酒離れにストップ!蔵元の若手を集めた「ナゴヤクラウド」が地酒をアピール | RBB TODAY

酒離れにストップ!蔵元の若手を集めた「ナゴヤクラウド」が地酒をアピール

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ナゴヤクラウドのメンバー
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 国税庁の統計によると、日本酒の国内消費(課税数量)は1973年度の約176万キロリットルをピークに減少傾向が続いており、2012年度は約58万キロリットルとピーク時の3割程度にまで落ち込んだ。これは日本酒だけでなく、ビールなども含めた“日本人のお酒離れ”が進んだ結果と分析されるが、それでも日本酒の落ち込みはほかの酒に比べて顕著だ。

 こうした中、メーカー各社は消費回復に知恵を絞っている。大手だけなく、地酒の魅力を広く発信しようと小規模な蔵元も躍起だ。名古屋市では、蔵元の若手らが立ち上がり、2014年に「ナゴヤクラウド」という組織を結成。参加するのは金虎酒造(北区、1845年創業)、神の井酒造(緑区、1856年創業)、東春酒造(守山区、1865年創業)、山盛酒造(緑区、1887年創業)の4蔵。いずれも創業から百年以上の歴史を持つ老舗だ。

■飲み比べ企画で、消費者との接点づくり
 結成のいきさつを金虎酒造の専務、水野善文さんはこう語る。

 「知り合いの酒屋からラベルデザインコンテストをやらないかと声がかかったのですが、うちだけでやってもインパクトが弱いので、同業者に声をかけることにしたのです」

 ラベルコンテストは、地酒の瓶に貼るラベルのデザイン案を消費者から募るというもので、消費者との新たな接点づくりが狙い。その誘いに応じたのは、神の井酒造の佐藤徹さん、東龍酒造の金谷弘樹さん、山盛酒造の6代目蔵元、山盛岳志さん。4蔵で早速始めたところ「伝統的なイメージにとらわれない、個性的なデザインのラベル案が多く集まった。これを機会に少しでも日本酒に興味を持っていただけたらうれしい」と水野さんは期待を込める。

 ナゴヤクラウドがPR活動で特に力を入れているのがイベント出展だ。「味わい方や楽しみ方を提案したい」(水野さん)と地元の祭りや百貨店の催事などに出展し、用意した4蔵の地酒を飲み比べてもらう。すっきり甘口の「本醸造 金虎」(金虎酒造)、柔らかい口当たりの「神の井 特別純米 ナゴヤクラウド」(神の井酒造)、まろやかな味わいの「東龍純米(ラベルデザインコンテス)」(東春酒造)、米の旨みを堪能できる「鷹の夢 純米酒」(山盛酒造)といった具合に味わいの違いを気軽に楽しめるとあって評判は上々。

 「日本酒って、こんなに飲みやすくておいしいんだ」と若者の“ナマの声”が聞けるのもイベント出展に大きな意義があるという。

■海外にも活路
 イベントでのPR活動以外に、店舗での販売にも「ナゴヤクラウド」のブランドを生かした取り組みも行っている。

 カレーうどんで知られる飲食チェーン「若鯱家」は今年9月、東京・大橋にオープンした名古屋めしダイニング「若鯱家ビヨンド」(東京・大崎)でナゴヤクラウドの利き酒セットを用意した。濃厚な味付けの名古屋めしともよく合う地酒として紹介している。

 小売店もナゴヤクラウドに熱視線を送る。地元の大型ショッピングセンター、イオンスタイルワンダーシティ店は、ナゴヤクラウド専用の棚を展開する。観光名所の名古屋城では、ナゴヤクラウドに関するポスターを土産売り場に提示。海外からの旅行客などに向け、名古屋の味として紹介している。

 日本酒は、国内消費が縮小する一方で、海外輸出量がここ十年、ほぼ右肩上がりで伸びている。2003年に8270キロリットルだったものが、2013年には1万6202キロリットルと倍増した。また2013年にユネスコ(国際連合教育科学文化機関)の無形文化遺産に「和食」が登録されたことで、和食に合う日本酒としても海外から注目度は高まっている。

 こういった背景を商機ととらえる蔵元は少なくない。ナゴヤクラウドでは、酒蔵が集まることで地域ブランドとして国内の新たな市場、インバウンド需要を掘り起こす。長い間元気がなかった日本酒が息を吹き返そうとしている。

【地元から日本を盛り上げるキーパーソン】蔵元の若手が集まり名古屋の地酒をPR……ナゴヤクラウド

《DAYS》

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