個性的なデザインのモバイルプロジェクター「400-PRJ025」を徹底レビュー | RBB TODAY

個性的なデザインのモバイルプロジェクター「400-PRJ025」を徹底レビュー

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個性的なデザインのモバイルプロジェクター「400-PRJ025」を徹底レビュー
個性的なデザインのモバイルプロジェクター「400-PRJ025」を徹底レビュー 全 32 枚
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 モバイルプロジェクターは、ただ単にオフィスで使っているプロジェクターを小型化させただけで十分ではない。モバイルに必要な機動性など一工夫が必要なのだが、案外理想的な機器が見つからないものだ。そんな中で、このサンワサプライの「400-PRJ025」(サンワダイレクト限定販売商品)は、他のモバイルプロジェクターにはない形状を備え、個性際立っている。さっそくレビューしてみたい。

■円柱型の形状がユニーク

 モバイルプロジェクターというと、たいていはお弁当箱ぐらいのサイズの四角いものが大半だが、この製品は円柱型というのが大変個性的だ。この形状、じつはカバンへの収まりが大変よい。サイズ的には500mlのペットボトルと同じ高さで、太さはペットボトルより一回り小さく、ちょうど250mlのスチール飲料缶と同じ太さでその長さは1.5倍といったところだ。

 本体サイズはレンズ垂直時で約W50×D50×H190mm。この本体のレンズ部を回転させて、垂直方向(0°)と水平方向(90°)に投影の向きを変えられる。回転させた状態(レンズ水平時)のサイズは約W50×D77×H165mmだ。明るさは100ANSIルーメン、microHDMI入力、USBメモリ対応、3.5mmステレオミニジャック搭載で、リモコンが付属する。投影確度は0°か90°に固定されてしまうが、台形補正があり、三脚等を用いれば投影方向に柔軟性が持たせられる。

本体と付属品等同梱物一式


レンズ部のところは回転式


レンズ部を回転させて投影の向きを変えられる


レンズ部の向きを変えて90°の投影が可能


本体前面にはmicroHDMI端子、USB端子など入出力ポートが並ぶ


本体背面は操作ボタンが一列に並ぶ


底部にスピーカーがある


500mlペットボトルと比較したサイズはこんな感じ


 本体は充電式で、最大約3時間で満充電でき、バッテリー動作時間は連続最長約80分というスペックだ。もちろん、ACアダプタを接続した状態で、充電しながら本体を使用することも可能である。ワイヤレスで動作するというのは、モバイル環境で、出先のちょっとした場所でプレゼンテーションするのに大変便利だ。

 プロジェクターの明るさは100ANSIルーメンで、十分明るいとは言えないが周囲の証明を落とせばそれなりに実用に耐える程度だ。スクリーンサイズの目安は最短15インチから300インチ程度まで。プロジェクターの解像度は854×480で、入力対応解像度は、1024×768、1280×720、1280×1024、1440×900、1776×1000、1920×1080となっている。PCとはHDMIで接続する。iPhone/iPadは、Apple Digitai AVアダプタを介してHDMIで接続、Androidスマートフォンは、MHL対応であれば、MHL変換アダプタを通してHDMIで接続すればOK。

■実際の使い勝手は

 本製品は、回転式のレンズ部をくるりと回すことで垂直方向と水平方向に向きを変えて投影できる。ただし、水平方向は90°固定のため、テーブル等に置いて使用するには投影位置が低すぎてしまう。せめて斜め上方向に投影できればより実用性が高そうなのに残念。底部に三脚取付ネジ穴穴があるので、小型の三脚等に取り付けて角度調整するなどの工夫が必要そうだ。

テーブル面の高さで直置きにして使用するとこんな投影の高さに


たとえばホワイトボードに投影しようとするとその高さまで持ち上げる必要あり


一脚や三脚があれば便利


小型三脚など使って角度をつけて投影しリモコンで台形補正することは可能


 ちなみに垂直方向での使用としては、そのまま直立させて天井に投影するという使い方になる。確かに天井をスクリーン代わりに使うというのはアリなのだが、意外に日本の建物は天井面が白くないものだ。筆者の身の回りで白い天井面を探したら、寝室だけだった。まあ、これはこれで活用できそうだ。静かなBGMが流れる絶景動画などを流しながら床に就くのも良いかもしれない。



 投影の際には少々工夫が必要な製品だが、しかしこの形状はじつに持ち運びに便利そうだ。よくあるお弁当箱型のモバイルプロジェクターは、カバンに入れて持ち運ぶ場合に、どうしてもカバンに厚みが出てしまうので、筆者は好んで使用しない。しかし、この円柱型の本体は、カバンの中に大変納まりが良い。とくに最近はペットボトルポケットを備えたカバンも多い。円柱型の本体は、ペットボトルポケットにちょうど収まりが良く、これであればプロジェクターを持ち歩く機会が一段と増えそうだ。

カバンのペットボトルポケットにぴったり収まってくれる


 本製品は、microHDMIポートからの入力のほか、USBメモリ経由で、画像、映像ファイルをダイレクトに再生する機能も備えている。対応するファイル形式は動画がAVI、WMV、MOV、MP4、RM、MKV、3GP、画像がPNG、BMP、JPGだ。

 それでは続いて、このモバイルプロジェクター400-PRJ025が一般的なビジネスプロジェクターにどこまで迫れるのかを比較レビューしてみたい。筆者が日常的に大学のゼミ室で使っているプロジェクターは、ビジネスプロジェクターといっても市販価格50,000円前後で購入できる機能を最小限にとどめたプロジェクターで最大輝度は2,600ルーメン、解像度は800×600という低スペックのものだが、日常的なプレゼンテーションでの利用に不足は感じない程度のものだ。

 まずは実際のスクリーンに投影した際の明るさを比較してみたい。モバイルプロジェクター400-PRJ025の輝度は100ルーメン、対してビジネスプロジェクターのほうは2,600ルーメンだ。またスクリーンは100インチサイズで、実際の投影部分はおよそ85インチ(1,881×1,058mm)程度になっている。モバイルプロジェクターを使ってここまで大きく投影するというのはあまり現実的ではないスペックと考えていただきたい。

晴天の午前中、蛍光灯を点灯した室内におけるモバイルプロジェクターの投影。暗すぎてほとんど見えない


蛍光灯を消した状態。なんとか見える程度


カーテンを閉めて室内をかなり暗くするとこの程度には見える


こちらはビジネスプロジェクターの投影。同じ条件で蛍光灯も点灯した明るい室内で十分に表示内容が見える


ビジネスプロジェクターの投影では蛍光灯を消せばかなり明るい


 では続いて、レンズのクオリティを比較したい。本体を小さく設計したモバイルプロジェクターの多くは、スクリーンの隅のほうで文字が歪んだりするもの。投影サンプルとして、パワーポイントを用いたスライド映像(文字、写真)、数字を並べたエクセルのシート、静止画などを用意した。各プロジェクターの最小入力解像度(モバイルプロジェクターは1,024×768、ビジネスプロジェクターは800×600)で表示させた。

モバイルプロジェクターで投影したグラフイメージ


モバイルプロジェクターで投影したグラフイメージ


ビジネスプロジェクターで投影したグラフイメージ


ビジネスプロジェクターで投影したグラフイメージ


モバイルプロジェクターで投影したエクセルシートの画面中央部分


画面周辺部。周辺部では多少ボケはある


モバイルプロジェクターで投影したパワーポイントイメージ。文字は問題ないが画像の再現性が悪い


モバイルプロジェクターで投影したパワーポイントイメージ。文字は問題ないが画像の再現性が悪い


ビジネスプロジェクターで投影したパワーポイントイメージ。画像もきれいだ


ビジネスプロジェクターで投影したパワーポイントイメージ。画像もきれいだ



画像の表示例。モバイルプロジェクターはビジネスプロジェクター(下、1,677万色)に比べ色数が少ないのか粗い感じ


画像の表示例。ビジネスプロジェクター(1,677万色)


 ビジネスプロジェクターとの違いは、何といってもプロジェクター自体の明るさで大きな差がついている感じだ。解像度に関しては低価格帯のビジネスプロジェクターとさほど差を感じなかった。モバイルプロジェクターはレンズも小さいために、投影映像の周辺部がにじむことが多いが本製品は文字の判読には不都合は感じない程度だ。再現できる表示色が少ないのか(スペックに記載なし)、画像や映像の投影は苦手のようだ。といっても簡易的なプレゼンテーションで使うにはこれで十分であろう。

■モバイルプロジェクターのニーズはますます高まる

 プロジェクターを持ち歩くというシチュエーションはまだそう多くはないと考えるが、もしかしたらいずれはモバイルプロジェクターもビジネスマンの必携品になる日が来るのかもしれない。たとえばPCやタブレットを持ち歩いて、客先で資料等を提示するのに使うシチュエーションは日常茶飯事だ。しかし、テーブルを囲む程度の人数であればそれでも済むが、もう少し人数が増えた際にプレゼンテーションする場合はプロジェクターのほうが効果的であろう。

 プレゼンテーションは、きちんと相手に伝えたいことが伝わらなければ意味がない。日ごろから学生たちにも自分の考えをきちんと相手に伝えることの重要性を説いているが、そうしたプレゼンテーションにおいて情熱を伝えられる効果はスクリーンの大きさに比例していくと考えている。

 さらに、昨今はプレゼンテーションする機材として、PCに代わってスマホだけで済ますケースも増えてきた。パワーポイントやキーノートなどのアプリがスマホ向けにも提供されているし、クラウドに保存しているスライドデータにいつでもスマホからアクセスしてプレゼンテーションするシチュエーションは随分と増えた。モバイルプロジェクターを持ち歩けば、プロジェクターが用意されている会場に限定されることなくスマホと組み合わせてどこでもプレゼンテーション可能になる。持ち歩く荷物もミニマムだ。

 本製品は、これまでのモバイルプロジェクターにはなかった円柱型というユニークな形状によって他の製品を圧倒する持ち運びやすさを備えた。いつでもカバンに忍ばせておくことが可能である。一方で、アダプター自体は小型なのでこれも持ち運びに不便はないのだが、充電ポートをmicroUSB等汎用のものにしてくれればアダプターの持参も不要になる。スマホとの連携や持ち運びという点でさらなる向上を期待したいところだ。


これからは「いつでもどこでも思い立ったらプレゼン」の時代だ


 プレゼンテーションがきっかけで思いがけないチャンスを手にするかもしれない。そうしたプレゼンテーションの機会は、いつ訪れるか分からない。だからこそ、いつどんなタイミングでもプレゼンテーションできるこうしたアイデア製品的ガジェットが充実していくことは本当に喜ばしい。

《木暮祐一》

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