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【木暮祐一のモバイルウォッチ】第47回 ドコモ新料金プランは得なのか?

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木暮祐一氏。青森公立大学 准教授/博士(工学)、モバイル研究家として活躍し、モバイル学会の副会長も務める。1000台を超える携帯コレクションを保有。
木暮祐一氏。青森公立大学 准教授/博士(工学)、モバイル研究家として活躍し、モバイル学会の副会長も務める。1000台を超える携帯コレクションを保有。 全 9 枚
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■今後、他キャリアがどう出てくるか

 NTTドコモの新料金プランは、全く通話をせず、データ通信だけをヘビーに利用していたようなユーザーにとってはメリットが薄いのだが、常識的にスマートフォンを活用している大半のユーザー、とくに通話の利用が多いユーザーや家族の多いユーザーには魅力的な料金プランということだろう。料金プランを選定する上で重要なことは、自分自身や家族の通話およびデータ通信の量をきちんと把握しておくことだ。

 新料金プランへの変更は5月15日から受付を開始する。適用は6月1日からである。もちろん、現行プランを使い続けることもできるし、新たに契約する場合でも当面は現行プランも選べる。しかし近い将来にはすべて新料金プランに移行し、現行プランは廃止されることになる。その場合は、新規契約で現行プランは選べなくなる。また、家族で現行プランと新料金プランを混在させることは可能だが、この場合、現行プランで契約しているスマートフォンはデータ通信量のシェアはできない。また、現在利用しているユーザーが新料金プランに変更したあと、再び現行プランに戻すということも当面はできるのだが、現行プランが廃止された以降はプランを戻すことができなくなる。逆に現行プランが廃止された後も、プラン変更を希望しないユーザーは、そのまま継続して現行プランを使い続けることは可能である。

 現行プランの廃止時期であるが、現在のところ未定とされているが、早ければ今秋までには終了させるとの噂もある。6月に新プランがスタートして、ユーザーからの評判を見ながら旧プランの廃止時期を確定させるということだろう。

 3月まで、各地で激しく展開されてきたキャッシュバックによるMNP新規契約顧客獲得合戦では長期契約顧客が不利を被ってきた。キャッシュバックに使われる費用の原資は、当然既存顧客が支払っている電話料金だからだ。すでに1人1台以上普及している携帯電話(スマートフォン)の加入者の数を競うようなキャリア間競争はもはや無意味であり、今後各キャリアが目指すべきことは、既存顧客をいかに満足させる施策を打てるかで勝負するべきである。通信キャリア各社は国から電波の割り当てを受け、全国に通信インフラを張り巡らし、通信サービスを提供するのが本来の役務であり、その通信品質と料金のバランスを見ながらユーザーが最適なものを選択するというのが健全な業界の競争といえる。

 キャッシュバック騒動が一段落し、今後は長期契約顧客を優遇する施策に転換すべきであり、その第一歩がこのNTTドコモの新料金プランといえるだろう。家族向けにはメリットが多そうだが、まあ言い換えれば家族という単位で顧客を強固に獲得する新たな囲い込み手段とも言えないわけではないが、一方でキャッシュバック獲得目的で各キャリア間を転々としていたユーザーや、寝かせ契約ユーザーにとっては不利になるプランともいえ、いずれにしても業界が健全な方向に向かい始めたことを実感できることは嬉しい。

 この新料金プランが適用開始される6月というタイミングは、イー・アクセスとウィルコムが合併して新規スタートするワイモバイルの参入もあるので、端末販売や電話料金競争は一段と激化していくものと思われる。ソフトバンクは4月21日から提供予定だった条件付き定額通話とデータ通信をセットにした料金プラン「スマ放題」の提供を予定していたが、NTTドコモの新料金プラン発表を受けて提供の延期を決めた。おそらくNTTドコモの新料金プランに対抗できる内容になるよう見直しを行うのであろう。その他のキャリアも今後続々と対抗プランも発表してくるだろう。6月まで各キャリアの動向からまさに目が離せない状況だ。
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《木暮祐一》

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