【CES 2016】KDDIとOssiaが共同出展!ワイヤレス給電システム「Cota」って何だ? | RBB TODAY

【CES 2016】KDDIとOssiaが共同出展!ワイヤレス給電システム「Cota」って何だ?

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取材に答えていただいたKDDIの清水氏
取材に答えていただいたKDDIの清水氏 全 6 枚
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 「CES 2016」のSands Expo会場にKDDIとOssiaが共同出展したブースでは、次世代のワイヤレス給電システムとして注目される「Cota」のデモンストレーションが行われた。

 「Cota」は2008年に設立されたアメリカの企業、Ossia(オシア)が開発したワイヤレス給電技術だ。KDDIが国内・海外のベンチャー企業を支援するコーポレートベンチャーファンド「KDDI Open Innovation Fund」のプログラムにより、2015年1月に資本提携というかたちでOssiaに出資。「Cota」をベースに、実用化を目指した製品・アプリケーションの共同開発がスタートした。今回の「CES 2016」では両社が1年間にわたって取り組んできた成果が披露されることになった。

 ブースではOssiaが開発したCotaをベースにしたワイヤレス給電システムの試作機を展示。Cotaでは2.4GHz帯の無線を使い、ZigBeeの近距離無線通信規格を使った電波伝送を採用している。1台のトランスミッターを内蔵するバッテリーチャージャーから、同時に複数のレシーバーに対して給電が行えるのがCotaの大きな特徴だが、今回のデモではレシーバーモジュールを内蔵したスマートフォンの外付けバッテリーケースや、IoTデバイスの試作機に対してワイヤレス給電を行うイメージが紹介された。

 デモに使われたハード機器はOssiaが開発したものだが、KDDIは認証給電用のモバイルアプリの開発を担当。スマートフォン固有の「au ID」をアプリからクラウドサーバーに送信して、登録・認証されたデバイスにのみチャージャーが給電するセキュアな利用例を想定したデモが体験できたほか、Cotaのレシーバーを内蔵した単3電池をドアノブタイプのスマートロック端末に装着、スマートフォンから遠隔操作で鍵の開閉を行うといったユースケースを提案した。

 今回、両社の「CES 2016」に向けた共同開発が進められた経緯と展示内容の詳細について、KDDI 戦略推進部サンフランシスコ拠点の清水一仁氏にブースで伺うことができた。

 KDDIでは、最初にOssiaのワイヤレス給電技術に出会った際、今後は一人のユーザーが複数の端末を所有したり、家庭内にIoTデバイスが普及してきたときに、通信キャリアであるKDDIとして、ワイヤレス充電が便利に使える環境を整えながら、スマホやスマートデバイスなど多彩な商品を提案していきたいという思いを具現化できる技術としてこれに注目。OssiaのCotaの技術向上をサポートするために投資を決意したという。

 清水氏がCotaの特徴として挙げるポイントは、一つに複数の端末を同時にチャージできることと、さらにもうひとつはレシーバーからチャージャーにビーコン情報を飛ばしながら、動き回るユーザーに対してもトラッキングしながら電源を供給できるの点であると説いている。

 また健康面においてはアメリカの連邦通信委員会が定めている、人間の皮膚に与える影響度の基準値内で設計された技術であるため、現状の運用範囲では問題ないという。ただ一方では、その基準に従って開発した技術の範囲では、現在最大1Wまでのパワーでしかワイヤレス供給ができないため、通常のケーブル接続による充電よりも時間がかかるという課題が残されている。これから実用化に向けて課題も残されているが、ともあれまずは両社のコラボレーションが1年間のトライアンドエラーを経て、互いに意思疎通を深めながら今回のの共同出展をかたちにできたことは一つの成果と語る清水氏の言葉には説得力がある。

 今後Cotaの実用化に向けて、サービスと試作機のさらなる練り上げが必要であることは言うまでもないが、一方で両社の前にはもうひとつ別の課題も横たわっている。それは、現在日本国内には「電波を使って充電を行う」ために遵守すべき法律が存在しないということだ。そのためには総務省が主体となった法律整備が求められる。

 今後、国内ではスマートデバイスやIoTの普及がますます加速していくことは間違いなさそうだ。一般の生活者が日々使う端末は個数、種類ともに多様化しつつある。今回KDDIとOssiaが共に開発する便利なワイヤレス給電技術が形を成すことは、BtoC、BtoBのいずれの場面を想定しても間違いなく多くのユーザーに多大なる利便性をもたらすものとなるに違いない。KDDIが今回を契機に、暮らしの利便性を高めるワイヤレス給電の未来図を示したことには大きな意義があると言えるだろう。ぜひ国内でも同様にCotaの魅力が紹介される機会が実現することを願うばかりだ。

《山本 敦》

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