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【木暮祐一のモバイルウォッチ】第32回 スマートフォン時代のキャリア選びは通信品質が決め手に?!

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 このところ、各通信キャリアの「通信エリアと通信品質」に関する話題が各所で盛り上がっている。こうした話題は過去から尽きない話ではあったが、今年に入ってから、ソフトバンクは「つながりやすさNo.1へ」というテレビCMを展開する一方で、他の通信キャリアはこれに対抗する調査などを行い、通信エリアや通信品質のアピールに一段と火花を散らすようになっていった。

 そうした中、KDDIの「au 4G LTE」の通信エリアに関し、同社が昨年秋から冬にかけて公開した「au 4G LTE」の広告やサービス説明で、「サービス開始時より全国主要都市をカバー」、「4G LTE (iPhone 5 含む) 対応機種なら」、「受信最大 75Mbps の超高速 ネットワークを実人口カバー率96%に急速拡大。(2013年3月末予定)」等と表示していたものの、これが事実と異なっていたということで、消費者庁は不当景品類及び不当表示防止法(景表法)に基づく措置命令を出すという事件も起こった。

 「電波」という人の目には見えないインフラを数値で実感できるようにした「人口カバー率」という指標もここにきて疑問視されてきている。「人口カバー率」とは、もともとは各市町村単位での利用の可否をもとに、「利用可能な市町村の人口の合計÷国内総人口」で率として算出するものだった(総務省基準)。この場合市町村での利用可否は、市役所や町村役場が通信エリアになっていれば、当該市町村はカバーされたとみなされる。極端な話、市役所や町村役場さえカバーすれば良いわけだ。各社ともこの「人口カバー率」を採用してきたが、昨今ではKDDI、ソフトバンクがメッシュ法を取り入れた独自の「実人口カバー率」を使用するようになり単純な比較ができない状況になってきた。

 なお、KDDIが採用している「実人口カバー率(メッシュ法)」は、全国を500m四方のメッシュに区分し、メッシュ内で1世帯でも通信できればメッシュ全体をカバーしたと判断し、カバー率を算出する。ただし、実際には1世帯のみでカバーしたとは判断していないようである。ソフトバンクも同様に「実人口カバー率(メッシュ法)」を用いるようになったが、ソフトバンクの場合は全国を500m四方のメッシュに区分し、「メッシュ内である程度の世帯で通信できればメッシュ全体をカバーした」と判断するという。「ある程度」がどの程度の割合なのかは非公表となっている。

 このように、各通信キャリアによって算出基準も異なる指標を用いているため、単純に数値を比較して通信エリアや通信品質の優劣を判断することはできなくなっている。さらに通信方式(3GとLTEなど)や対応周波数帯域によって通信エリアは異なるし、各社が市販している携帯電話やスマートフォン端末がどの通信方式や周波数帯域に対応しているのかによって、通信事情は大きく変わってくる。

 KDDIへの措置命令をきっかけに、総務省と消費者庁の指導の下で統一基準を設け、利用者の混乱を回避し、各社のサービス比較を容易にしようという動きも出てきた。スマートフォンがラインアップの中心を占める時代になればなおさらのこと、通信キャリアに求められることは「通信品質」とその利用料金のバランスとなっていく。通信品質を比較する際の基準が統一されることで、通信品質での通信キャリアの比較が容易になれば、サービス競争も一段と促進されて行くだろう。
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《RBB TODAY》

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