざまなニーズに対応できるようにしたいですね。とくにスマートコンセントは発表して間もないので、中小企業での導入事例やその声を今後のサービス改善やソリューション開発につなげたいと思います」と語り、まだまだ省エネに関してできることは多く、大きな可能性があることを示してくれた。

《中尾真二》

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