「VAIOの譲渡は苦渋の決断」……ソニー平井社長、業績説明会でコメント 2ページ目 | RBB TODAY

「VAIOの譲渡は苦渋の決断」……ソニー平井社長、業績説明会でコメント

エンタープライズ 企業
ソニー代表執行役社長 兼 CEO 平井一夫氏
ソニー代表執行役社長 兼 CEO 平井一夫氏 全 3 枚
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――海外のPC事業は続けていくのか。

平井氏:JIPが決めることだが、当初は日本からスタートしてビジネスを継続することになるだろう。

――平井社長が就任されてから3つのコア事業を推し進めてきたが、今回の2つの事業改革(PCとテレビ)が何を変えていくとみている。

平井氏:エレクトロニクスについて言えば、私がCEOに就任してから3つのコア事業に選択・集中して、これをバッテリーなどのデバイス事業がサポートしていくという体制を作り上げてきた。より集中と選択が徹底されているエレクトロニクス事業を目指したい。ソニーグループとしては金融、エンターテインメントを含めて、お客様に「感動」を提供していくことが最も大切だと考えている。「感動」をキーワードに、ソニーは向かうべき方向へ進みたい。来期は構造改革費用に700億円を見込んでいるが、これも含めてエレクトロニクス事業で黒字化を目指す。

――テレビを分社化する意味が明確に見えない。分社化して何が変わるのか。

平井氏:分社化したから赤字が改善されるという単純なものではない。まずはこれまでにも成果が出ている、4Kを中心とした高付加価値路線を強化する。実際に13年4月、14年1月と当社テレビ製品の平均単価が徐々に上昇しており、高付加価値戦略が功を奏しているという結果が表れはじめている。これをさらに推進することが黒字化への道だ。同時にスピーディーな事業展開を図るために分社化が必要と考えた。例えばソニーモバイルで展開するXperiaとタブレット、SCEで展開するPlayStationはそれぞれにスピーディーな経営プラットフォームのもとで成果を上げている。このモデルをテレビにも持ち込みたい。ただ、分社化後も「One Sony」のスローガンの元に一丸になって展開しているマネージメント体制は変わらないし、一つのスピリットでビジネスを成功へ導いていきたい。

――TVビジネスは正しい方向に乗っているということだが、今後テレビ事業の売却はないと思うか。

平井氏:現時点では正しい方向に向かっていると認識しているし、分社化で経営スピードを効率化・加速化する。将来的にどうか、一般論で考えるならば「絶対にない」という答えはないが、少なくとも今は売却のプランは全くない。

――エレクトロニクスの黒字化を達成できなかったことで、平井社長の経営責任をどう捉えているのか。

平井氏:エレクトロニクスのターンアラウンドを達成し、エンターテインメント・金融など成長分野をさらに伸ばしながら、グループ全体の経営改革に寄与するという、私の使命を全うすべきと考えている。

――当期の最終損益が1,100億円の損失という見込みの数値をどう受け止めている。またテレビ事業が10期連続の赤字となり、追加で約5,000人の従業員削減を行うことについてはどう考えているか。

平井氏:そこにいたるまでの様々なオペレーションとしてみれば、テレビビジネスを含めていまは良い方向に向かっていると考えている。改革は緩めずに前に進みたい。人員減については、この規模での構造改革はここで一度打ち止めにしたい。競争が激化しているビジネス領域なので、ポートフォリオの見直し、入れ替えはこれからも常に行っていく。テレビ事業は確かに赤字が続いているが、赤字幅の縮小ペースは加速しているし、金額ベースでは回復しつつある。また4Kを中心とした高付加価値商品による成長の兆しも見られ、ソニーとして圧倒的なマーケットシェアも獲得している。今後も積極的に展開しながら黒字にしていくことが、まずは大事と考えている。

――ムーディーズがソニーの格付けを引き下げたことや、株価も下がっていることなど、市場の評価をどうみている。

平井氏:私がコメントする立場にないが、市場から色んな評価があるのは承知している。ソニーのエレクトロニクス復活へ、ユーザーが期待してくれていることも感じているし、私もそれに答えたいと思っている。商品軸の観点ではお客様に評価してもらえる製品が出てきている。攻めと守りの両方向で展開していく。

加藤氏:ムーディーズの格付け評価が下がったことは当社始まって以来のことであり、重大に受け止めている。一刻も早く戻すことを経営課題にしたい。格付け機関のレーティングに、評価を受ける側がどうこう言うべきではないと考えているが、ソニーのバランスシートを客観的にみれていただければ、けっして脆弱な経営体制ではないことが理解してもらえるはず。むしろ先行きのキャッシュフローを指摘されているのだと思う。有利子負債のある中で、キャッシュフローを生んでいく力が少し弱いという判断なのだと見ており、それは主にエレクトロニクス分野のことだろう。金融とエンターテインメントはしっかりと利益を生んでいるし、コア事業は投資の成果も生まれている。赤字を生んできたPC、テレビの各部門は止血に取り組んでいくので、来年度以降のキャッシュフローを改善しながらレーティングを戻していきたい。
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《山本 敦》

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