【中小企業のIT活用術 Vol.5】文書管理で企業はもっと強くなる!(後編) | RBB TODAY

【中小企業のIT活用術 Vol.5】文書管理で企業はもっと強くなる!(後編)

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大塚商会 共通基盤プロモーション部 ODSプロモーション課の尾上博隆氏(手前)と榎本貴氏(奥)
大塚商会 共通基盤プロモーション部 ODSプロモーション課の尾上博隆氏(手前)と榎本貴氏(奥) 全 7 枚
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 前回は、文書管理のライフサイクル上の「発生」と「管理」のフェーズについて紹介した。今回は、セキュアな管理や省スペースが求められる「保存」、環境への配慮も重要な「廃棄」についてみていきたい。

 特に、「保存」については最近、オフィスから背の高いキャビネットが排除される傾向にある。これは東日本大震災でキャビネットが倒れるなど社員の怪我につながったり、脱出経路をふさいだことがあったためだ。これを一歩進める形で、書類の電子化に踏み切る企業も増えているそうだ。

■「保存」の見直しで月額100万円のコストダウンに成功

 文書を電子化したとしても紙が完全になくなるわけではない。使用頻度が少ないが、法定保存期間があるために捨てられない書類などもあり、これらは原本を保存することになる。この場合には、そのコストを考えるのが重要だ。フロア内でキャビネットを設置しているスペースは、坪単価でいくらかかっているのか。中には、キャビネットを撤去してフロア一つ分のスペースを開放し、契約を解除することで、月額100万円近くのコストダウンに成功したケースもあるという。

 保存場所の環境についても配慮する必要がある。「紙の書類は『セービングBOX』サービス(ワンビシアーカイブズ提供)で倉庫に預けることもできます。企業の書庫には空調が完備されていないケースが多いですが、湿気に弱い紙にふさわしい環境とは言えません。紙が黄色くなったり、カビてしまうケースもあるので、環境が完備された倉庫に預けた方が安心できます」(大塚商会 共通基盤プロモーション部 ODSプロモーション課 榎本貴氏)。また、火災が発生した場合、スプリンクラーの起動などによって書類が濡れて駄目になってしまうケースもあるという。しかし、書類保管専用の倉庫であれば消火はガスで行われ、防火設備も充実しているので災害時の安全性も高い。倉庫に送った書類はナンバリングした上で、ボックス単位で保管されることになる。

 一方、紙文書をオンデマンド電送が可能な専用倉庫で預かってくれる「デジ倉」サービス(セキュリティリサイクル研究所提供)も便利だ。預けている文書データが緊急で必要になった時など、保管文書から必要な文書を検索、スキャナ入力によりPDFファイルへ変換し、電子メールに添付して送ってくれる。弁護士事務所では裁判用の書類を取り寄せる場合に利用されている。

 また、電子化した書類データについては、オンラインストレージサービス「たよれーる どこでもキャビネット」に保存するという方法もある。外部から社内サーバにアクセスできるようにすることはセキュリティホールを作ってしまうことにもなるので、社内外で共有したいデータや、公開ルールを定める必要のないファイルの管理を外部に委託するのは理にかなっている。社内サーバ用にスペースや空調を用意する必要が無くなるので、事務所をスマート化する上でも合わせて利用したいサービスだ。

 「文書と同じように電子データにもライフサイクルがあり、アクティブに利用されるのは1~2年の間だけです。使用頻度が下がったデータのためにサーバを設置するのは、コストやメンテナンスの手間から見てもマイナスにしかなりません」(大塚商会 共通基盤プロモーション部 ODSプロモーション課 尾上博隆氏)。

■内部統制によって急速に高まる「廃棄」問題

 コンプライアンス対策によって、急速に利用が伸びているのが「廃棄」のフェーズだという。以前は銀行など一部の業種でしか注目されていなかったが、最近では一般企業でも大量の書類をシュレッダーにかける必要がでてきている。「バインダーから取り外して、それを繰り返し送り込むのは手間と時間がかかる作業です。また、シュレッダーのリース料や廃棄処理費用などを考えると、アウトソーシングした方が安く済むケースも出てきます」(榎本氏)。

 大塚商会が取り扱う「メルティBOX」(ワンビシアーカイブズ提供)ではバインダーごと箱に入れるだけで処理できるので、書類を仕分けする手間を省略できる。また、廃棄は溶解処理で行われるため、シュレッダーのような復元性は一切ない。「処理した紙はトイレットペーパーや段ボールなどにリサイクルしているので、エコの観点から見ても有効なサービスになっています」。

 また、「廃棄」というフェーズで考えるなら、不要な電子データの削除も重要な作業だ。例えば、テンプレートを使用せずに宛先だけ違う書類を大量に作成すれば、データ量は何倍にも膨れ上がってしまう。

 「ある会社では以前は写真をネガで保存していましたが、デジカメに代わってからはサーバ上の指定場所に保存するようになりました。しかし、それが報告書フォルダや作業用フォルダなどに分散するようになり、社内サーバで無駄に容量を消費していたのです」(榎本氏)。

 こうした事例に対して、大塚商会ではデータアーカイブのソリューションを提案している。「GDMS」(ジャストシステム製)というサービスによって、名前が違うのに中身が重複しているファイルも逃さずに検出。ファイルは自動で削除することもでき、管理者に問い合わせがあったものをマニュアルで削除することも可能だ。

 「ファイルサーバのことを“ゴミ溜め”などと呼んでいる場合もありますが、これを可視化できるのが最大のメリットですね。同じ名前のファイルが大量に保存されているのが見つかれば、削除するようにアナウンスできますから。また、サーバの容量を圧縮することは、ダイレクトにバックアップの費用と時間に反映されるのも見逃せないです」(尾上氏)。

■トレンドを反映した書類管理ソリューションを

 これまで4つのフェーズに分けて、大塚商会が取り扱う文書管理サービスを紹介してきたが、これらは個別に利用することもできる。しかし、文書にライフサイクルがある以上、一つの問題を解決しても、他の課題が噴出するケースは多い。そのため、大塚商会ではあらゆる問題をケアできるようなサービスを目指しているという。

 「ひと昔前は書類を電子化しても、検索性の向上などは費用対効果のメリットが見えにくかったんです。実際には人的コストを削減できるし、現場では一番求められていることなんですけどね(笑)。ただ、それが最近では可視化されてきていて、お客様からのお問い合わせも増えてきています」(尾上氏)

 スマートフォンやタブレットがビジネスに利用されるようになり、書類を電子化するニーズはますます高まっている。こうしたトレンドを反映しつつ、これからもオフィスを強化するソリューションが必要になってくる。

《丸田》

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