コンチネンタルの考える自動運転とビッグデータの関係…IBM、CISCOと協力
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クルマの自動運転技術への注目は日々高まるばかりだ。欧州において、自動運転技術開発の大きな推進役のひとつとなるのが、世界的なメガ・サプライヤーであるコンチネンタル(コンティネンタル)である。そのコンチネンタルにおいて情報マネジメント分野を担当するインテリア部門長のヘルムート・マッチ取締役に、東京モーターショーに合わせて開催されたコンチネンタルのレセプション・パーティにて話を聞くことができた。
話題となる自動運転に関して、マッチ氏は「ビッグデータは必須と言って問題ないと私は思います」と言う。
コンチネンタルは「高度な自動運転の実現における前提条件」のひとつに「接続性」を挙げている。つまり、高度な自動運転にはクルマがスタンドアローンの存在ではなく、クラウドのシステムとつながっていることが必要だというのだ。そのクラウドに用意されるのが、いわゆるビッグデータである。
「今の先進運転支援システムは、だいたい100mから300m先までを認識します。でも、自動運転ではもっと先まで見えるようにしておかないといけません。ですから、“インターネットにつながれば楽しい”という接続ではなく、このカーブの先、その丘の先の情報が、我々が生存するために必要な情報として得られるための接続となります」とマッチ氏。
ここで言うビッグデータとは、マップデータ、天候データや道路状況などを含むもの。これらのデータをクラウドから受け取ることで、車両はより広い視野を持つことができる。つまり、ビッグデータというバックアップがあることで、自動運転はより高度なものになるというのだ。
◆コンチネンタル、IBM、CISCOのパートナーシップ
「ビッグデータの開発は進んでいますが、あまりにも大々的な開発になりますので、コンチネンタル一社ですべてとはいかないと思っています。パートナーであるIBMはトータルで110億ドルをビッグデータの分析・解析の開発に投資しています。その額から、どれだけの規模感の開発であるから分かると思います」
また、パートナーとしてはIBMだけでなく、データ圧縮とセキュリティの専門であるCISCO社も加わっている。IBMがビッグデータの処理・分析、CISCOがデータ圧縮とセキュリティ、コンチネンタルがシステムとコンポーネントを担当して、車両ネットワークを形成するのだ。
◆市場導入は、技術的な準備と社会的な準備が必要となる
「自動運転という分野は、この1年半で、いろいろな関心を集めてきました。ですから、それにまつわる開発は、どんどん増えていくと思います。ただ、こういったアイデアも安全に投入していかないといけません。安全に投入するためには、そのマーケットがそれを受け入れる状態にあるのか? 本当にそれを望む状態にあるのか? を見極め、適切なタイミングで投入することが肝要だと思います。社会の中で法規制の整備も含めて、社会制度が受け入れられるのが必要な条件ではないでしょうか。そして自動運転の最高の状態を実現できる時間の枠組として2025年という見方をしていますが、それまでに安全面のソリューションを用意しておかなければなりません。何か障害が発生したときに、人とクルマが何かやりとりをしなくても、自動で収拾できるシステムです」
2025年までの高度な自動運転の実現には、技術的な準備と、社会的な受け入れ体制の準備というふたつのハードルをクリアする必要があるというのだ。
「コンチネンタル社から出てくる革新的な製品は、思いつきで出てくるものでは絶対になく、未来のために、それを狙って、戦略として熟考を重ねた結果として出している製品です」とマッチ氏は断言する。
自動運転という革新的な技術の確立に向かい着実に歩みを進める。サプライヤーが生き残るための1つの方策として、コンチネンタルの姿勢が見えるインタビューとなった。
コンチネンタルの考える自動運転とビッグデータの関係
《鈴木ケンイチ@レスポンス》
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