【木暮祐一のモバイルウォッチ】第45回 スマートフォンを軸にしたO2O施策の新たな成功モデルになるか、ゲオ「公式アプリ」 3ページ目 | RBB TODAY

【木暮祐一のモバイルウォッチ】第45回 スマートフォンを軸にしたO2O施策の新たな成功モデルになるか、ゲオ「公式アプリ」

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郊外の幹線道路沿いなどに精力的に店舗を出店しているゲオ
郊外の幹線道路沿いなどに精力的に店舗を出店しているゲオ 全 10 枚
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■「ゲオ」公式アプリサービスの内容

 そのアプリであるが、昨年11月のリニューアルから個々のアプリごとにQRコードを割り当て、これを会員証として使えるものとしてリリースされた。TSUTAYAのTポイントに対抗し、ゲオはローソン、ロイヤルマーケティング等と組んで2010年3月よりPontaに参加し、ゲオの会員証自体もpontaカードとなっている。公式アプリではPontaIDを紐付けることで、公式アプリのみでもレンタルができるようなっている。このカードレスのスマートフォン会員証サービスは一部店舗からのスタートだったが、2014年2月24日からは全店でを利用できるようになった。

 また、アプリでは店舗検索やマイショップ登録も可能で、マイショップ登録すると「チラシ」「在庫検索」「クーポン」等の機能を利用できるようになる。「チラシ」は店舗の新聞の折り込み広告をスマートフォン上で見ることができる機能。ゲオを利用する顧客層は新聞を購読していない若年層も少なくなく、こうした顧客層への広告効果を狙っている。

 「コレクションボード」という、過去にレンタルしたDVD作品やお気に入りの作品を、アプリ上のボードにコレクションのように並べられる機能も備えている。気になる作品や、レンタル済みの作品を一覧化する機能だが、ここに並べられた作品に顧客がレビューを書き込むこともできる。従来は、書き込んだレビュー内容は顧客自身しか閲覧できないものだったが、3月7日に発表された機能拡張では、他の顧客にもレビューを公開できるように仕様変更された。これは消費者が口コミなどを投稿する事で生成されていくコンシューマー・ジェネレイテッド・メディア(CGM)としての展開を考えているものと見られる。さらには、好みのDVD作品等から顧客同士が交流図れるようなソーシャルネットワーク的サービスへの発展も目指していくのだろう。

 TSUTAYAに遅れをとったゲオのオンラインサービスだが、このスマートフォン公式アプリを軸にして様々な展開を短期間で実現させていくようだ。前述したが、ゲオではレジを通過しているアクティブな会員だけでも1600万人を抱えている。既存店舗約1,343店にこれだけの顧客が確実に足を運ぶ、いわば安定した顧客プラットフォームを持っている。「ログインボーナス」や「来店スタンプ」などを通した仮想通貨「ゲオス」による利用促進など、顧客がゲオのサービスに対してアクションを取ることにインセンティブを与えることで、アプリの利用頻度や来店頻度を一層高める効果も狙っている。今後はこれらの小技で収集したデータから顧客の行動分析を行い、レコメンデーションの手法も取り入れ、効果的に顧客に商材をアプローチしていくような展開も試みるのだろう。ゲオの既存会員へのサービス拡充につながる上、広くPonta会員向けにもゲオと絡めたサービス展開などの発展も期待できるのかもしれない。オンラインからオフラインへ顧客を誘導させるO2O(Online to Offline)マーケティングの試みが各所で見られるが、そうした中でゲオのオンライン戦略の今後の動きは、マーケティング関係者必見であろう。
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《木暮祐一》

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