【木暮祐一のモバイルウォッチ】第45回 スマートフォンを軸にしたO2O施策の新たな成功モデルになるか、ゲオ「公式アプリ」 2ページ目 | RBB TODAY

【木暮祐一のモバイルウォッチ】第45回 スマートフォンを軸にしたO2O施策の新たな成功モデルになるか、ゲオ「公式アプリ」

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郊外の幹線道路沿いなどに精力的に店舗を出店しているゲオ
郊外の幹線道路沿いなどに精力的に店舗を出店しているゲオ 全 10 枚
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■コンテンツ業界がうらやむ、リアル店舗を持つ強み

 それにしても、このスマートフォン公式アプリを昨年11月14日に大幅リニューアルしてから会員移行が急ピッチに進んでいる感じだ。わずか3カ月で100万ダウンロードを突破しているが、通常、新規にアプリをリリースしても、短期間でこれだけのダウンロード数を実現させることは決して容易なことではない。その上会員証機能を搭載しているので、ゲームのようにすぐに飽きられてユーザーが離れていってしまうこともない確固たる顧客として定着している。一般的なアプリとは桁違いのダウンロード数を短期間に成し遂げたのは、全国展開されたリアル店舗とそこに足を運ぶ安定した顧客基盤があったからこそ実現できたものだ。ゲオは既存の店舗が1,343店あり、ここに確実に足を運ぶ1,600万人もの顧客を抱えている(レジを通過しているアクティブな会員数)。

 安定した顧客会員獲得こそがコンテンツ運営に重要な要素となってくるが、多くのコンテンツプロバイダーはこの目的を達成するために多額の広告宣伝費を使い、あの手この手で会員獲得に努める。さらに獲得した顧客会員を維持するのにも苦労を重ねているのである。しかし、ゲオの場合はすでに安定した会員基盤を持っている。しかも1,600万人ものアクティブな会員母数があるので、今後も順調に公式アプリのダウンロードは伸びて行くはずだ。顧客がスマートフォンを所有するようになり、Pontaカードの会員証を公式アプリに移行していけば、ゲオとしては顧客に対して新たな付加価値の提供が可能となる。この顧客プラットフォームに対するビジネスチャンスは、ゲオにしてみれば大きな可能性を秘めているということだろう。

 さらにゲオにはTSUTAYAにはない強みを持っている。じつはTSUTAYAはフランチャイズ店が9割を占めるとされている一方で、ゲオは直営店が9割を占めている。直営店が主体のため、事業本部が決定したサービス等をいち早く店舗で展開させることができるのだ。昨今、マクドナルドの滑落が伝えられているが、その要因のひとつはフランチャイズ化によることが大きいともささやかれている。直営店舗で展開し、従業員も直接雇用するということは、規模が大きくなるだけリスクも伴うが、一方で在庫や価格を本部で柔軟にコントロールでき、不採算店舗のスクラップ&ビルドもやりやすいといったメリットが生じる。こうした直営店主体のゲオだからこそスマートフォン公式アプリの展開も一気に進められたのだ。本部から全国店舗への展開のスピード感が、他のチェーン店系企業とは一線を画す。
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《木暮祐一》

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