そんなドラマの中で、注目は、有馬ひとみ役の結城モエ(26)。ミス慶應に出場した際にスカウトされ、大学卒業後、本格的に女優活動をスタートさせた。
ひとみは一流企業で働くバリバリのキャリアウーマンで、思いを寄せる元カレ・赤坂剛(磯村勇斗)を、直属の上司であり夫も息子もいる林優子(吉田羊)に取られてしまうという役どころ。結城にインタビューを行い、気になる「恋する母たち」の今後の展開、女優活動の手応え、自身の夢を語ってもらった。
――「恋する母たち」が話題を集めていますが、有馬ひとみはどんな女性なのでしょう。
第1話で赤坂にフラれてしまいました。赤坂はそれから優子に突き進んでいくのですが、赤坂と優子さんの関係が進むにつれて、有馬は「ちょっと待って!」という感じで割り込んでいきます。今後、優子さんに詰め寄る“直接対決”のシーンも出てきます。
――役作りは、どのようにしているのですか?
私は、環境として、上司がいるわけではありません。また、目上の人に自分の好きな人を取られるという経験もありません。有馬と赤坂はともに私よりも年上の30代という設定です。優子は42歳という設定なのですが、これだけ年が離れた上司に同じ年の彼を取られることって、なかなかないと思います。経験したことがないことばかりですが、「リアルな30代の女性が結婚を見据えて付き合っていた彼を取られるって、どういう思いなのだろう」と想像しながら、ひとみに思いを近づけています。

――ひとみを演じるうえで、ご自身にとっての挑戦があるとしたらそれは何でしょうか。
優子さんとの“直接対決”のシーンは挑戦でした。ひとみの人を想う繊細さと「私はこの女には負けない」という女としてのプライド、その両方をバランスよく見せながら、感情の幅をきちんと見せられるように頑張りました。実は、このシーンでは、泣くか怒るかで迷いました。ひとみは弱い人間ではないのですが、人を強く責めるような人間でもありません。監督と話し合いながら、お芝居を考えました。
――“直接対決”の相手役となった吉田羊さんとは初共演ですね。吉田さんの印象はどうでしたか?
“普段の感じ”と“お芝居をしているときの感じ”の差がまったくない方でした。カメラが回っていないときはナチュラルな方なのですが、本番がスタートしても自然体のまま、お芝居に入って行きます。現場では誰とでも分け隔てなくお話されますし、落ち着きだったり、常に自分らしさを保ってらっしゃるような雰囲気は、大人の余裕からくるものもあると思います。すてきですし、私もこんな余裕のある大人になりたいなと思いました。
――ひとみで一番注目してほしい点を教えてください。
強い女の人でも弱さが出ちゃうことはあるし、必死になっちゃうことはあると思います。そういう女性が恋愛をしたときに出てしまう感情の揺れに注目してほしいです。強がっているセリフを言うシーンもあれば、真剣になるシーンもあります。その時々で、ひとみは見せる顔が違いますので、そこも楽しんで頂けたらなと思います
――登場人物たちのバックグラウンドを描いたスピンオフ作品「恋する男たち」(Paravi)もありますね。
「恋する男たち」では、ひとみと赤坂が付き合うまでのエピソードが描かれます。2人とも20代なのですが、ひとみは気持ちが強いので「私は好きなのに」という感情にあふれています。本編とは別人に見えるくらい、恋する乙女になっていますので楽しんで頂けたら嬉しいです。

――大学卒業後、本格的に女優活動をスタートさせました。ここまでの手応えはどうですか?
今は、1日ごとに自分が変化するくらい、現場でたくさんのことを学んでいます。色んな役者さんに実際に会って、役者さんたちのお芝居を生で観ることが、大きな財産になっています。お芝居の仕方も毎回、変わって行くのですが、確実に成長していることを感じられる毎日を過ごしています。
――テレビを通して自分の姿を観るのは慣れましたか?
実は、テレビで自分を観ることはあまり好きではないのです(笑) ですが、羊さんとの“直接対決”のシーンは、早く見たいと気になっています。こんな感情になったのは初めてです。それだけ、今の自分の想いをそのまま発揮できたのだと思います。自分の表現がどんなふうに映っていて、作品としてテレビの画面を通してどう見えるのか、ということに触れる楽しさをやっと感じられるようになってきたのかなと思います。
――今後の女優としての夢や目標を教えてください。
時代劇で人生を生き抜く女性だったり、刑事ものでかっこよく銃を撃つような女性だったりと色々なカッコいいがあると思いますが、女性から憧れられるカッコいいキャラクターを演じてみたいです。ひとみは優子さんに憧れているのですが、これまでにやらせて頂いた役も、誰かに憧れたり、誰かを好きになったりする役が多かったので、誰かから憧れられたり、思いを寄せられる立場の女性を演じてみたいです。

――最後に、「恋する母たち」を楽しみにしている視聴者の方へ、メッセージをお願いします。
「恋する母たち」はすべてのマッチングがすばらしいと思います。柴門ふみさんの原作と大石静さんの脚本のマッチングからはじまり、3人の母たちとそれぞれの不倫相手の男性とのマッチングもすばらしいです。実際に私も自分が出ていないシーンを放送で見て、小泉孝太郎さんや阿部サダヲさんの大人の色気に魅了されました。
また、松任谷由実さんが主題歌を歌ってくださっています。私よりも上の世代の方はなんとなく懐かしさを感じるのでしょうし、私たちの世代からしたら新鮮で「なんかいいな」と思わせてくれる雰囲気が出ています。
ドロドロとした不倫ドラマになるはずなのに、ナチュラルな恋愛ドラマに見えちゃうくらい、出演している役者さんたちが魅力的なお芝居をしています。恋愛の要素がたくさん詰まったドラマだと思いますので、若いころのキュンキュンを超えた、しっとりとした大人の恋愛を楽しんで頂けたらなと思います。