【インタビュー】スマートフォン・モバイルと固定回線を結びつけるauの世界観と戦略
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―――スマートフォンの台頭によって、モバイル網のトラフィックを無線LANに逃がす“Wi-Fiオフロード率”も増えましたか?
松浦:オフロード率は対外的に公表しており、かなり増えていますね(2012年3月に20%程度だったオフロード率は、2012年12月には43%まで増加。2013年度末には50%を目標にしている)。そういう意味では、やはりオフロードへの施策に、かなり力を入れています。我々は昨年から宅内用無線LANアクセスポイントの“HOME SPOT CUBE”をお客様に配布しております。モバイルだけに頼らずに、そこは事業者視点としてしっかりオフロードをサポートしていき、さらにお客様に快適なネットワークを提供していきたいと考えています。
丸岡:HOME SPOT CUBEのような端末への取り組みもありますが、無線の周波数帯も2.5GHzから5GHz帯へ対応しています。クオリティの高いWi-Fi環境の提供を心掛けている点もポイントです。昨年末からauのスマートフォン側が全機種にわたり5GHz対応になりました。Wi-Fiといってもカタログに載っているから、それだけでよいということではなく、こういった細かい部分で他社との差別化を図っている点も効いているのだと思います。
―――au スマートバリューによって、ご家族で加入される割合も増えているのでしょうか?
白井:やはり相当伸びているという実感があります。実際にいろいろな方にお勧めしやすくなりました。au スマートバリューによって料金面でキッカケをつかんで、スマートフォン料金の安さを訴求し、オフロードや宅内での環境が良くなることもメリットとしてアピールできますから。すこし大げさかもしれませんが、新しいauの世界観をお伝えしています。やはり固定ネット回線だけでは新規導入や乗り換えに踏ん切りがつかない方もおられるようです。それを超える利用シーンを提案しやすくなってきたと感じています。ご自身のみならず、周りの家族も含めてメリットを得られることが後押しになっているようです。
―――インターネット利用人口が飽和を迎えつつあり、今後はFTTHユーザーの獲得が難しくなると予想されます。その点についてはどうお考えでしょうか?
白井:新たにインターネットを導入する際、昔ほどFTTHとADSLでは料金差がなくなってきています。やはり映像などのコンテンツを楽しむには光回線のほうが断然有利です。「FTTHがそれなりの料金で利用できるのであれば利用したい」と考えているお客様に対し、家族へのご提案や利用シーンを含めて分かりやすく説明し、アプローチをかけていきたいです。今回、サポート部門でもアワードをいただいておりますが、我々のau one netでは、たとえば“安心ネットセキュリティ”(月額315円)という多機能セキュリティサービスや、接続や設定などを支援する“安心トータルサポート”(月額525円)というサービスもご用意しています。このような安心感も含めて、お客様にご提案していく方針です。
丸岡:先ほど申し上げたとおり、基本的な考え方としてはauスマートバリューによって料金のメリットを出し、家族がみんなでご利用したいという流れにもっていくことが重要だと認識しています。ちなみにauスマートバリューのお客様に対し、Android 4.0採用のセットトップボックス“Smart TV Stick”を2013年2月に発表しました。これは自宅のテレビがスマートテレビに簡単に変身するものです。ゲーム・エンターテイメントなどの人気アプリが取り放題の“auスマートパス”(月額390円)や、映画・ドラマ・アニメを好きなだけ観られるビデオパス(月額590円)を、家族と共にテレビで楽しむためのSTBです。このように家族全員で体感できる利便性や付加価値を出せる取り組みを具現化したいと考えています。
―――ではコンシューマーだけでなく法人への取り組み、特に中小企業などの新市場への戦略や展開はどうでしょうか?
松浦:中小企業は間違いなく強化していかなければならない分野だと思っています。実際に中小企業のお客様に対して、モバイルも固定回線も含めたITサービスのご提案ができる体制を強化しているところです。
丸岡:やはり我々にはモバイルを持っている強みがあると思います。回線だけを変えてもらいたいという話になれば、お客様にとっては料金に対するとらえ方が一番シビアになるところですが、それだけでは戦えません。それにプラスアルファの付加価値として、モバイルも含めてしっかり訴求していきたいです。通信とは全く関係のないところで、中小企業のお客様が困っている点をサポートすることも考えるべきと思っています。 たとえば販促品をご提案するなど、商社的なアプローチも選択肢としてあるでしょう。今後も中小企業などの新市場の開拓を進めていくつもりです。
《井上猛雄》
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