【Interop 2013 Vol.72】「IX」の進むべき道は?日本が情報拠点であり続けるために……JPIX
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■トラフィックはダウンロードサービスに集中
講演ではまず、同社のIXサービスを経由するトラフィックを元に昨今のインターネットの利用傾向を説明。トラフィックは依然として増加傾向にあり、その内訳として、「P2Pを介したものから、基本的にはWebサーバや動画ストリーミングサーバなどに保存されているコンテンツのダウンロードにトラフィックの中心が移ってきさた」(石田氏)と説明。これは、2010年の著作権法改正によって違法コンテンツのダウンロードが違法化されたこと、そして2012年10月1日に違法ダウンロードが刑罰化されたことが大きく影響しているという。
JPIXの顧客を配信側(コンテンツ系)と受信側に分けてみてみると、配信側は総トラフィックの半分を上位10社が生成しており、寡占傾向が強まっているようだ。一方、受ける側に関しては、上位10社で4割ほどのトラフィックで、送り出す側に比べればやや寡占傾向は緩やか。「受ける側については、地域のケーブルTV事業者やIPSなど、できるだけ様々な顧客に使ってもらいたいというところがあり、それが少しずつ反映されてきた」「配信側と受信側がはっきりと分かれ、明らかにダウンロードのサービスが使われている。これがインターネットの今の使われ方」とのこと。
■インターネットは社会活動と切り離せない
ユニークな事例としては、今月4日のトラフィックの動きを紹介。この日はサッカー日本代表のW杯予選(対オーストラリア戦)の試合中継があり、中継中はインターネット利用が控えめに、ハーフタイムになると利用が盛り上がるといった状況がトラフィックの増減から見て取れる。ここで石田氏は東京都の水道局を例にとり、「水道局もハーフタイム等に合わせて水圧の調整を行っていたと聞いた。それと同じように、インターネットももはや社会活動と切り離しては語れない状況になっている」と話し、インターネットを社会インフラとして捉え、きちんとコントロールする必要があるとした。
IXは、「巨大なISPにつないでトラフィック交換する形態ではなく、お互いに対等な位置でのトラフィック交換、その仲介をする立場」であり、「ネットワーク的に近い位置でのトラフィック交換、すなわち広帯域・低遅延で低コストのトラフィック交換が可能になる」ことが大きなメリットであるという。なるべく近い所、ネットワークのコアの所からつなげたいという顧客ニーズに応えるため、同社では全国に8サイトの接続拠点を設置している。
対等なトラフィック交換が可能となり、そこにプロバイダが集中することによって、例えば、「DNSのルートサーバやコンテンツを配信するサーバなど重要なものを設置する場所とすることができる」「ネットワーク的な中心となれば、その周りにいる顧客同士の仲介もでき、プロバイダ同士のコミュニケーション促進にもつながる」などのメリットが考えられるとのことだ。
《白石 雄太》
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