●原因不明の「機能性ディスペプシア」を改善する
消化器内科を受診する人の約半数が罹っていると言われるのが「機能性ディスペプシア」だ。本疾患は生命への影響はないものの、生活の質(QOL:Quality of Life)の著しい低下を招き、重症者では仕事にも支障をきたす。
ヤクルトは2015年1月29日に、「ビフィズス菌を含む乳酸菌飲料の継続摂取が機能性消化管障害患者の消化器および心理症状を改善」する研究成果を発表した。
潰瘍や炎症などの異常がないにもかかわらず、食道や胃腸などの消化器に痛みやもたれなどの不快な症状が慢性的に続く症状のことを「機能性消化管障害」と言い、この中で胃に症状が現れるのが「機能性ディスペプシア」、略称FD(functional-dyspepsia)だ。2013年に保険病名を獲得した。患者数は推定で1500万~3000万人いると考えられる。
機能性消化管障害は、器質的な病変や血液生化学検査において異常が認められないことから、自覚症状の改善が重要となる。FDの原因にはストレスや胃酸の出過ぎ、胃の運動機能の異常・知覚過敏などが考えられているが、はっきりしないことが多く、治療法も確立していない。FDには食生活や生活習慣が影響することから、治療の一環として、食事、運動、睡眠、ストレスなどを改善する生活指導も取り入れられている。