固定から無線まで、仮想化による統合管理への挑戦……ファーウェイ
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以上は主に固定系のネットワークについての仮想化の話だった。モバイルネットワークはどうだろうか。モバイルネットワークの世界では、増えるデータトラフィックの負荷をどう捌くか(トラフィックオフローディング)の問題がある。また、3G、4G、LTE-Advancedとマルチバンド化するRAN(Radio Access Network)を統一的に管理するSingle RANという考え方がホットなトピックとして注目されている。
ファーウェイでは、このモバイルネットワークの問題についても仮想化ネットワークによるソリューションが有効であると考えている。それがSoftMobile構想だ。SoftMobileについてインタビューに答えてくれたのはソリューション部 モバイルアクセスグループ 担当部長・テクニカルディレクター 鹿島毅氏である。
SoftMobileは、GSM、UMTS、LTE FDD、LTE TDDの4つのモードに対応するベースバンドユニット(BBU)とこれを制御するユニット(SRC:Single Radio Controller)によって構成される。SDNのアーキテクチャをモバイルネットワークに適用した形ともいえるが、単に複数のバンドを仮想化ネットワークとして制御するだけでなく、全体の統合的な管理(オーケストレーション)を行うことができる。
さらに将来的には、利用者の要求によって、ネットワーク機能、クラウドフォーメーション、VPNといったネットワークの設定制御も可能にするシステムを、必要に応じて通信事業者に提供することを見据えているという。具体的には、トラフィックオフロードの制御、オンデマンドによる帯域ブースト、パケットの優先度制御などQoSにかかわる付加価値の高いサービスを可能にしていくという。
BTS(基地局)には通常2G~4Gなどと複数のベースバンドに対応したアンテナやRRU(Remote Radio Unit)やベースバンドユニットを設置する。ベースバンドユニットはソフトウェア制御が可能であり、このとき制御局を物理的に1か所に集約してネットワーク全体を管理できれば、制御や管理のオペレーションコストを大きく下げることができる。これも仮想化ネットワークのメリットのひとつだ。
なお、実際には、ネットワークや局舎の条件によって、複数拠点での制御やクラウド利用などを組み合わせることになるだろうとのことだ。
■FDDとTDDの両方を持つことの強み
ところで、3GやLTEについて、FDD(周波数分割多重)方式とTDD(時分割多重)方式という変調方式がある。現在、多くの国がFDD方式を採用しており、TDD方式は中国が主な市場となっている。グローバルに展開するファーウェイは、当然両方の技術を持っておりどちらにも対応しているが、鹿島氏からFDD方式とTDD方式の違いについて興味深い話が聞けた。
「現在、多くの国、キャリアがLTEにFDD方式を採用していますが、帯域が込み合ってきており、そのような国でもTDD方式の採用がっています。日本でもソフトバンクがAXGPでうまくLTEのトラフィックを分散させています。また、上りリンク、下りリンクに同じ周波数を使うTDD方式は、片側の伝送を行っているときの状態が逆方向のリンクにも適用できます。FDD方式はリンクごとに電波状況など調べる必要があるので、MIMO方式のネゴシエーションなどを考えるとTDD方式にもメリットはあります」とのことだ。
筆者の考えだが、LTEの変調方式ではFDD方式がグローバルでの採用が多く、TDD方式のLTEは少数派(中国市場が入るので実際の利用者数での比較はしにくい)ともいえる。もちろん使用できる周波数帯によって条件は変わってくるが、マルチバンド端末が出荷され始めている状況を見るとベースバンドや通信方式の多様性への対応がメーカーや通信事業者にも求められていくだろう。ファーウェイは、9月18日~20日の期間に恵比寿ガーデンプレイスで開催される「SDN Japan 2013」に出展し、そこで「SoftCOM」とその関連技術について紹介する予定だ。
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