固定から無線まで、仮想化による統合管理への挑戦……ファーウェイ
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ファーウェイを語る上で欠かせないもうひとつのキーワードは「グローバル」だ。ファーウェイグループの売上高は年間で約3兆円だが、そのうち70%が海外市場での売り上げであり、中国国内での売り上げは残りの30%ほどだ。また、世界の通信事業者トップ50社のうち45社に同社の固定から無線に至る通信インフラを支える通信機器やスマートフォンなどの携帯端末が採用されている。
そのファーウェイがいま力を入れているのがSoftCOMと呼ばれるネットワークアーキテクチャ構想だ。技術的にはSDNをベースとした仮想化ネットワークを意味するが、これを通信事業者のネットワークにまで適用を広げようというものだ。通常SDNやOpenFlowといった場合、データセンターやエンタープライズ領域のLAN、広域LANを仮想化するためのソリューションを意味する。これを、場合によっては帯域も規模も異なる通信事業者のコアネットワークやCPEまでのアクセス網を仮想ネットワークとして統合管理してしおうというわけだから、かなりチャレンジングな構想といえる。
■通信事業者もIP化、仮想化によるクラウドオーケストレーションの時代へ
今回は、ファーウェイ・ジャパンにSoftCOM構想について詳しく聞いてみた。ネットワークソリューションセールス部 チーフ ネットワークアーキテクトの滝広眞利氏によれば、SoftCOM構想は、次の4つの技術戦略によって構成されるという。
1.Internetized Operation
2.IT System Cloud Function
3.Network Cloud
4.NFV(Network Function Virtulization)
「Internetized Operation」は通信のIP化(オープン化)のことである。音声にしろデータにしろIP化は通信事業者にも浸透しつつあるが、SoftCOMでは通信機器の統合管理(オーケストレーション)のための重要なポイントとなる。「IT System Cloud Function」は、一般的なITシステムのクラウド化による仮想化のことを指す。「Network Cloud」はSDNに代表される仮想化ネットワークの技術やソリューションで、伝送トラフィックと制御トラフィックを分離するものである。「NFV(Network Function Virtulization)」のNFVとは、ハードウェア機能も仮想化し多機能化を実現するという考え方だ。
通信事業者がSoftCOM構想によるネットワークを構築するメリットはどこにあるのだろうか。この質問に滝広氏は、「まず通信事業者のオペレータコストを下げることができます。トラフィックエンジニアリングを容易にし、機器や回線の有効利用、動的なリソース配分などが可能になるからです」と答える。
確かに仮想化によるメリットは、データセンターのネットワークでも通信事業者のネットワークでも変わりないだろう。量的、質的にも増大するトラフィックに対応するには、仮想化を含む新しいネットワークアーキテクチャへの転換は避けられない。しかし、ソフトウェア制御による仮想化ネットワークは、膨大なトラフィックを捌かなければならない通信事業者のネットワークに適用できるのだろうか。パフォーマンスに与える影響はないのだろうか。
この疑問に対する答えは、まず、SDNでは、データ転送と制御信号のパスは分かれており、仮想化スイッチの制御処理がスループットに与える影響は大きくないことがひとつ。次に、SoftCOMで利用されるファーウェイのネットワーク機器は、独自開発のASICによって、プログラマブルなハードウェアとして柔軟な機能を高速に実行できるとのことで、キャリアグレードの機器への適用も問題ないという。
しかも、滝広氏によれば、このようなソフトウェアネットワークについては、欧米よりも日本の通信事業者のほうが興味を示してくれているそうだ。
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