【インタビュー】iPhone 6/6 Plus、重要なのは体感できる「実効速度」……ソフトバンク技術者に聞いた 2ページ目 | RBB TODAY

【インタビュー】iPhone 6/6 Plus、重要なのは体感できる「実効速度」……ソフトバンク技術者に聞いた

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ソフトバンクモバイル モバイルネットワーク企画本部 本部長の関和智弘氏
ソフトバンクモバイル モバイルネットワーク企画本部 本部長の関和智弘氏 全 2 枚
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■通信品質向上のためのソフトバンクの取り組みとは?

――ほかにも、「Softbank 4G LTE」などが利用している2.1GHz帯で、FD-LTEが使用する帯域を15MHz幅まで拡張しているという話もあります。

関和:弊社ではお客様がリアルに感じている通信速度を大切にしたいと考えております。これまで、FD-LTEでは帯域幅10MHzで、最速75Mbpsのサービスを提供してきました。これを、iPhone 6の提供が開始されるまでに、相当数の基地局で帯域幅15MHz、最速112.5MHzまで引き上げました。通信速度で100Mbpsを超える基地局は、3社の中でもソフトバンクが最も多くなります。ピークレートを向上させることで、ユーザー密度の濃い場所でも、ストレスを感じることのない通信環境が望めるようになるでしょう。

――具体的には基地局数でどのぐらいの差が出るのですか?

関和:総務省ホームページおよび他社の発表によると、2014年8月時点ではソフトバンクが約6.7万局を所有しています。それに対して、ドコモは約3.9万局、auは約3.5万局となり、100Mbpsを超える基地局数では、他社を2倍近く上回っているのがお分かりいただけるかと思います。なお、ソフトバンクではTD-LTEを利用した「Softbank 4G」を2012年3月に開始しましたが、約2年間で基地局数を4倍以上に増やしました。

――RBB TODAYでは通信速度の測定企画を定期的に行っていますが、ソフトバンクは都市部に強いイメージがあります。何か御社独自の取り組みがあるのでしょうか?

関和:一つの基地局を利用するエリア内にユーザーが増えると、トラフィック増加によるパケ詰まりが起きやすくなります。そこで、弊社としては小セル化戦略で、この問題に取り組んでいます。小セル基地局は電波の到達範囲が狭くなりますが、数を多く設置できるので、ひとつの基地局に接続する端末台数を減らすことが可能です。それに加えて、最近では2.1GHzと1.7GHzのダブルLTEの密度を上げることに力を入れています。最近では特に都内で1.7GHzに対応する基地局が増えているので、これが繋がりやすさにも間違いなく貢献しています。

――ほかにも、ソフトバンク独自の取り組みは何かありますでしょうか?

関和:弊社独自のものとしては、電波の繋がりにくい場所を検出するためにビッグデータ分析を行っています。これにより、繋がりにくい場所や曜日、時間帯だけでなく、通信エラーが起きた原因などの分析が可能です。このうち、電波が繋がらないエリアでは新たな基地局を建てますし、パケ詰まりが起きている場所ではダブルLTEを上手く活用する。具体的には複数の基地局がカバーしているエリアでは、混雑している基地局を避けるように接続させているわけです。異なる周波数帯を利用することで、互いの通信が干渉することなくトラフィックを分散できます。

――通信状況の情報収集はどのように行っているのでしょうか?

関和:Agoop社による調査結果を採用しています。速度に関して同社では速度測定アプリ「スピードチェッカー」「電波つながりチェッカー」をiPhoneおよびAndroidに提供しており、その400万件(上り200万件、下り200万件)以上におよぶ膨大な通信ログが集計されています。ちなみにこの調査結果(下りの平均測度)によると、ドコモの11.51Mbps、auの10.37Mbpsに対して、ソフトバンクは12.71Mbpsを記録し、No.1となっております。またつながりやすさを表す「パケット接続率」でも他社を抑え、1位を継続中です。

――高速な通信サービスを複数持っているソフトバンクの強みが出ましたね。

関和:アンドロイド端末でも昨年末から『Hybrid 4G LTE』として、TD-LTEとFD-LTEの両方に対応した端末をリリースしています。今後は基本方針として、あらゆる端末で弊社が持つ全ネットワーク資源を利用できるようにしたいと考えています。

――スプリントの買収によって得られるシナジーにはどのようなものがありますか?

関和:米国本土やハワイ、プエルトリコなどで、国内と同等の料金で音声通話とデータ通信が利用できる「アメリカ放題」のサービスを開始しました。また、スプリントはクリアワイヤを買収したことで、大規模なTD-LTEのネットワークを手に入れました。このため、技術的にも双方のノウハウを活用しやすい状況となっています。
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《丸田》

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