【テレワークツール活用術 第18回】簡素な代行サービスがコロナ禍で契約4倍に!今、電話対応に求められるものとは? | RBB TODAY

【テレワークツール活用術 第18回】簡素な代行サービスがコロナ禍で契約4倍に!今、電話対応に求められるものとは?

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【テレワークツール活用術 第18回】簡素な代行サービスがコロナ禍で契約4倍に!今、電話対応に求められるものとは?
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 テレワークの拡大によって会社の固定電話に対応しづらくなったり、コミュニケーション手段の中心が電話からチャットに移行したりと、ビジネスにおける「電話」のあり方が変化しつつある。

 そのような状況下で契約者数を大きく伸ばしているのが、株式会社うるるの電話代行サービス「fondesk」だ。同サービスの躍進から、電話対応業務に今求められているものを考えた。



「折り返し対応」に絞ったサービスを提供


 電話対応の代行を行うサービスは従来から存在するが、fondeskは在宅ワーカーをオペレーターに採用し、一次対応に特化している点が大きな特徴だ。オペレーターはすべての電話に“担当者不在のため折り返し連絡”する旨を伝え、用件と相手先名、折り返しの電話番号の聞き取りに徹する。用件などを記載したメモは、チャットツールやメールを通じてクライアントに通知されるしくみだ。

企業が指定したツール内にfondesk専用のチャットが作成され、メモが投稿される。Slack、Teams、Chatworkなど7つのチャットツールおよびEメールに対応


 料金は月間100件までは1万円、それ以降は1件200円の従量課金制となり、利用申し込みや設定などは全てオンラインで完結。書類による手続きや審査などは行われないため、申し込み後fondeskの専用番号に電話の転送設定を行えばすぐに利用を開始できる。

申し込みや設定などはすべてWebから行う


 同サービスの提供開始は2019年2月。fondesk責任者の脇村氏によると、初年度はITベンチャーを中心に、士業やアプリデベロッパー、Web制作会社などの契約があったそうだ。2020年4月の緊急事態宣言後には従来の7~8倍のトライアル利用の申し込みがあり、業種も拡大。3月末から9月末の半年間で契約企業数は約4倍に急増したという。「コロナ禍以降は医療や不動産系業種の契約がとくに増えたほか、休業中の店舗が電話対応だけのためにアルバイトを雇用し続けるのは厳しいという理由から、その代用として導入いただくケースもあります」(脇村氏)

 当サイトを運営するイードでも、2020年2月よりfondeskを導入。月間平均およそ200件の電話に同サービスで対応し、コストは月3~4万円程度。社内で独自のしくみを構築し、Teamsのfondeskチャネルに送られてきたメモを個人のチャットに自動で振り分ける運用をしている。

イードが運用する振り分けシステムで個人宛に送られたメッセージ。fondeskからのメモ内容が転送される


システムに注力し、安全性の高いサービスを実現


 電話対応にあたるオペレーターは、同社が運営するクラウドソーシングプラットフォーム「シュフティ」に登録している在宅ワーカーから、コールセンターや営業事務の経験者を中心に採用。現在は約100名のオペレーターで運用しているという。

「シュフティ」は、日本におけるクラウドソーシングサービス黎明期の2007年に提供を開始。登録ワーカー数は約42万人にのぼる


 100名という人数は少なくも感じるが、脇村氏によると「電話の多い時間帯などは可視化しているので、それにあわせてシフトを組むことで十分に回すことができる」とのこと。最も多い時間帯で60~70名で対応にあたっているそうだ。

 安全性の高いサービスを提供するために、システム部分に注力している点も同サービスの特徴だ。「fondeskでは、オペレータはシステムの画面上で電話のメモを入力する作業だけを行っています。クライアントのチャットへのメモ送信はAPIを通じて行われるので、オペレーターが社内チャットの内容を目にすることはなく、他企業へのメモの誤送信などによる情報漏えいも起こりません」(脇村氏)

 常に単発の電話対応だけを行うため、オペレーターごとの担当企業の割り振りといったものは行われず、そのときに対応可能なオペレーターに電話がつながるしくみとなっている。契約者数や電話件数が多くなっても特定の担当者に負担が集中することがなく、常に一定の品質でサービスを提供できる点がメリットだという。

 一方で、このような形式を採用している都合上、企業ごとの応答のカスタマイズには応じていない。オペレーターに申し送りできるのは、「よくある間違い電話の特徴」や「会社の住所」など、あらかじめ指定された最低限の項目に限られている。

今後はメンション機能の導入も予定


 現在のfondeskのシステムでは、電話対応のメモは専用チャットに投稿される。宛先ごとのメモの振り分けなどは行われないため、自分宛の電話があったかどうかを知るには、各自が専用チャットを定期的に確認するか、先述したイードでの運用方法のように社内で独自の振り分けシステムを用意する必要があり少々不便だ。

 これを改善するため、メモ内の名前を読み取って投稿時に個人宛のメンションを付ける機能を現在準備中だという。自分宛の電話があった場合だけメンション通知を受け取れるようになれば、折り返しが遅れることもなく、利便性はかなり向上するだろう。

 すべての電話が折り返し対応になるという性質上、業務連絡の電話が日常的にかかってくるような回線にはfondeskは適していない。しかし近年は、チャットツールやWeb会議の普及によって業務連絡に電話を使う機会は減っている。また、電話で話す必要がある場合でも、相手がテレワーク中の可能性を考慮して担当者の携帯に直接連絡する人が多いのではないだろうか。そうなると、会社の固定電話にかかってくる電話は、顧客からの問い合わせや営業電話といった折り返し対応でもさほど支障がない種類のものが中心となってくる。

 重要度や緊急性の高い連絡を電話で受けることが多かった時代なら、社内で電話対応を行うことや、アウトソースする場合でも専属オペレーターが丁寧で濃い対応を行うことに価値があった。しかし、コミュニケーション手段の主流が移り変わった今は、電話対応にそこまでの労力やコストを割く必要性がないという判断がなされることも多いだろう。手頃なコストでシンプルな代行業務を提供する同サービスは、そんな今の時代の電話の立ち位置にマッチしている点が支持されているのではないだろうか。

 負担軽減という意味では、例えば連絡先のメールアドレスを相手に伝えるなど、折り返し連絡をせずに済むような対応が可能になれば、より快適に使えそうだ。今後の進化にも期待したい。

《酒井麻里子》

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