【インタビュー】ディズニー、J・リー&C・バック監督 受け継がれるクラシックと新たな風
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
――女性進出が進んでいる現代において、初の女性監督というのは少し意外でした。
リー:アメリカではアニメに限らず、映画・テレビ業界は女性が少ないんです。とくにテレビ業界。アニメはまだ多い方かもしれません。でも今、大勢の女性スタッフと一緒に働いているから、それほど意識はしていなかったわ。クリス(・バック監督)がアニメを学んでいた頃は、クラスに女性ひとりしかいなかったのよね? いまは半々。もっと多くの女性が活躍して欲しい!
――リー監督がディズニーに参加したのは、2011年からですね。
リー:ディズニーは私にとって家族のよう。ほかの現場と違うのは、600人のアーティスト全員でひとつの作品に取り組むということ。『塔の上のラプンツェル』も『シュガー・ラッシュ』も『アナと雪の女王』もそう。互いに刺激しあい、インスピレーションを与えあう素晴らしい環境だわ。
――お二人自身、影響を受けてきたディズニー・アニメは何でしょうか?
バック:『ピノキオ』だね。4歳くらいの時、劇場で観て心をうばわれたよ。ストーリー、キャラクター、音楽、そしてストーリー。怖い場面もあるけど、最後はハッピーエンディング。子どもの頃、つらいことがあっても「ピノキオ」の話を思い出して頑張れたんだ。
リー:私は『シンデレラ』。2歳のときに初めて絵本をもらって、全て暗記していた。8、9歳くらいに映像で観て一目惚れしたわ。シンデレラは手が届きそうもないことでも夢を見てもいい、ということを教えてくれたの。そのおかげで、今私がここにいるようなものよ。シンデレラにはとても感謝しているわ。
――それらのアニメは作品作りにも影響していますか?
バック:もちろんだよ。『アナと雪の女王』はクラシックな雰囲気があると言われるけど、僕たちが名作に思い入れがあるからだろ思う。意識はしていなくても、影響されている。そこに加えて、僕たちならではの、イマっぽさを取り入れているんだ。
リー:ラッキーなことに、『アナと雪の女王』のアートディレクターは私同様にシンデレラの大ファン! 実は、所々に『シンデレラ』へのオマージュが入っているのよ。
――共同監督には、役割分担や、意見が衝突することもあるのでしょうか?
リー:お互いをうまく補完するようにしていたわ。私は脚本も書いていたので、その間はクリスが製作チームを見てくれることでスムーズに進めることができた。単純に600人のスタッフをひとりでまとめるということは大変だしね。
バック:最初から同じビジョンを共有していたので、彼女の存在はとても役立った。今までも共同監督したことがあるけど、相手が何か強い情熱を持っている時、それを否定することに意味はないと思うんだ。とりあえず試してみればいい。同時に、もしどちらかでもしっくりこないことがあれば、何かがうまくいっていないということだ。その答えは、二人だからこそいい案が浮かぶこともある。僕たちはいまだにケンカしたことはないよ!
――『アナと雪の女王』はアンデルセンの童話を原作としながらも、『リトル・マーメイド』同様に、物語は大幅に変わっていますね。
リー:私たちは原作にはあまりとらわれずに、自由な解釈でいいと思っていたの。原作はとても複雑だし、本には向いているけど、映画向きではない。アナという強い女の子が、愛だけを武器に戦っていたことに興味引かれたし、本ではただの悪役だった雪の女王がどういう人だったのかがもっと知りたくなった。“善VS悪”はもう何度も描かれていて新鮮味がないし、ぐっとくるものがなかった。アナ対エルサをこのように描くことにより、物語がより壮大なスケールになると思っていた。
――本作では、細かな表情までリアルに描かれ、キャラクターが生き生きとしています。
バック:このあと待機している2本のディズニー映画は、『アナと雪の女王』とはまた全く違う作風。物語はそれぞれにあった作風、美的センスが必要だ。『アナと雪の女王』のキャラクターたちはリアリティを追求し、信ぴょう性を持たせないと作品は成立しなかった。そのために新たな技術も開発されているんだ。
リー:技術開発が進み、より一層写実的に表現できるようになってきているけど、アニメーションにおいていちばん大切なのは“本質を再現する”ということ。それは写実的にするということには限らないし、これからも手書きアニメーションとCGのマッシュアップが増えていくと思うわ。
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