【WTP 2014】5G・移動通信システムは日本の技術でリードしていく……総務省政策担当者が語る 2ページ目 | RBB TODAY

【WTP 2014】5G・移動通信システムは日本の技術でリードしていく……総務省政策担当者が語る

ブロードバンド 回線・サービス
総務省 総合通信基盤局 電波部 移動通信課 課長 布施田英生氏
総務省 総合通信基盤局 電波部 移動通信課 課長 布施田英生氏 全 11 枚
拡大写真
■周波数の割り当てと新たな周波数確保への取り組み

 移動体通信システム用の周波数割り当ての現状については、NTTドコモの合計160MHzに続き、auが110MHz、ソフトバンクが90MHzと続く。布施田氏は「NTTドコモに対する割り当てが圧倒的に多いように見えるが、auはグループ会社の子会社のUQを合わせたら160MHzに、ソフトバンクもイー・アクセス、ウィルコム、Wireless City Planningの分を足せば200MHzとなり、それなりに拮抗した競争状況であると言えるだろう」と配慮した。

 周波数全体の状況は現在逼迫しているという。2010年に立てられた「ワイヤレスブロードバンド実現に向けた周波数再編」のアクションプランでは、新しいサービスの創出による経済成長を促し、利用者の利便性向上、国際競争力の強化を目的に周波数を推進していく計画が示された。プランによると、2020年までに1500MHz幅以上を確保することが目標として掲げられているが、直近2015年の目標とされている第4世代移動通信システムのための3~4GHz帯周波数を含めた「+300MHz幅以上」の高速・大容量化のスケジュールについては「順調に推移している」ことを布施田氏は強調した。

 既存のシステムからの周波数移行により、携帯電話事業者に割り当てを実施するための施策としては、昨年度の制度改変によりスタートさせた「終了促進措置」の効果を布施田氏はアピールした。「従来は既存無線局が全額自己負担で移動する必要があったため、移行が終わるまでに10年程度の期間が必要だった。新制度では携帯電話事業者が移行経費を負担することで、従来よりも早く5年程度に移行期間を短縮できる」としながら、ソフトバンクが進める900MHz帯、イー・アクセス、NTTドコモ、KDDIが進める700MHz帯の移行準備が順調に進んでいると述べた。

■第4世代移動通信システムの商用化

 総務省では現在提供されているLTEサービスを「第3.9世代」としながら、次世代のIMT-Advancedから「第4世代」と呼んでいる。本件の取り組みについては、2015年頃の導入に向けて技術条件や、他のシステムとの共存条件がいま検討されている。最大伝送速度1Gbpsの通信サービスを提供可能にする、第4世代移動通信システム「IMT-Advanced」には、ITU(国際電気通信連合)によりLTE-Advancedと、WirelessMAN-Advancedの二つが国際標準として勧告されている。それぞれの特徴について、布施田氏は以下のように説明する。

 「最大伝送速度300Mbps以上の、光ファイバー並みの高速通信が実現できること以外にも、高速通信に必要な周波数を確保するため3GHz帯以上の広帯域な電波を活用できること、複数の通信波を束ねて高速通信を実現するキャリアアグリゲーションの技術などにより、柔軟で効率の良い電波利用が可能なことが挙げられる」(布施田氏)

 第4世代のLTE-Advancedでのシステム導入が検討されている3.4~3.6GHz帯の電波については、2015年頃のサービス開始に向けて、適切な時期に電波の割り当てを行う計画が示された。今年の夏9月頃にはパブリックコメントを出す予定だという。また3.6~4.2GHz帯への第4世代システムの導入についても検討が進められているが、「衛星通信に非常に多く使われている周波数帯であり、様々なところに受信設備が建っている。既存設備の対策や、飛行機の高度計との干渉も含めて、継続的に検討している段階」と布施田氏は説明を続ける。また世界各国の方式と調和を取りながらシステムを構築するため、第4世代システム用の周波数をさらに広く確保していく計画もある。
  1. «
  2. 1
  3. 2
  4. 3
  5. 続きを読む

《山本 敦》

特集

【注目記事】
【注目の記事】[PR]

この記事の写真

/

関連ニュース