“モノづくり革命”進行中!3Dプリンタの原理・種類・メリットを徹底比較!!(後編)
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■3Dプリンタの選定基準、「本体性能」「運用(サポート材の除去)」「設置場所」に注目
選定基準を説明する前に、三本氏は3Dプリンタの課題について確認した。前編でも少し触れていたが、まず3Dプリンタの造形はサイズが小さく、平均して30cm程度のものになるということは押さえておきたい。また材料のバリエーションも限られており、本物のプラスチック製品を利用できる製品も少ない。従って造形品は必ずしも強度・耐熱性・耐薬品性に優れているとはいえない。また仕上がりは半透明で、精度的には切削には適わない。
とはいえ、それに勝る効果が大きいため、いま3Dプリンタが注目されているわけだ。費用を掛けずに設計アイデアを具現化し、その立体造形をプレゼンテーションで見せられる。そうなれば相手との議論も活性化するだろう。フィードバックを基に手直しを行なって、完成品のイメージに近づけられるのだ。
さて具体的な選定基準だが、三本氏によれば3つの大きなポイントがあるという。もちろん1つ目は「3Dプリンタ本体の性能」である。「コスト」(イニシャルおよびランニング)、「精度」(寸法/積層ピッチなど)のほか、「スピード」「造形サイズ」「材料種類」なども見ておきたい。
2つ目のポイントは運用面だ。特に「サポート材の除去方法」は見逃せない点。造形方法によってサポート材料や除去方法が異なるからだ。「サポート材の除去方法は、手によるブラッシング、送風定温恒温機による溶解、(アルカリ溶液)超音波洗浄などさまざま。一般的に石膏粉末はサポート材の除去がラクだ。後処理が大変だと、せっかく造形スピードが速くても相殺されてしまう。納期に悪影響を与えてしまうので注意したい」(三本氏)とのこと。
3つ目のポイントは「マシンの設置場所」である。本体がコンパクトな製品もあるが、ハイエンド製品はサイズが大きく、設置場所を取られることもある。サイズ・重量、さらに匂いや温度・湿度、光など、自社で制約されそうな条件を調べておいたほうがよい。
■業界の両雄、Stratasys社と3D Systems社
次に三本氏は具体的な製品についても紹介した。「いま業界のシェアはStratasys社と3D Systems社社に2分されている」(三本氏)。Stratasys社は、熱溶解積層方式(FDM)の特許を1988年に取得した老舗メーカー。2012年にObject社と合併した。紫外線硬化インクジェット方式の3Dプリンタでは、低価格なObjectシリーズと、ハイエンドなEDENシリーズの2系統の製品群(Polyjetシリーズ)がある。一方、3D Systems社も1986年に世界初の光造形機を商品化した老舗メーカーだ。ハイエンドな紫外線硬化インクジェット方式の3Dプリンタを取り扱うほか、2011年にはZ社を買収し、石膏粉末インクジェット方式も有している。
《井上猛雄》
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